パリス
ここは……。

パリス
あきらかに生物が暮らしていた形跡が あるけれど、

パリス
これも獣人たちの遺跡になるのかしら?

アーク
いや、俺がこの地を調べた限りだと これはイシュグリアとは別の世界、

アーク
グランガイアでもエルガイアでもない 異界から流れてきた街だそうだ。

セリア
異界から流れてきた?

アーク
そうだ。

アーク
カルナ・マスタがこの地に降りて 暴れた際に

アーク
その余波で異界との扉が開き、 街ごと現れたらしい。

アーク
その後の戦いの中で街の住民は イシュグリアの他の地へと逃れ、

アーク
その後は不明なようだがな。

パリス
異界と繋がる扉……。

パリス
色々な伝承は残っているけど こんな大きな規模で開くなんて

パリス
それだけカルナ・マスタの力が 強かったってことなのね……。

セリア
パリス、ここに興味があるのはわかるけど 今は止めてね。

パリス
だ、大丈夫よ! さすがに私も状況は理解しているわ!

ティリス
あ、あの石碑って何だろう?

パリス
え!? どれですか! どこの石碑ですか!!

ティリス
エヘッ、冗談だよ~♪

パリス
ティ、ティリス様!

ティリス
エヘヘッ、やっぱりパリスは可愛いね♪

パリス
ティリス様、本当に止めてください……。

セリア
ハアー、まあいいわ。

セリア
それより、気になるのは カルナ・マスタの力よ。

セリア
パリスがさっき言ったように これほどの規模の異界への扉を開く力、

セリア
アーク、実際に戦った経験のあるあなたの 意見を聞かせてほしいわ。

アーク
そうだな……。

アーク
あの時の俺たちは若かった。

アーク
自分の力を、仲間との絆を信じ、

アーク
自分たちにできないことはないと 思っていた。

アーク
そう…神を倒すことだって できると信じていたんだ……。

セリア
…………。

アーク
だが、それは思い上がりだと知らされた。

アーク
ヤツと対峙した瞬間、俺たち全員が それを感じさせられたんだ。

アーク
絶望的な存在感と力。

アーク
カルナ・マスタがそこにあるだけで 俺たちの心は折れそうになった。

アーク
だが、仲間たちの力を信じ、 俺たちはカルナ・マスタに立ち向かった。

アーク
それぞれが助け合い、わずかずつだが 確かにヤツを苦しめていた。

アーク
そう感じたんだ……。

アーク
だが、カルナ・マスタは 真の力をまったく出していなかった。

アーク
ヤツが本気の一撃を繰り出した時、

アーク
生き残っていたのは 俺の他に2人だけだった。

アーク
とはいえ、その内の1人の死霊使いは 死後に自身を操る術をかけ戦ったんだがな。

パリス
壮絶な戦いだったのね……。

アーク
お前たちは確かに強い。 召喚術という強力な力も持っている。

アーク
だが、それでもカルナ・マスタとの間には 大きな差がある。

アーク
今のままでは確実に俺たちと同じ道を たどることになるだろう。

ルジーナ
そうならないためにも、お前には神託の 巫女の力を呼び起こしてもらわねーとな。

アーク
ああ、わかっている……。

アーク
イリアが残してくれた希望は 必ず俺が……。

セリア
でもさ、単純な疑問なんだけれど 召喚術ってカルナ・マスタにも効くの?

セリア
召喚術ってカルナ・マスタが作ったのよね?

セリア
自分が作った力なら 自分には無効にしようとしたりしないの?

???
その心配なら無用じゃ。

セリア
グラデンス様! オーン様!

グラデンス
Shou-chanよ。 無事にアーク殿と会えたようじゃな。

グラデンス
アーク殿、 どの様な経緯があったかは知らぬが、

グラデンス
皆とともにいるのを見る限り ご協力いただけると考えてよいのじゃな?

アーク
ああ、もちろんだ。

アーク
この地に眠るイリアの力は 必ず俺が呼び起こす。

アーク
そして、Shou-chanたちと ともにカルナ・マスタを倒す!

グラデンス
フォッフォッフォッ、心強い言葉、 さすがは神託の騎士殿じゃな。

カル
それもいいんだけどグラデンス爺さん。 さっきの召喚術の話はどういうことだ?

グラデンス
忘れたのか?

グラデンス
ワシとオーンはカルナ・マスタと 戦ったのじゃぞ。

アーク
本当か!? 2人ともよく今も生きているな……。

グラデンス
フォッフォッフォッ、ヤツが本気になる前に ワシらは逃げ出したのでな。

オーン
お前が強引に俺を連れてな。

グラデンス
オーン、それはもうよいじゃろう……。

グラデンス
それよりも重要なのは、カルナ・マスタに 召喚術が確かに通じたという事実じゃ。

ルジーナ
ケッ、それはありがたい話だな。

ルジーナ
だが、そうなるとカルナ・マスタ様ってのは 相当なマヌケだな。

ルジーナ
自分の作った術で 自分がやられるんだからよ。

アーク
いや、おそらくカルナ・マスタは人間と いう存在を気にすらしていないのだろう。

アーク
召喚術があろうとなかろうとな。

ルジーナ
ケッ、大神皇様はどこまでも偉いんだなー。 こんな所に封じられたクセによー。

カル
…………。

カル
グラデンス爺さん、オーンさん、 俺たちはメノンでベルツに会った。

カル
アイツが言うにはカルナ・マスタを倒せば

カル
カルナ・マスタが作り出した召喚術は 消えるかもしれないとのことだ。

カル
このことについて召喚老である2人は わかっていたのか?

カル
召喚術が消えればアクラス召喚院の 存在意義は薄れる。

カル
それで、本当にいいんだな。

グラデンス
フォッフォッフォッ、お主に心配されるほど ワシらはもうろくしておらんよ。

グラデンス
カルナ・マスタを倒せば召喚術が 消えるかもしれぬ。

グラデンス
そんなことは百も承知じゃ。

グラデンス
だが、アクラス召喚院の存在意義は そこにはない。

グラデンス
あくまでアクラスが残した遺志を継ぎ 神々の支配から人を解放することじゃ。

カル
だが、それは爺さんたちの目的であって、

カル
多くの召喚師や召喚院に務める人たちは 大混乱に陥るんじゃないのか?

グラデンス
ワシらを甘く見るでない。

グラデンス
アクラス召喚院の今の力は、 召喚術だけに頼るものではない。

グラデンス
たとえ召喚術が無くなろうと、 経済的な影響力はもちろん

グラデンス
武力としても多大じゃ。

グラデンス
そこら辺はすでにウォーロンが 動いておるわ。

カル
ウォーロンさんか……。

カル
ハアー、わかったよ。 俺が心配するまでもなかったな。

オーン
フン、そもそも召喚術だけに頼っているから そんな心配をするのだ。

オーン
己の力をさらに磨き続けろ!

オーン
でなければ、召喚術があろうがなかろうが そんな者は戦士にはなれん!

カル
オーンさんの言う通りだな。 耳が痛いよ……。

ルジーナ
お前らも俺のように召喚術以外も しっかりと鍛えるんだな。

ルジーナ
特にShou-chan、 お前はな!

パリス
どこまでも意地が悪いわね……。

セリア
でもまあ、それはそうかもねー。

セリア
Shou-chanから召喚術を取ったら 何も残らないものね。

ティリス
そんなことないよ~!

ティリス
召喚術が無くたって Shou-chanは凄いんだから!

セリア
例えばどこが凄いの?

ティリス
えっと…優しいところとか、 どんな時も諦めないところとか……。

セリア
精神的なところばっかりね。

ティリス
え~~ん! カルくん助けて~~!

カル
えっと、そうだなー。

カル
…………。

カル
解毒薬を作るのがうまいぜ!

セリア
そんな懐かしい話、 他のみんなは知らないから……。

カル
ハハッ、Shou-chan、 冗談だって。

カル
そう落ち込むなよ。

カル
お前の凄さは本当は みんなわかってるからさ。

パリス
フフッ、そうね。

パリス
私もShou-chanの 凄さは知っているわ。

パリス
このイシュグリアの地で 一緒に旅をして

パリス
それまで以上によく理解しているつもりよ。

カル
パリスさん、ありがとう……。

カル
って、なんで俺がお礼をしてるんだ!

カル
Shou-chan、 お前も何か言えって!

オーン
くだらぬ話はもういい。

オーン
俺は召喚術が消えることは 人にとって良いことだと考えている。

オーン
この力は人が元々持っていなかった いびつな力だ。

オーン
その力のせいで無駄な争いも 起きつつある。

オーン
ならば、いっそ消えてしまえばいいのだ。

オーン
人は召喚術が無くても強く生きてきた。

オーン
神々との大戦の時も エルガイアに逃れた時も

オーン
ルシアスの門が開いたその時までな。

オーン
俺は人の強さを信じている。 今までもこれからもな。

セリア
オーン様……。

ルジーナ
ケッ……。

カル
ハハッ、そうだな。

カル
オーンさんの期待を裏切らないように しないとな。

ティリス
うん、オーンちゃんは やっぱり良い子だね♪

パリス
ティ、ティリス様……。

オーン
女神ティリスよ。

オーン
我々アクラス召喚院の召喚老は 人が神から独立することを目指している。

オーン
しかしそれは、決して神々をないがしろに するということではない。

オーン
我々は人間を救ってくれたあなたに 心の底から感謝している。

オーン
あなたが我々に望むことがあるのなら 我々は全力でそれに応えるつもりだ。

セリア
オーン様が……。

パリス
怒っていたわけではないのですね……。

オーン
何を勘違いしている。

オーン
人を救ってくれた女神に対して礼節を 持って接するのは当然だろう。

オーン
問題なのはお前たちの言動だ。 この戦いが終わったら覚悟しておくのだな。

パリス
ちょ、ちょっと待ってください!

セリア
これはティリスが私たちに!

ティリス
ね、みんな言ったでしょ! オーンちゃんは素直な良い子だって♪

セリア
どこが“良い子”なのよ!

セリア
ルジーナ! アンタ、何逃げようとしてるのよ!

ルジーナ
うるせー! 俺を巻き込むな!

セリア
待ちなさいよ!

パリス
ま、待って! 私を置いていかないで!

カル
おい、2人とも待てって!

カル
ったくここまで来ても変わらねーなー。

グラデンス
フォッフォッフォッ、 相変わらず賑やかな連中じゃのー。

グラデンス
では、ティリスちゃん、アーク殿、オーン、 ワシらも出発するかの。

ティリス
そうだね♪

ティリス
Shou-chanも 早く行こうよ~~!

グラデンス
Shou-chanよ。

グラデンス
次はいよいよ、 カルナ・マスタとの決戦じゃ。

グラデンス
ヤツがその身を置く地の名は “虚空封界メノン”。

グラデンス
天をも貫く巨大な山の さらに先にある。

グラデンス
…………。

グラデンス
カルナ・マスタと戦ったワシにはわかる。 お主の力はこの戦いの鍵の1つじゃ。

グラデンス
決して油断することなく 戦いに臨むのじゃぞ。

グラデンス
お前は神託の巫女だけではなく、ワシら 今を生きる者の希望でもあるのだからな。