ここを越えればいよいよ 魔皇城エストリアね。

ここまでこれといった罠はなかったけれど 本命は城内かしら？

そうだろうな。

どこを通るかわからねーこんな場所じゃなく 確実に通る場所を選ぶだろうよ。

それじゃあ、こんな場所、 とっとと進んじゃいましょう。

もう邪魔は入らないと思うけど また何か面倒事が起きたら嫌だから。

そうだな。 それじゃあ、進むとするか。

カル様。

どうやらシュスイを倒したようですね。

もう！ やっぱり面倒事が起きた！

……貴様、カル様の友人と思って 見過ごしていたが失礼な女だな。

リオメルグさん、すまない！ セリアも悪気は無いんだ！

ただ、タイミングが悪かったって言うか なんて言うか……。

……まあいいでしょう。 今はたいした問題ではないので。

それよりも問題なのは、 カル様、あなたです。

俺？

カル、あなた、何をしたの？

いや…なんだろう……。

認識すらされていないのですね。 情けない……。

シュスイは最強の遺志を託す相手として

偉大なバリュオン様の血を引く あなたではなく、そこの召喚師を選んだ。

それを恥じずして何を恥じるというのです？

…………。

それに、見れば未だ魔神の力を 使いこなせていないようですね。

その程度で今のモーラと戦おうなど 思い上がりも甚だしい。

モーラは私が倒します。

あなたはそこの人間たちと一緒に隠れ 邪魔をしないようにしていてください。

リオメルグさん、俺は……。

…………。

言いたいこと言って 行っちゃったわね……。

ルジーナ、あなたは何も言わなかったけれど いいの？

ベルツが言っていたあなたの考え方と リオメルグの考えは違ったようだけど。

ケッ、このバカには言うまでもねーと思うが

今回の場合は、 リオメルグが全面的に正しい。

アイツは物理的じゃなく 精神的な強さの話をしてたんだからな。

…………。

結局、こいつは中途半端なんだよ。

人に頼らず自分でやろうとするクセに 自分１人じゃ何かを決める覚悟もねー。

優しいだ？

ただ、弱いだけだろーが！

ったく、こいつと一緒にいると こっちまで弱さが移っちまいそうだ。

おい、Shou-chan！ とっとと先に進むぞ！

シュスイがなんでお前を選んだのかは お前もわかってるんだろうが。

ルジーナも言うだけ言って 行っちゃったわね……。

カル、あまり気にしないで いいんじゃない？

むしろ、ルジくんがあれだけ ちゃんと話すなんて珍しいわよ。

…………。

そうだな。 ルジーナには感謝しないとな。

ハハハッ、でもお礼なんか言ったら 余計に怒られそうだな。

そうね。 私も言わない方がいいと思うわ。

よし、それじゃあ俺たちも 行くとするか。

せっかくまた一緒に行動できてるんだ。

みんなの足を引っ張らないように しないとな。