パリス
水に沈んだ都市か……。 ここにはどんな歴史があるのかしらね……。

セリア
パリス……あなた悩んでたんじゃないの?

パリス
あ、いやこれはクセというか なんというか……。

パリス
で、でも興味が湧かない? これだけの都市が滅んだ理由。

???
水竜都トレーヴ、この都市が滅んだのは カルナ・マスタが原因さ。

セリア
カル!

カル
よう。

セリア
よう、じゃないわよ!

セリア
この前はベルツが出てきたせいで ゆっくり話せなかったけど

セリア
今日は色々とたっぷり 聞かせてもらうからね!

カル
ハハッ、お手柔らかに頼むぜ。

カル
とはいえ、俺も今日は色々と話したいことが あるんでそっちが先でもいいかい?

カル
まずはこの都市のことも話したいしな。

パリス
!?

セリア
ハァー、いいわよ。 いくらでも先に話してちょうだい。

セリア
その代わり、終わったら しっかり私の質問に答えてもらうからね。

カル
ああ、それは約束するよ。

カル
で、この都市だけれども……。

パリス
カルナ・マスタに滅ぼされたって言ってた ようだけど、どういうことなの?

カル
パ、パリス落ち着いてくれ。

パリス
ご、ごめんなさい……。

カル
あーえっと、この都市には以前、水竜系の 血を引く魔神たちが暮らしていたんだ。

セリア
水竜系の血を引く魔神?

カル
ああ、リオメルグさんみたいな魔神さ。 みんなももう会っただろ?

パリス
ええ、あんまりいい出会いでは なかったけれど……。

カル
……なんとなく想像はつくよ。 なんかゴメン……。

カル
でも、あれで結構、 面倒見の良い魔神なんだぜ!

カル
まあ、リオメルグさんは水竜系じゃなくて 火竜系だけどな。

セリア
どっちでもいいわ。 つまり、ああいうのがいっぱいいたのね。

カル
そうだ。

カル
みんなも戦ったからわかるだろうけど 全員かなりの強さだったらしい。

パリス
あのレベルが大勢いると思うと 恐ろしいわね……。

カル
ああ、実際このイシュグリアでも かなりの力を持った勢力だったそうだ。

カル
征服欲が無いからこの地を出ることは なかったみたいだけどな。

カル
…………。

カル
だが、その連中も 一瞬で滅ぼされてしまった。

カル
グランガイアから墜ちてきた カルナ・マスタによって……。

パリス
信じられないわ……。

パリス
それだけカルナ・マスタの力が 強大ということなの?

カル
ああ、俺もすぐには信じられなかったよ。

カル
リオメルグさんだって十分な強さだ。

カル
それだけの実力者が何人もいたのに 一方的に敗れたらしいからな。

パリス
…………。

カル
Shou-chan、 確かにお前は神であるルシアスを倒した。

カル
でも、あくまでそれは力を失った神だ。

カル
俺はこの地で魔神たちと話して感じたよ。 神々の本当の強さと怖さを。

カル
俺たちが召喚する英雄たち。 その力を以ってしても敵わなかった神々。

カル
俺たちは自分たちの力を 過信してたんじゃないか?

カル
カルナ・マスタを復活させて倒し 本当の平和を手にする。

カル
それは思い上がりじゃないのか?

カル
強大な力を持つこの地の魔神たちが 恐れる相手を、俺は軽く見ることはできない

セリア
私たちだって軽く見てるわけじゃないわ!

セリア
でも、そうしないとティリスを 助けられないのよ!

カル
いや、助けられる。

セリア
どういうことよ!?

カル
ティリスが動けないのはこの地の魔神が グランガイアに出るのを防ぐためだろう?

セリア
ええ、そうよ。

カル
だったら、魔神たちをグランガイアに 行かないようにさせればいいだけだ。

セリア
だから、それができないから 私たちはこの地に来たんでしょう!

セリア
それに、いつ誰がカルナ・マスタの封印を 解くかもわからないのよ!

カル
それもさせない。

セリア
だから、どうやってよ!

カル
この地を支配する魔神バリュオンと その配下がイシュグリアを統一する。

セリア
えっ!?

セリア
そんなことできるの? でも、どうやって?

カル
俺がそうさせてみせる。

カル
魔神バリュオンの 息子である俺がな。

セリア
魔神バリュオンがカルの父親!?

カル
ああ、ベルツも言ってただろう?

カル
俺がこの地を支配する魔神の血を 引いているって。

パリス
血を引いているって、何代か前ではなく 直接っていうことなの?

カル
ああ、そうらしいな。

セリア
でも、カルにそれらしい感じは……。

セリア
それに、だったら母親は誰なのよ!

カル
母親についてはまだ教えてもらえていない。

カル
だが、どうやら人間であるような 予感はしているよ。

カル
でないと俺が人間の姿をしている理由が わからないからな。

セリア
カル……。

カル
まあ、そういうわけで俺は みんなの行動には反対だ。

カル
カルナ・マスタを倒すという アクラス召喚院の方針にはな。

パリス
…………。

カル
俺が話したい話はこれだけだ。

カル
それじゃあ、セリア、聞きたいことを 言ってくれ。

セリア
もういいわ。

セリア
カルの話の中に 知りたいことは全部あったから。

カル
そうか。 じゃあ、俺はもう行くよ。

カル
次に会った時こそ俺はみんなの敵だ。

カル
魔神バリュオンの息子として みんなの目的を阻止させてもらう。

セリア
カル……。

カル
セリア、そんな顔をしないでくれよ。 これは俺が選んだ道なんだ。

カル
それに俺は今、結構嬉しいんだぜ。

カル
俺の話を聞いてもShou-chanが まったく前と変わらないのを見られてな。

セリア
こいつはただ鈍いだけよ。

カル
ハハッ、そうかもな。

カル
Shou-chan、でもお前はそれでも 俺を親友と思ってくれてるんだろう?

カル
だから俺もお前を親友と思ったまま 戦うことができる。

カル
……何だか俺たちって難しいな。

セリア
ええ、面倒な関係ね。

カル
ハハッ、セリアは相変わらず厳しいな。

カル
きっとみんなはこのまま前に 進み続けるんだろうな。

カル
そしてリオメルグさんや俺と 戦うことになる。

カル
でも、これだけはお願いする。

カル
絶対に死なないでくれ。

カル
…………。

カル
それじゃあな。

セリア
無茶苦茶なこと言って……。 私たちだって同じお願いをしたいわよ……。

セリア
Shou-chan、パリス、行きましょう!

セリア
こうなったら力ずくでカルを説得するわよ!

パリス
自分が選んだ道……。 私がこの道を選んだ理由……。

パリス
私が本当にしたいこと……。