グラデンス
ワシやオーンがまだ若い頃、 1人の女性を取り合った話から始めるかの。
グラデンス
なあ、Shou-chan、 お主ならわかるじゃろう?
グラデンス
あー、すまんかった。 ちょっとワシなりに言い出しづらくての。
グラデンス
では、話すとするかの。 アクラス召喚院設立の話を……。
グラデンス
ルシアスの門が開き、オーンが初めて その門からグランガイアへと向かった。
グラデンス
その後、同じように門を見ることができた ワシやウォーロンたちとともに
グラデンス
オーンはグランガイアを 冒険していったのじゃ。
パリス
はい。皇国にもその伝説は 伝わっています。
グラデンス
フォッフォッフォッ、伝説とは これまた大げさじゃな。
グラデンス
ワシらはただ未知の世界の冒険を 楽しんでいただけじゃよ。
グラデンス
それこそ伝説でしか聞いたことのない グランガイアの地の冒険をな。
グラデンス
グランガイアに関する情報は 今と違ってほとんど残っておらず
グラデンス
手探りの状態で各地を 冒険していったのじゃ。
セリア
その話は私も少しだけ 聞いたことがあります。
セリア
今、私たちがグランガイアを冒険できるのは 先人たちが情報を集めてくれたからだと。
グラデンス
その情報を集めてくれたのはワシらではなく 欠番となっている魔討隊の隊長たちじゃよ。
グラデンス
ミーファが敬愛する後のイシュグリア先遣隊 の者たちじゃな。
グラデンス
ワシらはただ自分の興味の向くまま 冒険をしていただけじゃよ。
グラデンス
他の者ではできないような危険な冒険をな。
グラデンス
だから、召喚院の設立後に他の者に 彼の地を調査・探索させたのじゃ。
グラデンス
ワシら以外でもグランガイアを 冒険するための道標を作るためにな。
グラデンス
召喚院の設立前、オーンやワシらが 興味の向くまま冒険をしていた頃、
グラデンス
そう、それは無数の書物の中に紛れた 小さな紙片。
グラデンス
普通の探索では間違いなく 見逃すようなちっぽけな存在だった。
グラデンス
じゃが、なぜかワシらは それに惹きつけられた。
グラデンス
その紙片に出会うことがワシらの 運命だったかのようにな……。
グラデンス
まったくよくわからん短い言葉と 作者の名前だけじゃったよ。
グラデンス
ワシらは何か肩透かしをくらった気がして その紙片のことは忘れようとした。
グラデンス
じゃが、他の遺跡や戦場跡でもその者の名を 記した物が発見され続けたのじゃ。
グラデンス
時にそれは石板に記された言葉であり、 時にそれは壁に記された言葉でもあった。
グラデンス
そしてそれぞれを読んでも 何も理解できない不思議な言葉だった。
グラデンス
しかし、それを読み続けたワシらは いつしかその者の意志を理解し始めた。
グラデンス
神々と人の戦いの真実を記したその記録が 神々にみつかり消されることをな。
グラデンス
だから、その者はグランガイアの各地に 短い言葉を己の名とともに残した。
グラデンス
人と神々の戦いの真実。 彼の者とその仲間たちに訪れた悲劇。
グラデンス
そして、その存在を倒すために 有益と思われる数々の情報をな……。
グラデンス
様々な形で、様々な言葉で いくつもいくつもいくつも……。
グラデンス
人が神から離れ1人で歩けるようになる日を 信じてな……。
グラデンス
その者の名は アクラス・Z・ミューゼル。
グラデンス
かつて神に仕える身でありながら 神の真意にいち早く気付き反旗を翻した者。
グラデンス
ともに戦った仲間の無念を晴らすため 各地に記録を残す孤独な戦いを続けた者。
グラデンス
オーンとワシらはその者の意志に気付いた時 その遺志を継ぐ決意をしたのじゃ。
グラデンス
人を神々から独立させるという遺志をな。
グラデンス
そして、召喚院の設立を開始した。 その者の名を冠として付けてな。
パリス
アクラス召喚院の設立については しっかりと理解できました。
パリス
そこにはルシアスの暗躍が記されて いたのですね?
グラデンス
だからワシらは召喚院を 大きな組織にしようとした。
グラデンス
人を救ったとされる神に敵対しても 人に滅ぼされないだけの力を得るためにな。
セリア
では、カルナ・マスタ様を倒す理由も そこに記されていたのですか?
グラデンス
カルナ・マスタについては こう書かれておったよ。
グラデンス
“人を滅ぼすことを最初に決めた神”とな。
グラデンス
つまり、ルシアスにより一度は人が 救われたのは事実じゃ。
グラデンス
じゃがルシアスの目的はあくまで秩序ある 世界を守り続けること。
グラデンス
人を守ったことなどその目的のための 手段でしかない。
グラデンス
それこそ、ルシアスの気分次第で いつ滅ぼされるかわからぬ状況だったのは
グラデンス
そのルシアスが封じた神、カルナ・マスタ。
グラデンス
それは大神皇とは名ばかりの 乱神だったようじゃ。
グラデンス
その強大な力を恐れ他の神々は カルナ・マスタの意志に従った。
グラデンス
例えそれがどれだけ理不尽なことで あろうともな。
グラデンス
それ故にルシアスはカルナ・マスタを 封じることを画策したのじゃ。
グラデンス
だが、ワシらは自由を得るために カルナ・マスタを封じたルシアスを倒した。
グラデンス
じゃがルシアスが倒れたことで カルナ・マスタの封印も弱まる。
グラデンス
いつかその封印も解かれることじゃろう。
グラデンス
人はまたいつ神に滅ぼされるか 怯えながら生きなければならぬのか?
グラデンス
気まぐれで人を滅ぼすような乱神は 倒さねばならんのじゃ。
グラデンス
例えそれがどれだけ強大な神で あろうともな。
グラデンス
セリア、パリス、 そしてShou-chanよ。
グラデンス
神々から人が真の独立を勝ち取るため ともに戦うことを選んでもらえぬか?
グラデンス
じゃが、ここまで話したからと言って お主たちに無理強いはせん。
グラデンス
カルもおそらく同じ話を聞いたの じゃろうが、
パリス
正直、まだどうしたらいいのか 判断できていません。
パリス
真に人のことを思う気持ちが 感じられました。
パリス
私が今回選んだ場所は 間違っていなかったのですね……。
グラデンス
パリスちゃんにそう言ってもらえると ワシも少しは救われるの。
セリア
現状維持をしていた場合、 ティリスはどうなるのですか?
グラデンス
普通に考えれば、ティリスちゃんが その役割を止めた時、
グラデンス
同時にこの地に封じられたカルナ・マスタの 封印も解かれるとワシらは考えておった。
グラデンス
じゃが、カルにはどうやら別の 考えがあるようじゃ。
グラデンス
それは直接本人に聞いてみんと わからんことじゃな。
セリア
わかりました。 では、直接聞くことにします。
セリア
私は相手が大神皇であろうと何だろうと 戦うつもりです。
セリア
Shou-chan、アンタも もちろんそのつもりよね?
グラデンス
セリアもShou-chanも ティリスちゃんが大好きなのじゃな。
グラデンス
もちろんワシもティリスちゃんのことは 大好きじゃぞ。
グラデンス
どちらにせよ、カルナ・マスタを倒せば ティリスちゃんは自由になる。
グラデンス
だからワシはこの地でカルナ・マスタの 封じられた場所を探していたのじゃ。
グラデンス
これがワシが隠しておった 召喚院設立と目的についてのすべてじゃ。
グラデンス
ワシは一度、離れるので ゆっくり考えてくれ。
グラデンス
お主たちの今の目的は この地の魔神を倒すことなのじゃから。
パリス
アクラス・Z・ミューゼル……。 不思議な名前ね。
パリス
初めて聞いたはずなのに、 なぜか懐かしい気がするわ……。
セリア
神々に滅ぼされる世界の中で 命がけで言葉を残した人か。
セリア
どんな想いで戦い続けたのか 私程度じゃ想像もできないわね……。
セリア
とはいえ、私たちは自分たちが生きる この今で戦わなくちゃいけない。
セリア
きっと魔神たちとの戦いの中で 自分自身の答えもみつかるはずだから。