敗北ヲ確認 自動強化機能発動……

Shou-chan！

Shou-chan、大丈夫？

って、何よ……。 この大きいのは……。

敵体数ノ増加ヲ確認 対応可能ト判断スル

ハァハァハァ……。

これは……ベイオルグ？

ああ、資料の絵からは だいぶ大きくなってやがるが

元になる部分は同じだな。

２人とも遅いじゃない！

ごめんなさい。 気付くのが遅れてしまって……。

あれだけ大きい音がしたんだから もっと早く気付いてよ……。

んなこたーどうでもいいんだよ。

遅かろうが早かろうが、どうせ相手するのは Shou-chanなんだからよ。

で、問題なのはこいつをどうするかだ。

敵体数ノサラナル増加ヲ確認 戦闘続行ハ危険ト判断

タダチニ離脱ヲ開始

いっちまったな。

ええ、もう少し細部を見たかったんだけど 仕方ないわね。

……あ、ごめんなさい！

Shou-chan、ベイオルグと 戦闘になったみたいだけど怪我は無い？

気にしなくていーわよ。

Shou-chan、アンタならこの程度 何でも無いわよね？

それより、パリスとルジーナは あの変なのをベイオルグって呼んでたけど

下で何かわかったの？

ええ、Shou-chanとセリアの おかげでゆっくり調べられたから。

さっきの敵の名前は ベイオルグ。

異界の研究者が作った 意志ある鎧“六鎧”の１つよ。

やっぱりそうなんだ。

でも、アレはどう見ても 鎧には見えなかったけどね……。

フフッ、それがね、 そこが六鎧の特徴みたいなのよ。

どういうこと？

六鎧を開発した研究者は

意志を持ち所持者を守るモノを “鎧”と定義したそうなの。

だからそれらは自分が守るべき対象を 徹底して守るそうよ。

まあ、それも鎧って言えば鎧に…… なるの？

俺に聞くな。 んな概念的な話に興味なんざねーよ。

六鎧のもう１つの特徴として “自己進化”ってのがあるんだけど

六鎧は状況に応じて自身を強化させる機能を 備えているようなの。

それって、何か怖い話じゃない？

いつか作った人をも越えちゃいそうな……。

ええ、かなり危険なことよ。

実際、その研究者も暴走した六鎧の 最後の１つに殺されかけたみたいだし。

その研究者、ただのバカじゃない！

しかも、そのせいで安全装置的に用意した 六鎧の１つが

世界自体を“研究者を見捨てた敵”と 判断して元の世界を破壊してしまったの。

なにそれ……。

研究者の記録によると、その大破壊の際に 異界への扉が開き、

残った六鎧もバラバラに散ってしまったって 嬉しそうに書いてあったわ……。

その１つがこのイシュグリアに流れた ベイオルグ。

研究者的には六鎧の中でも ベイオルグは最高傑作らしく

その後を観察したかったそうなの。

それで本人も ここまで追ってきたってことね。

それってただの変人じゃない……。

否定はしないわ……。

話がなげー。

それより話すべきことは ヤツの特徴だろうが。

そ、そうね。 ごめんなさい……。

研究者がベイオルグを最高傑作とした理由は

それが他には無い機能を 搭載していたからなの。

他には無い機能？

ええ、敗北をしたことで 相手の強さを越える機能よ。

つまり、強い相手に負ければ負けるほど ベイオルグは強くなるわ。

実際、研究者はこの地を元々支配していた 魔神と組んで

下の研究所でベイオルグを強化するための 自動人形も作ったみたいだし。

当然、その自動人形は最終的には ベイオルグに破壊されたようだし、

魔神も倒されてしまったようだけどね。

本格的にバカばっかりなのね……。

まあいいわ。

で、あのベイオルグとかいう鎧は 何を目的にしてるの？

何かを守るのが鎧だとしたら ヤツは何を守ってるの？

コイツはまた核心をついて きやがったな……。

それは資料にも 記されて無かったわ……。

でも、ベイオルグの行動を推測する限り この地にある何かではあるようよ。

ベイオルグが敵対したのは この地に入った強力なものだけ。

それは人も魔神も関係無いわ。

その行動はこの地にある何かを 外敵から守っているかのよう……。

で、私たちも敵って 認識されたわけね。

大体わかったわ。

ベイオルグってのが 面倒くさい相手ってことがね。

コイツ、絶対に理解してねーな……。

いちいちうるさいのよ！

で、パリス、この後はどうするの？

ま、まあ、とりあえず、このまま ここにいるのは危険そうね。

またいつベイオルグが戻ってくるか わからないし。

ひとまず、ここから見える 都市部っぽい場所に行ってみましょう。

でも、先に進めばアイツにまた 襲われるんでしょ？

そうね。

でも、戻っても仕方が無いし、

あそこにも何か有益な資料が 残っているかもしれないしね。

わかったわ。 とりあえず、そこを目指しましょう。

ねえ、パリス。 私の予想を言ってもいい？

何かしら？

この後、絶対に 全員バラバラになると思うわ。

途中にパリスたちの興味をそそりそうな物が たくさんありそうだから。

…………。

まあ、気にしなくていいわよ。

パリスは私が守ってあげるから。

Shou-chan、アンタは今回も しっかり道を切り開いておくのよ！

無事に都市部まで行けたら きっとルジくんがご褒美をくれるわよ。

メンドクセー話に俺を巻き込むな！