アーク
ここに来たということは 覚悟はできたということだな。

カル
ああ。 覚悟はできたよ。

セリア
ここに来てるんだから 聞くまでもないでしょ?

パリス
私はエリオール様を裏切った お前を信じない。

パリス
だが、今、一緒にいる この召喚師たちのことは信じられる。

パリス
それだけよ。

ルジーナ
ケッ、こいつらの顔を見ればわかるだろ?

ルジーナ
お前はこいつらの面倒なスイッチを 入れちまったんだよ。

ルジーナ
さあ、今度こそお前の本心を 話してもらうぜ。

アーク
…………。

アーク
ティリス。 お前はどうだ?

ティリス
もちろん、できれば戦いは避けたい。

ティリス
でも、私はShou-chanの 選択を信じる!

アーク
Shou-chanか。

アーク
お前がこの地に降り立ったのは 運命だったのかもしれないな。

アーク
俺はお前の訪れを 待っていたのかもしれない。

アーク
神を越える可能性を持つ 召喚師の訪れをな。

アーク
…………。

ティリス
アーク?

アーク
お前たちの覚悟はわかった!

アーク
ならば、俺も覚悟を決めるとしよう!

アーク
ルシアスと決別し、 この仮面とともに過去を捨てる覚悟をな!

アーク
……素顔を人に見せるのは いつ以来かな。

アーク
俺の存在を人の記録から消すため 常に仮面を被っていたが、

アーク
もうその必要もない。

アーク
俺が知るすべての真実を お前たちに伝えよう。

アーク
それにより、 人は滅びへと向かうかもしれない。

アーク
もう後戻りはできない。

アーク
それでも、俺はすべてを話す。

アーク
これがお前たちの覚悟に応える 俺の覚悟だ。

ティリス
すべての真実……。

アーク
俺は神々と人の大戦が始まる少し前、

アーク
“神託の塔”で 巫女とともにルシアスに仕える騎士だった。

アーク
当時、護神十二聖の筆頭が反乱を起こし

アーク
グランガイアは徐々に その秩序が乱れ始めていた。

アーク
そんな中、ある日、巫女の元に ルシアスより神託が降された。

アーク
「大神皇カルナ・マスタが 人間を滅ぼすことを決定した」と。

パリス
そんな……。 カルナ・マスタ様が人を……。

アーク
俺と巫女はあまりの内容に 途方に暮れていたが、

アーク
再びルシアスより 神託が降された。

アーク
「カルナ・マスタを倒し 人の世界を守れ」と。

アーク
俺と巫女は人を救ってくれるという ルシアスの言葉を信じ、

アーク
仲間を集めカルナ・マスタの元を 目指したんだ。

ルジーナ
聞いたことの無い話だな。

アーク
当時、世界は護神十二聖同士の戦いに 目が向いていたからな。

アーク
それに、俺たちは秘密裏に 動くことを決めていた。

アーク
カルナ・マスタの意思が知られたら それこそ世界は大混乱に陥るからな。

カル
…………。

アーク
その後、俺たちはルシアスに導かれ、 カルナ・マスタの元へとたどり着いた。

アーク
しかし、俺たちの前に現れた 大神皇は傷を負った状態だった。

アーク
俺たちはそれを好機と考え、 カルナ・マスタとの戦いを選んだんだ。

アーク
人を救うためにな。

アーク
傷ついているとはいえ、 カルナ・マスタの力は強大だった。

アーク
仲間たちが倒れていく中、 俺と巫女は最後の力を振り絞り

アーク
カルナ・マスタに渾身の一撃を放った。

アーク
その一撃はカルナ・マスタに 大きな傷を負わせたが、

アーク
ヤツを倒すまでには至らなかった。

アーク
俺と巫女は死を覚悟したよ……。

アーク
だが、その時、ルシアスが現れ ゲートを開いた。

アーク
ヤツは俺たちがカルナ・マスタに 隙を作るのを待っていたんだ……。

アーク
ゲートはカルナ・マスタともども すべてを飲み込み閉じられた。

アーク
俺は何とか難を逃れたが 巫女はカルナ・マスタと一緒に……。

アーク
だが、これで人を滅ぼそうとした神 カルナ・マスタは封印されたんだ。

セリア
やっぱりルシアス様が 人を救ってくれたんじゃないの?

アーク
そうだ。 この時はな。

アーク
俺はカルナ・マスタを倒したことで 人は救われたと思っていた。

アーク
これで、戦いで散った仲間たちも

アーク
ゲートの彼方に消えた巫女も 報われると思ったよ。

アーク
だが、その考えは甘かった。

アーク
俺はカルナ・マスタとの戦いの後 意識を失ったが

アーク
ルシアスの力で 神託の塔に戻っていたらしい。

アーク
そして、数ヶ月後に目覚めた時、 神と人の戦いは終局に向かっていた。

アーク
俺は急ぎルシアスに状況を確認したよ。

アーク
だが、そこで返ってきた答えは 俺を絶望させるのに十分な内容だった。

ティリス
…………。

アーク
当時、ルシアスに仕えていた 別の神徒が俺に言ったんだ。

アーク
「神々は カルナ・マスタを封じた人間を憎み

アーク
人を滅ぼすための戦いを開始した」とな。

アーク
どうやら、神々が戦いを決意したのは 俺が原因ってことになったようだった。

セリア
そんな……。

アーク
さらに、神徒は続けて言ってきた。

アーク
「お前の力を再び貸せ。

アーク
このままでは神々によって 人は完全に滅ぼされてしまうだろう。

アーク
だが、人の希望である六英雄を お前が殺せば

アーク
神々は溜飲を下げ、

アーク
一部の人間をルシアス様が 救ってくださるだろう」と。

ルジーナ
で、それを信じて 六英雄をぶっ殺したわけか。

アーク
…………。

アーク
六英雄は強かったよ。

アーク
俺1人では勝てる相手ではなかった。

アーク
色々な手を使い、 彼らの力を削ぎ、

アーク
1人、1人始末した。

アーク
彼らがもしまとまって戦うことが できていれば

アーク
人間は神に勝っていたかもしれないな。

ルジーナ
お前がそれを邪魔したんだろーが!

アーク
…………。

カル
人質か……。

アーク
……そうだ。

アーク
ルシアスの神徒は

アーク
ゲートの向こうに消えたと思われていた 神託の巫女……

アーク
俺の恋人を人質に取っていたんだ。

セリア
恋人を……酷い……。

ルジーナ
ケッ、世界の希望を殺してまで 守りたい恋人とは

ルジーナ
たいそうな女だなー!

アーク
もちろん、それだけが理由じゃない。

アーク
あのまま六英雄が神々に勝利し ルシアスと対峙していたら、

アーク
また別の問題が起きていたはずだ……。

アーク
とはいえ、俺もそのまま大人しく 従っていたわけじゃない。

アーク
六英雄を倒した俺は、

アーク
巫女を返してもらうため ルシアスに謁見した。

アーク
そして、巫女を取り戻した直後、 俺はルシアスに襲いかかったんだ。

アーク
俺はルシアスを追い詰め とどめを刺そうとしたが

アーク
その時、ヤツの神徒が 俺に襲いかかってきた。

アーク
巫女がその攻撃を防いでくれたが ルシアスはその隙に

アーク
神徒もろとも巫女を 再び封じてしまった。

アーク
呆然とする俺に

アーク
傷つき力を失ったルシアスは 提案をしてきた。

アーク
巫女を生かし続ける代償として 自分の手足となり動け、とな……。

アーク
そして俺は人を捨て 黒の隠者となった。

カル
……なるほどな。

ルジーナ
で、この話が真実だって 証拠はあるのか?

アーク
信じるかどうかはお前たちの自由だ。

カル
アークさん、ひとつ気になることがある。

カル
なぜ、今になってルシアス様に 逆らう決心をしたんだ?

カル
恋人はまだ封じられたままなんだろう?

アーク
それは……。

頭に響く声
人間たちよ……。

頭に響く声
愚者の魂を破壊せよ……。

セリア
な、なに! この頭に響く声は!?

ティリス
この声は……ルシアス様!

我が名はルシアス…ゲートを司る神…


四堕神を倒せし者…Shou-chanよ…


汝の前に立つ愚者を滅ぼすがよい…


神への畏敬を忘れ世界を混沌に導く者を……


我が意思は世界の意思……逆らう者は世界の敵なり……


アーク
クッ……やはり気付かれていたか。

セリア
今のがルシアス様の声……。

カル
四堕神とは次元の違う 力を感じたな……。

パリス
それでいて、 神聖な何かも感じられたわ……。

ルジーナ
で、アークさんよ。

ルジーナ
ルシアス様は、 アンタを倒せって言ってたぜ。

アーク
…………。

カル
ハアー、そんな顔しないでくれ。

カル
俺たちはルシアス様に会って 話を聞くって決めたんだ。

カル
あんたの話が真実かどうかは ルシアス様と会って決めるさ。

アーク
ならば、今は先に進むとしよう。

アーク
時間が経てば経つほど ルシアスの傷は癒えていくからな。

アーク
話の続きはこの先でさせてもらう。

ルジーナ
これ以上、長話が続くのかよ……。

パリス
嫌ならムリに聞かなくてもいいのよ。

ルジーナ
ハン、お前たちだけじゃ まともな判断なんざできねーだろうから

ルジーナ
俺も聞いてやらなきゃダメだろーが。

セリア
何様のつもりよ……。

セリア
ルジくんの分際で……。

ルジーナ
あんだとコラ!

セリア
うるさいわね!

セリア
それよりティリス!

セリア
アンタ大丈夫なの!?

ティリス
うん、大丈夫!

ティリス
私が知ってる今のルシアス様と

ティリス
アークの話した昔のルシアス様が 全然違うからちょっと混乱してるだけ。

ティリス
やることが変わらないのは わかってるから心配しないで!

セリア
ティリス……。

ティリス
ね、Shou-chanも大丈夫だよね!

ティリス
ホラホラ、Shou-chan! ボーっとしてないで!

ティリス
出発するよ~!

ティリス
ルシアス様がいる グランガイア封穴まで後少し!

ティリス
みんなが一緒なら きっとうまくいくよ♪

ティリス
ね、そうだよね? Shou-chan……。