アーク
試練を乗り越えてきたか。

カル
ああ、これで俺たちは ルシアス様に会うことができるのかな?

アーク
荒削りながらお前たちの力は 確かに強い。

アーク
カルナ・マスタ様の力を借りているとはいえ

アーク
その力はかつての英雄たちにも 引けをとらないだろう。

カル
どういうことだ?

アーク
お前たちは自分たちが使っている力の 正体も知らないのだな。

アーク
グランガイアに来たことで お前たちが使えるようになった召喚術。

アーク
それは、カルナ・マスタ様の呪いだ。

カル
呪いだって……。

セリア
バカなこと言わないでよ! そんな訳ないじゃない!

アーク
お前たちも薄々気付いていると思うが

アーク
かつてルシアス様とカルナ・マスタ様は 対立した。

アーク
そして、カルナ・マスタ様は ルシアス様により封じられてしまう。

ティリス
そんな!

ティリス
ルシアス様は、カルナ・マスタ様と 話してるって……。

ティリス
ルシアス様はウソをついたの?

アーク
それはウソではない。

アーク
ルシアス様は自身が封じた カルナ・マスタ様と

アーク
唯一、言葉を話せる存在だからな。

ルジーナ
そういうことか。

アーク
ルシアス様に封じられたカルナ・マスタ様は その間際に世界に呪いをかけた。

アーク
この地の人間が、神をも越える力を 手に入れる呪いをな。

アーク
英雄の魂を甦らせ使役する術。

アーク
人が神を倒すための術。

アーク
それがお前たちが使う召喚術の正体だ。

セリア
そんな……。

アーク
その後、ルシアス様は人に その力が伝わるのを恐れ

アーク
自身の強大な力で 呪いが広がるのを止めていたが

アーク
かつての大戦で傷ついたことで力を失い 呪いはこの地すべてに広がることになった。

セリア
で、でも、おかしいじゃない!

セリア
だったら、どうして扉を開いて 私たちをこの地に導いたのよ!

ルジーナ
人間以上に四堕神の脅威の方が 大きかったからだろ。

ルジーナ
エルガイアの人間全員が こっちに来られない理由も

ルジーナ
召喚術を使える人間が増え過ぎると 自分も危なくなるからってとこか。

ルジーナ
話が進まねー。 後は自分で考えろ!

セリア
うっ…………。

ルジーナ
俺が聞きたいのはそんな話じゃねー。

ルジーナ
結局のところ、ルシアスは 俺たち人間をどうしてーんだ?

アーク
それは直接、ルシアス様に聞くがいい。

ルジーナ
ハンッ! 結局それかよ!

ルジーナ
まあいい。

ルジーナ
それじゃあ、別の質問だ。

ルジーナ
アークさんとやら、 アンタは俺たちに何をやらせたいんだ?

アーク
…………。

アーク
この地はかつて、 人と神々を結ぶ聖域のひとつだった。

アーク
ラ・ヴェーダの聖域は 大神皇カルナ・マスタ様と、

アーク
護神十二聖が守る聖域は 十神の他の神々をそれぞれ結び、

アーク
そして、この神託の塔は 封神ルシアス様と結ばれていた。

アーク
俺はこの地を巫女とともに守る 神託の騎士と呼ばれていた。

パリス
神託の…騎士……。

アーク
バリウラという地は神々への畏敬が少なく この塔も当時から寂れていたがな。

アーク
それは、当時のルシアス様が

アーク
力がありながらも カルナ・マスタ様の副神として

アーク
あまり表に出なかったことも一因だろう。

アーク
つまり、俺は遥か昔から ルシアス様に仕える騎士。

アーク
元より人間でありながら 人間に与しない存在だ。

ルジーナ
ケッ、つまりは俺たちの実力を 認めてねーってことだな。

ルジーナ
いいぜ、これからお前をぶっ倒して 本心を吐き出させてやろうか?

ティリス
ルジくん待って!

ティリス
アーク、私、気付いてたよ。

ティリス
あなたがその仮面の下で 何か悲しそうにしてたのを。

ティリス
だから、その悲しさを少しでも 私たちに話して。

ティリス
この人たちは信用できる。

ティリス
あなたの数百年の悲しさを きっと和らげてくれるよ。

ティリス
ね、アーク。

アーク
…………。

アーク
お前たちの力は確かに認める。

アーク
もしかしたら、ルシアス様をも……。

アーク
だが、お前たちに覚悟はあるのか!

アーク
ルシアス様と戦う覚悟が!

カル
俺たちはルシアス様と戦うつもりはない。

カル
話し合いたいだけだ。

アーク
そんな甘い考えが通じる方ではない。

アーク
従うか倒すか。

アーク
お前たちには2つの道しかないのだ!

アーク
覚悟があるならば“帝都バリウラ”まで 来るがいい。

アーク
そこで、すべてを話そう。

アーク
だが、覚悟をしておくのだな。

アーク
ルシアス様はすべてを見ておられる。

アーク
この会話さえも!

アーク
すべてを知った上で俺を!!

アーク
クッ……。

アーク
まあいい。

アーク
少ない時間とはいえ、 しっかりと考えるのだな。

アーク
人間の未来はお前たちの 選択にかかっていると思え……。

ティリス
アーク……。

カル
ルシアス様と戦う覚悟か……。

カル
みんな、どう思う?

セリア
私はもちろんできてるわよ。

セリア
どっちにしろゲートを閉じるつもりなら 戦うつもりだったしね。

パリス
私はわからない……。

パリス
でも、ルシアス様に会って 話は聞いてみたい。

パリス
エリオール様のことをどう思い 力を貸していたのか。

ルジーナ
ケッ、まだ気にしてるのかよ。

ルジーナ
面倒な女だな。

カル
ルジーナ、止めろって。

カル
で、お前はどうなんだ?

ルジーナ
俺か?

ルジーナ
要は俺たちが使う召喚術ってのは 神様を倒すためのモンなんだろ?

ルジーナ
だったら、試してみるのも いいんじゃねーか?

ルジーナ
カルナ・マスタ“様”の願いは 聞いてやらねーとな。

カル
フー、どこまで本気なんだか……。

カル
で、Shou-chan。

カル
お前はどうする?

カル
っと、その前に女神さんか。

ティリス
私は……。

ティリス
ルシアス様とは戦いたくない……。

ティリス
でも、ルシアス様が何か悪いことを 考えてるならそれは止めたい……。

ティリス
そのためには、戦うのも 仕方が無いと思ってる!

カル
女神さん……。

カル
じゃあ今度こそShou-chanだ。

カル
お前の覚悟を聞かせてくれ。

カル
…………。

カル
ハハハッ、女神さんの 気持ちを聞いて

カル
お前も心は決まったみたいだな。

セリア
当たり前じゃない。 こいつがティリスを困らせると思う?

ティリス
Shou-chan~! ありがと~~~!!

ティリス
でも、私がルシアス様と 戦わなくてすむようにがんばるから

ティリス
Shou-chanもみんなも 無茶だけはしないでね!

セリア
わかってるわよ。

カル
いや、セリアが一番心配なんだが……。

セリア
カル、何か言った?

カル
い、いや何でもない。

カル
よっし、それじゃあアークに会いに “帝都バリウラ”に向かうとするか!

カル
現在に生きる人間の覚悟を 神託の騎士さんとやらに伝えてやろうぜ!