グハッ……！！

バ、バカな……。

今の俺が召喚師ごときに 力負けしただと……！？

そんなことが……あるはずが……。

クッ……！！

な……に……？ 力が……離れて……。

ラナス様……。

一体何が起きてるの！？

……………。

……………。

封神……竜…… なぜだ……。

どうやら、お主の身体が、真の召喚の力…… カルナ・マスタの力に

耐えられなかったようじゃな。

グラ爺、オーンちゃん！！

今まで任せてしまってすまなかったな。 ようやく追い付くことができたわい。

ラナスのあの様子……

ティリスが言ってたように、人間が大神皇の 力を宿すのはやはり無理だったってことか？

うむ……それもあるのじゃろうが……。

俺の身体が耐えられなかっただと！？

召喚術よ……どこまでも…… どこまでも、この俺を拒絶するのか！！

ラナス様……。

ならば、もう何の力にも頼らん！

俺自身の力だけで……貴様らを…… 召喚師を超えてみせる！！

もうよせ……お主の負けじゃ……。

俺は……まだ負けてなどいない！！

ラナス……。

無駄だ。説得に応じるような男ではない。

ラナスよ、再び相手をしてやる……。

だが、先程のようなまぐれが、 ２度も起こるとは思うなよ。

オーン、貴様……。

おのれ…… ふざけるな……

グハッ……！！

…………。

クッ……。 ラナス様、ここは一旦退却を！！

メル！！

……！！

フン……。

退却だと……何をバカな……！？

貴方様は召喚院に対抗できる唯一の存在。 そして、人類の未来を切り拓く存在。

ここで倒れて頂くわけにはいかない！！

ギャレット……。

私は退路を切り開きます！

メル、 お前はラナス様をお守りしなさい！！

分かっ……

グッ……！！

…………！！

ッ……ググッゥツ……！！

………！？

ラナス様……！？

グアオォォォアアァァッッ……！！

また苦しみ出した……！？ 今度は……一体……？

何……？ あの人から感じる波動みたいなものは……？

すごく……嫌な感じがする……。

…………。

…………！！

この感覚……！

ラナス様……そのお姿は……？

…………。

…………。

…………！！

！？

グフッッ……！！

…………。

ラナス……様では……ない……のか？

…………。

どうやら人の身ながら、 そこそこ身体は動くようだな。

ここは……。 そうか……我を封じた異界か。

やはり、この波動………。

我々が一番恐れていたことが…… 起きてしまったというのか……！？

ほう……。 貴様らは確か炎皇神と海皇神の神徒の……。

なるほど……カルナは我を封じるだけでなく 監視役として貴様らも残したというわけか。

悌神皇…… 貴様らも、その名で我を呼ぶか……。

アルザ・マスタ……！？ 封神竜に封じ込められてたっていう神か！

なぜだ…… なぜ悌神皇がこの男の中に……？

…………。

この人間が封神竜の力を奪った際、 必然、我の魂もその中に入った。

そしてこの身体の限界を迎え、 封神竜……カルナの力は放出されたが、

その時、我も檻より解き放たれたのだ……。

……………。

この男の心に働きかけた甲斐が、 あったというものだ。

………！！

お前が……ラナスを変えたというのか！？

その感情…… 我に怒りを抱いているようだな。

だが、心に働きかけたと言っても、 心の奥底に眠るものに僅かに干渉しただけ。

他者に対する強い念などは、 この者自身が生み出したものだ。

…………。

さらに言えば、数多の世界に対して 我が数多く撒いた種の１つというだけの話。

もっとも、事態がここまで上手く運んだのは 我も想定外のことであったがな。

そのようなことは……どうでもいい。 俺は貴様をここで始末する！

そうじゃな……！！

Shou-chan、連戦になって悪いが、 俺たちも奴を止めるぞ。

離れていても十分に分かるほどの あの禍々しい力……

放っておけるはずがないからな！

セリア、ティリスも大丈夫だな？

ええ！

うん！

サートゥルス、私らも行くよ！

分かっている……。

封神竜よ、神を封じるその力、 再び使えるか！？

問題……ナイ……。

我ヲ喚ビシ存在ノチカラ…… 再度発現サセヨウ！！

…………。

笑止な……。

グッガッ……！！

グッ……！！

クッ……。 キャッ……！

ムッ……！ グッ……。

バカな……！！ この力……あり得ぬ！！

この封神竜が健在ならば、 再び我を封じ込めるとでも思っていたのか？

魂さえ自由になれば、封神儀などという 玩具まがいのものに力を阻まれる我ではない

グッ……。

動くことが……できない……。 戦いにすら……ならないなんて……。

これが本来の神の力というものだ……。

これまで貴様らが戦ってきた、 まがい物の神とは違う、本当の神のな。

真の大神たる我の力を恐れながら、 滅するがいい！！

………！？

この光……一体？

Shou-chanに集まってる……？

お主、アルザ・マスタの力の中でも 動けるのか……？

この光……封神儀の力か！？

だが、封神竜からのものではない。

別の世界からの……？

別の世界って……。

まさか……！！

…………。

フウシンキ……オレタチハ、 マスター・レダノ、メイレイデキタ。

……………。

ゲンザイ、チガウセカイデ、タタカッテイル

マスター……トモダチ・ティリスタチノタメ オマエニ、キョウリョクヲ、ヨウセイスル！

……………。

……………。

テメー、オレサマヲ、ムシスルトハ、 イイドキョウジャネーカ！

……………。

……………。

ポポ…パパ……ジ！！

要請ヲ了解……。 情報ヲ共有スル……。

状況ヲ確認……。

ＳＣＯＵＴ－Ｆ０３、ＲＥＰＴＯ－ＭＴＸノ 要請ヲ受諾スル。

コレヨリ本機体ノ、エネルギーヲ、 該当ノ人間ニ送ル……。

……………。

ピ…ジ……ポポ！！

悪いわね。付き合わせちゃって。

いえ、 私も神狼様にお会いしたかったですし。

仕方がないわ。あの女神…… ティリスたちの危機だって言うなら……。

あの女神には…… 神狼の件で借りもあるしね。

借りねえ……。

な、なによ……。

別に……。 まあ、あなたも相変わらずだと思ってね。

……………。

……………。

神狼様……。

久しぶりだな……人の子らよ。 そして……異界の召喚師よ。

封神狼…… あなたに頼み事があって来たの。

遠き世界において…… 我らが封じていた……存在のことだな？

分かるの？

お前たちが考えている以上に…… 我ら封神儀の……繋がりは深い。

拒む理由は……ない。 力を……貸そう。

これで、ティリスたちは助かるの？

分からない……。

今向こうがどういう状況になっているのか、 想像もつかないからね……。

でも、きっとShou-chanや ティリスの助けにはなっているはずよ……。

ティリス様……。

この辺りなんだな？ 封神凰が住処としているという場所は。

はい、ミョウケイ様の調べでは そのようです。

フン……。

姫様……あのような者に 協力してよろしいのでしょうか？

何を言うのです！？

Shou-chan様たちが危機に 陥っているのであれば、

それを助けようと尽力するのは、 当たり前ではないですか！！

もちろん、 そこに異論を唱える気はありません！

拙者も、セリア師匠のためならば、 たとえ火の中！水の中！

どのようなことも、行うつもりです！

ならば、問題ないではないですか。

拙者が言いたいのは、 そもそもあの“ルジーナ”という男、

本当にセリア師匠たちの仲間なのか？ ……ということです。

ですが、あの姿格好は、Shou-chan様たちのものと同じ様式のようですし、

何よりもShou-chan様らのことを、 よく知っておられたではないですか。

しかし、あの乱暴で品のない言動、

とてもセリア師匠らの ご友人とは思えませぬ！

それは………。

それにあの面構え……

拙者には、どうにもよからぬことを 考えているようにしか思えませぬ！

…………。

テメーら！！

は、はい！！

………！！

会ったばかりのテメーらに、 俺様の凄さが理解できねーのは、仕方がねえ

我慢してやる……。

は、はあ……。

だが、陰口なら 聞こえないように言いやがれ！！

………ご、ごめんなさい！！

聞こえていた……でござるか。

何という地獄耳……。

な、なんでもありません！

…………チッ。

まあいい。 目的の場所に着いたようだからな。

……………。

テメーが封神凰か？

是……。

どうやら報告どおり、 本来の意識は封じられているようだな。

それなら、それで都合がいい。

…………。

テメーらが支えている封神竜に 異常が発生しているのは感じているな？

それを正すため、テメーらの力が必要だ。 分かるな？

…………。

………解した。

ここにある封神の力…… 今より封神竜が棲まう世界へ送る……。

これで封神凰の力はShou-chan様の もとへ送られたのですか？

ああ……。

やるだけのことはやった。 Shou-chan、あとはテメー次第だ。

この力…… 封神機、封神狼、封神凰のものだよ！！

それらが、 Shou-chanのもとに……！！

これって、 まさかルジーナとレダが……！？

ああ……間違いない。

ルジーナの奴、 “考えがある”って言ってたからな。

それに、これまでの世界の封神儀の力を 利用するなんて、

あいつぐらいしか、考え付かない。

……………。

サートゥルス！！ こうなったら、封神竜も！

あ、ああ……！！

封神竜よ！ 十神が一柱サートゥルスが命じる！

お前のその力……真の召喚の力を、 Shou-chanに授けよ！！

……イイダロウ。

我ノ使命ハ、悌神皇ヲ封ジルコト。 ソノ為ノチカラヲ、コノ者ニ与エヨウ！！

……………。

各封神儀の力……そして封神竜より 授けられたカルナ・マスタの力……

お前らが言う “真の召喚の力”とやらを得たようだな……

カルナを倒した者が、彼奴の力を 最も色濃く受け継ぐとは、面白い……。

ならば……この主神皇アルザ・マスタが 直々に相手をしてやろう……！！

この場でアルザ・マスタと戦えるのは、 Shou-chanのみか……。

いつも、つらい戦いを任せてすまぬ……。

私、何も心配してないよ！

なんだってShou-chanは、 私の召喚師だからね！

信じているから！！