オーン
………貴様がノロノロしていなければ、 もう今頃追いついている。
グラデンス
……そうじゃな。あやつらが設置した罠に 全部引っかかった上での。
オーン
だが、俺は俺でやることがある。 お前たちはお前たちの使命を果たせ。
セリア
オーン様……てっきり怒られるものとばかり 思ってたんだけど……。
ティリス
グラ爺…… オーンちゃんは何をやろうとしているの?
グラデンス
フム……これまでは、ワシが ずっと止めておったことなのじゃがな……。
グラデンス
あやつはアベル機関の長官ラナスを、 自らの手で倒そうとしておるのよ。
グラデンス
……ラナスがもともと召喚院に所属していた ことは、以前に話したな。
グラデンス
奴が召喚院を抜けて、連邦でアベル機関を 設立したのは、おそらくはワシらのせい……
グラデンス
少なからず関係しておるのは、 おそらく間違いないじゃろうからのう。
グラデンス
オーンとしては、己の世代で作った禍根は 自分の手で始末をつけたいのであろう……。
カル
アベル機関の長官……ラナスと爺さんたち。 一体何があったんだ?
グラデンス
ここまで来たら、やはりお主らに、 話しておいた方がいいかもしれぬ。
グラデンス
ラナスがグリフとともに、ワシらのもとに やって来たのは召喚院設立後間もない頃じゃ
グラデンス
あやつは、当初より抜きん出た実力を持ち、 組織の発展にも人一倍情熱を燃やしておった
グラデンス
いずれはグリフとともに、未来の召喚院を 背負って立ってくれる人材だと
グラデンス
ワシやオーンは、密かに期待しておった。
グラデンス
……だが、人一倍情熱を燃やしていたが故に あやつが思い描く組織の理想像と、
グラデンス
ワシやオーン、ほかの召喚師たちが抱く 理想像との間に、ズレが生じ始めたのじゃ。
グラデンス
最初は単なる論争程度でしかなかった。 だが、やがてそれは大きな問題に発展した。
グラデンス
ミスを犯し隊を壊滅寸前まで追い込んだ ある若手召喚師の処分を巡り、
グラデンス
意見がワシらとラナスとの間で 大きく分かれたのじゃ。
グラデンス
隊を壊滅寸前まで追い込んだ罪は 確かに大きい……。
グラデンス
だがワシらは、命を取るような処分は避け 除隊程度にしようと考えておった。
グラデンス
しかし、ラナスは強固に処刑を主張した。
グラデンス
ついには独断でその若手召喚師を 処刑してしもうたのじゃ……。
グラデンス
その後、ワシらはラナスを追放処分にした。
グラデンス
あの当時、ワシらも若かったんじゃな……。
グラデンス
ラナスのやったことを 決して許すことができんかった。
グラデンス
追放後、ラナスの行方は知れなかったが、 再びあやつの名を耳にしたのは、随分と後…
グラデンス
連邦にアベル機関という組織が存在する ことを知った時……というわけじゃ。
グラデンス
あの若手召喚師の命を取るまいとした ワシらの判断が間違っていたとは思わん。
グラデンス
だが後悔が残らぬと言えば、嘘になる…… もっと別の方法がなかったのか…とな。
グラデンス
さて、話が長くなってしもうた。 オーンに急いで追いつかねばな。
グラデンス
ワシがラナスを止められなかった以上、 そうせざるを得まいて……。
グラデンス
召喚院とアベル機関、直接的な全面闘争は できれば避けたかったのじゃがの……。
グラデンス
アベル機関……ラナスについては、 ワシらに任せろ
グラデンス
なるべくお主らの負担を軽くできるよう、 頑張るつもりじゃ……。
グラデンス
お主らはお主らで、封神儀を正常に 戻すことに尽力するのじゃぞ……。
ティリス
オーンちゃんたち、 無理しないといいんだけど……。
セリア
ラナスに対しては、グラデンス様たち、 様々な思いを抱いているんでしょうね。
カル
爺さんたちの事情がどうであろうと俺たちは 俺たちにできることをするしかないさ……。