雷気を纏った女
フン……さすがにやるね……。 ならば、私も本気を……!

凍気を纏った男
………そのへんにしておけ。 もう気が済んだであろう。

雷気を纏った女
な……ふざけるな!! お前はこいつらが憎くはないのか!?

凍気を纏った男
憎い……!

凍気を纏った男
だが、この人間たちを殺したところで、 それは我々の気持ちが晴れるだけだ。

凍気を纏った男
主の命に背いてまでの価値はない。

凍気を纏った男
カルナ・マスタ様が、わざわざこの世界に 我々を配置された理由を思い出せ!

雷気を纏った女
それは……!

雷気を纏った女
クッ……分かったよ。

カル
どうやら引いてくれるようだな。

ティリス
よかった……。

凍気を纏った男
とんだところを見せてしまったようだな。

サートゥルス
我は大神皇カルナ・マスタ様に仕えていた 十神が一柱サートゥルス。

サートゥルス
先程お前たちと戦ったのは、 同じく十神が一柱ラヴァルだ。

ラヴァル
…………。

セリア
十神の一柱って……。

カル
どうやら、とんだ大物と 遭遇してしまったみたいだな……。

サートゥルス
さて……では再度問わせてもらおう。 貴様らの真の目的はなんだ?

セリア
そんなこと決まっているじゃない。 召喚の力を正常に戻すためよ。

ラヴァル
我らが主……カルナ・マスタ様を滅ぼし、

ラヴァル
召喚の力を乱す元凶を作った貴様らが それを言うのか…!?

ティリス
そ、それは……。

カル
言い訳に聞こえてしまうかもしれないが……

カル
俺たちだって、こんなことになるとは、 思わなかったんだ……。

ラヴァル
フン……!事態の予測すらできんとは、 やはり人間など愚劣な存在よ!

サートゥルス
ラヴァルよ。 此奴らには此奴らの事情があろう……。

サートゥルス
我らはこの地より 見ることしかできなかったが、

サートゥルス
神々と人間の争いを考えれば、 彼らの行動も理解できなくはない……。

ラヴァル
サートゥルス……!! 貴様、人間の肩を持つのか!?

サートゥルス
いいかげんにしろ、ラヴァル! 我ら個人の感情など問題ではない!!

サートゥルス
我らが今優先すべきは、 カルナ・マスタ様から与えられた使命のみ!

ラヴァル
………!!

サートゥルス
さて、話を戻そう……。

サートゥルス
召喚の力を正常に戻すのが目的 ……と言ったな?

カル
ああ……。

カル
召喚の力を回復させて、俺たちの世界を 守るため、この地にやって来た。

セリア
それに、召喚術はもう私たちの生活に なくてはならないものになっているからね。

セリア
エルガイア、グランガイアの開拓なんかは、 召喚術抜きには考えられないわ。

サートゥルス
ふむ……。

サートゥルス
念のため、教えておいてやるが、 お前たちは勘違いをしている……。

ティリス
……?

サートゥルス
封神儀が不安定になったからといって、

サートゥルス
お前たちの使う召喚術そのものが消えて、 なくなったりはしない。

セリア
え……でも、これまで巡ってきた異界では 召喚術が上手く使えなかったんだけど……。

サートゥルス
確かに、封神儀が存在する近くでは、 それらが不安定になることで、

サートゥルス
お前たちの使う召喚術も 影響を受けることだろう。

サートゥルス
しかし、遠く離れてしまえば それも無関係なものとなろう。

サートゥルス
本来、封神儀とは召喚術を 安定させるための存在ではない。

セリア
え…… そうなの……?

サートゥルス
仮に封神儀がすべて滅びたとしても、

サートゥルス
お前たち自身が身につけている 召喚術の力自体は、なくなるわけではない。

サートゥルス
むしろ完全に滅びてしまえば、 その余波や影響を受けずに済むであろう。

サートゥルス
それでも封神儀を元に戻すため、 危険に身をやつすか?

カル
…………。

カル
そもそも、あんたたちは 何でそんな事を知っているんだ?

サートゥルス
我々についてか……そうだな。

サートゥルス
そこも話さねば、お前たちにとっては 真偽の程を測りようもないか……。

サートゥルス
ラヴァル、構わぬな?

ラヴァル
フン……好きにするがいい。

サートゥルス
我らがカルナ・マスタ様に仕えていることは 先にも話したが、

サートゥルス
遥か太古より、我々二神はある使命を承り、 この世界より動くことを禁じられていた。

サートゥルス
その使命とは、この世界の封神儀…… 封神竜の監視と守護。

ティリス
遥か太古よりって……。

ティリス
カルナ・マスタにとって、 封神竜はそんなに大切な存在なの?

サートゥルス
封神竜こそが、すべての封神儀の中心……。

サートゥルス
ほかの世界の封神儀は、封神竜の力を 安定させる支柱のようなものに過ぎぬ。

セリア
あれだけ強力だったほかの封神儀が、 支柱って……。

サートゥルス
だが、真に重要なのは 封神竜そのものではない。

サートゥルス
封神竜の体内に封じている存在……

サートゥルス
悌神皇アルザ・マスタの魂と力。

セリア
悌神皇アルザ・マスタ……

セリア
それって確か 封神凰が口にしていたってやつじゃ……!!

サートゥルス
悌神皇アルザ・マスタとは、 大神皇カルナ・マスタ様の弟神……。

サートゥルス
かつては闇皇神として、大神皇様とともに ほかの皇神と戦った大神だが、

サートゥルス
やがては大神皇様と対立。

サートゥルス
そして敗れ去り、 この世界……封神竜に封印されていたのだ。

ティリス
悌神皇アルザ・マスタ……

ティリス
カルナ・マスタに 弟神がいたなんて……。

サートゥルス
アルザ・マスタのことは、グランガイアの 神々の間でも一部の者しか知らない。

サートゥルス
カルナ・マスタ様にとって、 それほど警戒し、

サートゥルス
そして忌むべき存在なのだ……。

カル
………なるほどな。

カル
あんたたちは、封神竜……

カル
いや、アルザ・マスタとやらの 封印の監視役ってわけか。

カル
封神儀と召喚の力について、 詳しいのも納得だ。

カル
それで、今、封神竜は大丈夫なのか?

ラヴァル
フン……貴様らが愚かにも カルナ・マスタ様を倒したことから、

ラヴァル
封印は、一時期不安定な状態になり、

ラヴァル
私たちがアルザ・マスタの力を 抑えていなければ、危なかった。

ティリス
…………。

サートゥルス
今も不安定な状態であることには 変わりない。

サートゥルス
だが、お前たちがほかの世界の封神儀を 正常な状態に戻してくれたおかげで

サートゥルス
我々が一時的に封神竜から離れることが できるぐらいの小康状態になっている。

カル
そうか……。

カル
…………。

カル
だったら、なおさら急いで 封神竜の元へ向かわないとな!

カル
だよな、Shou-chan?

ラヴァル
…………!!

カル
察するに、アルザ・マスタってのは、 相当ヤバイ奴なんだろ?

カル
カルナ・マスタに仕えてるあんたらが、

カル
主が倒された時にも この世界から離れられなかったくらいに。

サートゥルス
…………。

カル
だとしたら、俺たちの召喚術と 関係がないと分かっていても、

カル
その復活の危険性を、 見過ごすわけにはいかないさ。

ティリス
うん、そうだよ。

ティリス
本当に復活したらエルガイアやグランガイア にも影響が出るかもしれないしね。

セリア
それに、どちらにしろアベル機関の方も、 放っておくわけにはいかないわ。

ラヴァル
…………。

サートゥルス
……分かった。

サートゥルス
どうやら、我がお前たちに接触した甲斐は あったようだな。

サートゥルス
お前たちが封神竜を正常に戻すため、 旅を続けるというのであれば

サートゥルス
我々にそれを妨げる理由はない。

サートゥルス
封神儀を元に戻すには、カルナ・マスタ様と 同様の力……召喚術の力が必要だからな。

ラヴァル
…………。

サートゥルス
だが、手助けもしない。

サートゥルス
いかに封神竜自身が抑えているとはいえ、 アルザ・マスタの影響を完全に排除し、

サートゥルス
再び封印を施すには、 力そのものと対峙せねばならぬ……。

サートゥルス
生半可な実力ではできぬことだ……。

サートゥルス
封神竜はこの世界の奥地にある寝所にいる。 独力でそこまで辿り着くのだ。

ラヴァル
この世界の各地には、神に引けを取らぬ程の 強大な力を持つ竜が闊歩している。

ラヴァル
せいぜい途中で力尽きないことだね……!!

ティリス
あの人たちと戦わずに済みそうなのは、 いいんだけど……。

セリア
ええ……どう見ても、 こっちの力を試そうとしているわね。

カル
向こうからしたら、 俺たちは主の仇だろうからな。

カル
実力を示して、信用を勝ち取るしかないさ。