スズネ
こ……これは……!!

ティリス
……………。

セリア
ヒドイわね、これは……。

スズネ
この有様は一体どういうことですか、 サクノシン!?

サクノシン
そ、それは……。 天武党の者どもが攻めて来まして……。

スズネ
天武党……!

スズネ
ゲンバが戦ったのですか……!?

サクノシン
はい……。

サクノシン
戦いには勝利し、民への被害は 幸いにも殆どありませんでしたが、

サクノシン
我が国も無傷というわけにはいかず……。

サクノシン
兵士たちに少なからず 被害が出てしまいました……。

スズネ
そんな……。

ティリス
天武党……?

サクノシン
天武党とは、 辺境で徒党を組んでいた武装集団で、

サクノシン
永らくこの国を悩ませていた存在でした。

スズネ
先代当主……私のお父様は争いを避けるため 彼らの数々の要求を呑んできました。

スズネ
私もその方針を 引き継いでいたのですが……

スズネ
ゲンバはそれに異を唱えていました。

スズネ
「もっと毅然とした態度を取るべきだ」と。

セリア
なるほど……。

セリア
それで、そのゲンバが、 実際に毅然とした態度を取り、

セリア
戦いが起こっちゃったわけね……。

スズネ
……………。

妙な笛の音
ブォオオオオオオ~~……。

ティリス
………!

ティリス
何、この音? 笛の音……なのかな?

セリア
な、なにあの男……? 吹いているのは……笛でいいのよね?

ティリス
頭に……変なのも被っているね……。 ちょっと怪しいかも……。

謎の男
………ワシは怪しいものではない。

ティリス
き、聞こえちゃった……!

スズネ
あなたは、こんなところで何を……?

謎の男
ワシの笛の音で、供養をしておった……。

謎の男
ここで倒れた者たち…… 無駄な戦いで倒れた者たちのな……。

スズネ
……………。

サクノシン
おのれ、ゲンバめ……!

謎の男
あの者だけのせいではない!!

謎の男
これまで、天武党との問題を先送りしてきた ツケが払われたのだ……。

スズネ
…………!

謎の男
むろん、むやみに戦端を開いてしまった ゲンバに罪がないとは言わんがな……。

サクノシン
お前は……何者だ……?

謎の男
………余計なことを言い過ぎたようだ。

謎の男
気にするな……。 すべては世捨て人の戯言だ……。

セリア
気にするな……って言ってた割には、 ガッツリ言いたいこと言ってたわね。

ティリス
スズネの知り合い……?

スズネ
……分かりません。 顔が隠れてましたので。

セリア
そりゃそうか……。

スズネ
しかし…… 何か懐かしいものを感じました……。

スズネ
問題を先送りしてきたツケ……。

スズネ
私がちゃんとゲンバの意見を聞いて 受け入れていたら、

スズネ
このような戦いが起こることは、 なかったのかもしれません。

スズネ
ゲンバが謀反を起こすようなことも……。

サクノシン
なにを仰られますか!

サクノシン
先代領主様や姫様が、天武党の理不尽とも 言える数々の要求を呑んできたのは、

サクノシン
すべて民のことを 思ってのことではありませんか!

サクノシン
それに、だからといってゲンバが 謀反を起こしていい理由にはなりません!

スズネ
それは……そうかもしれませんが……。

ラカ
そうか、あいつらが………。

ラカ
フフフ……面白くなりそうだね……。