ティリス
外から見た時はそう感じなかったけど、

ティリス
思っていた以上に しっかりとしたお城みたいだね。

レダ
そうね。

レダ
この世界の気候では、こういった造りが 必要だったのかもしれないわね。

レダ
…………!

レダ
みんな、黙って!

ティリス
どうしたのレダ?

レダ
………声が……聞こえるわ。

黒髪の少女
お婆様は、ルチアナ姉さんを 見捨てろというの!?

老婆
そうは言っておらん……。

老婆
ただ、ヌシの実力では1人で追いかけるのは 危険じゃと言っておるのだ。

黒髪の少女
でも、このままでは、 姉さんは神狼様に……。

ティリス
何か言い争いをしているみたいだね……。

レダ
…………。

黒髪の少女
それじゃあ、 一体どうすればいいの……?

老婆
む……それは………。

ティリス
うーん、 なんだか出て行きにくい雰囲気だけど……。

REPTO-MTX
……パパ……ジ……ポ……。

SCOUT-F03
アソコニイルノハ、セイタイテキニ、 オマエタチト、ホボドウシュノソンザイダ。

SCOUT-F03
ダカラ、アンシンシロ!

ティリス
さすがにそれは分かるよ……。

黒髪の少女
………!

黒髪の少女
そこに誰かいるの!?

ティリス
バ、バレちゃった!?

レダ
…………。 出て行くしかないわね。

レダ
幸い言葉は通じるようだし、可能ならば この世界について話を聞きましょ。

ティリス
こ…こんにちわー……。

黒髪の少女
誰……あなたたちは?

老婆
…………。

ティリス
え、えーと…… なんて言ったらいいんだろう?

ティリス
私たちは、 違う世界からやって来た…?

ティリス
…って説明でいいのかな、レダ?

レダ
……ハァー。

レダ
説得力ないかもしれないけど、 怪しい者ではないわ。

レダ
ある目的で、違う世界より この世界の調査にやって来たの。

黒髪の少女
…………違う世界?

ティリス
うん、エルガイアって言う世界。

ティリス
あ、私の場合はグランガイアからって ことになるのかな?

老婆
グ……グランガイア……!?

ティリス
え? ど、どうしたの……。

老婆
そうするとお前さん方は……。

レダ
…………?

老婆
そうか……では古からの言い伝えは 正しかったのじゃな…。

レダ
言い伝え……?

老婆
グランガイアとは、 ワシらの祖先が生まれたとされる地……。

老婆
そしてワシらの祖先はその地に ある国を築いておった。

老婆
その国の名は……バリウラ帝国。

レダ
バ、バリウラ帝国……!? あなた方がその末裔だっていうの!?

老婆
やはり、知っておられるのか……。

老婆
失礼だが、お名前を教えて頂けるか?

ティリス
名前?

ティリス
私は女神ティリス。 そしてこっちの2人は……。

黒髪の少女
め、女神様……!?

ティリス
え? あ、うん、そうだけど……。

老婆
グランガイアの女神……

老婆
こ、これは失礼しました!!

ネーレ
ワシの名はネーレ。 こちらは、孫娘のリアナと申します。

リアナ
まさか神狼様以外の神族の方が、 この世界にお越しになられるとは……。

ティリス
た、確かに私は女神だけど、 そんなに気にしなくても……。

ティリス
あ、こっちの2人は、 召喚師のShou-chan、

ティリス
そして同じく召喚師のレダ。

レダ
レダよ……よろしく……。

レダ
バリウラの末裔の方と会えるなんて…… 思ってもみなかったわ……。

ネーレ
フォ…ワシらからしたら、

ネーレ
あなた方が、バリウラのことを 知っていることの方が驚きですわい…。

ネーレ
ましてや女神様とその従者様たちと お会いできるとは……。

レダ
従者……ね。 まあいいわ…。

レダ
確かに、私たちの世界でも神と出会うのは そうそうあることじゃないから、

レダ
驚くのは無理のないことだわ。

レダ
…………。

ティリス
…………。

レダ
…………。

レダ
……………ん?

レダ
なんで黙っているの、ティリス?

ティリス
……………え?

ティリス
レダ、この人たちに昔のバリウラのこととか いろいろ聞いたりしないの?

ティリス
てっきりベクタスの時みたいに、 夢中になってしまうと思ってたんで、

ティリス
私、しばらく待っていようかと 思ってたんだけど。

レダ
ウッ………。 あの時のことは……忘れて。

レダ
さすがに同じ失敗は2度繰り返さないわ。

レダ
調べるのは、 任務が終わった後にするんだから……。

ティリス
え?

レダ
そ、そんなことより、 気になることを言っていたわね。

レダ
“神狼様以外の神族の方が…”って。

レダ
神狼様というのは……?

レダ
それに私たちが来るまで、 何か言い争っていたように見えたけど……?

リアナ
それは……。

ネーレ
…………どうやらお恥ずかしいところを 見せてしまったようですのう……。

ネーレ
ですが、この時期に グランガイアの女神様が現れたのは、

ネーレ
何らかの啓示のようなものなのかも しれません……。

ネーレ
包み隠さずお話しいたしましょう……。

リアナ
お婆様……。

ネーレ
まず、神狼様というのは、 この世界を統治されているお方。

ネーレ
ワシらも含めて、この世界で生きるものは、 あの方の庇護を受けて生活しております。

ネーレ
先ほどリアナは、神狼様のことを、 神族のように言っておりましたが、

ネーレ
正直、あの方がどういう類の存在なのか、 ワシらにはそれすら分かりません……。

ネーレ
ただ、神に近いほどの強大な力を持ち、

ネーレ
多くの眷属を率いておられることは 確かなことですじゃ。

ネーレ
…………。

ネーレ
そして、 ワシらはそんな神狼様とその眷属を崇め、

ネーレ
その領域を侵すことなく 永らく暮らしておりました……。

ネーレ
そして神狼様とその眷属たちの方も、

ネーレ
ワシらに害をなすことは、 これまでありませなんだ……。

リアナ
…………。

レダ
これまでは……というと、 それが違ってきたってこと?

ネーレ
…………。

ネーレ
ある時期を境に、神狼様はワシらの前に 姿を見せることはなくなり、

ネーレ
それと同時に眷属たちが、 人を襲い始めるようになったのですじゃ。

ティリス
…………。

リアナ
それで姉さんが……。

ティリス
姉さん…?

ネーレ
ワシには孫が2人おりましてな……。

ネーレ
1人は、目の前にいるリアナ。

ネーレ
そしてもう1人は、その姉ルチアナ。

ネーレ
ルチアナの方は、リアナと比べて 周囲の者を率いる行動力があるのですが、

ネーレ
その反面…何というか、 短慮なところがありましてな……。

ネーレ
また、神狼様を敬う心… 恐れる気持ちも薄いところがありまして、

ネーレ
神狼様の眷属たちが人を襲うことに、 どうやら我慢できなかったようなのですじゃ

レダ
我慢できなかった…?

ネーレ
はい……。

ネーレ
眷属たちによる被害は今はまだ小さいが 今後大きくなることは確実だと言いましての

ネーレ
どうやら1人で 神狼様の退治に向かったようなのです。

ティリス
そんな……1人でなんて……。

リアナ
お婆様…やはり私、姉さんを止めたい! お願い、行かせて!

リアナ
確かに私の腕じゃ神狼様の眷属たちと 戦うことはできないかもしれない。

リアナ
でも、上手く逃げまわって 姉様に追いつけば……。

ネーレ
ならぬ!

ネーレ
お前が1人で行ったところで、 ルチアナが止まるとは思わん。

ネーレ
ただ、その身を危険に晒すだけじゃ!

レダ
…………。

レダ
なるほどね……。

レダ
私たちが来た時は、今みたいにリアナさんが ルチアナさんを追いかけようとしていたのを

レダ
ネーレさんが止めていた 真っ最中だったってことね。

ネーレ
恥ずかしながら、 そういうことですじゃ……。

ネーレ
…………。

ネーレ
そこで、女神ティリス様…… 無理を承知でお願いがあるのですが、

ネーレ
神狼様のもとへ向かったルチアナを 連れ戻して頂くことはできませんでしょうか

ティリス
うん、分かった! 大丈夫だよね、レダ!

レダ
そうね、私たちが行けば……。

レダ
って! ちょ、ちょっとティリス!!

ティリス
え、何?

レダ
なんで即答で了承しているのよ!?

ティリス
何か問題あるっけ?

レダ
大ありでしょ!

レダ
私たちには、封神儀を探索し、 元に戻すという任務があるはずよ!

ティリス
大丈夫だよ、きっと。

ティリス
リアナのお姉さんも追いかけながら、 封神儀のことを探せば問題ないよ!

レダ
また、そんな安請け合いを……。

レダ
そもそも私たち、ルチアナさんの顔、 知らないじゃない。

ティリス
そ、それは……確かに。

ネーレ
そのことならば、心配ありません。

ネーレ
この世界の道案内として、 リアナを付けますのでな…。

リアナ
お婆様……!

ネーレ
フォ……。

ティリス
それじゃあ、 もう何も問題ないね!

レダ
…………。

ティリス
レダはやっぱり反対なの…?

レダ
…………仕方がないわね。

レダ
この世界に不慣れなのは確かだし 道案内が必要なのも確かだわ……。

レダ
それに“神狼様”とやらは、封神儀と 何かしら関係があるかもしれないしね。

レダ
その代わり、私たちがルチアナさんを止める ことに協力する代わりに、

レダ
リアナさんには、私たちの目的に 協力してもらうわよ。

レダ
それで問題ない?

リアナ
はい、構いません!

ティリス
うん、それじゃあ、リアナ、 これからよろしくね!

リアナ
はい、ティリス様!

ネーレ
フォ…… では、女神ティリス様。

ネーレ
リアナのこと、そしてルチアナのこと、 よろしく頼みましたぞ……。