フェリーネ
お父様の話を聞きつけたのなら、すぐに 駆けつけても良さそうなものですのに。
セルヴィア
………フェリーネ、すまないが しばらく外してくれ。
シリウス
あれは、私の決断を促すため、 姉上が流した嘘なのでしょう?
シリウス
冷静になって考えれば分かることです……。
セルヴィア
知った上でここに来たということは、 もう答えは出たということだな……?
シリウス
最後の時まで、このバリウラ帝国に留まり、 1人でも多くの民を救いたいと思います。
シリウス
姉上から計画を聞いた時から、 私は迷っていました……。
シリウス
皇族が生き残り、帝国という器だけが 残ることが正しいのかどうかと……。
シリウス
しかし、それを間違いだと言うことも できなかった……。
シリウス
ですが、ここに来て大切なことにようやく 気付きました……。
シリウス
いえ、気付かせてくれたのです。 ミューゼが……その死によって……。
シリウス
ミューゼは死の間際、 愛する民を守ってほしいと言いました。
シリウス
民が1人でも生き残ってさえいれば、 バリウラは残ると……。
シリウス
私たち兄妹はみな、父上の存在に怯え、 見て見ぬふりをしていたんだと思います。
シリウス
それにもっと早く気付いていれば…… 今より被害は減らせていたかもしれない……
シリウス
ですが……いえ、それ故に、私はこれより 民のためだけに戦いたいと思っています。
セルヴィア
いや、このバリウラ帝国は 皇帝である父上を中心にして存在している。
セルヴィア
そのような考え、 皇族の一員としてあるまじきものだ……。
セルヴィア
貴様のようなヤツは、父上の計画には不要! 好きにするがいい。
セルヴィア
ミストラル地方に向かっているとの報告が 私のもとへ届いている。
セルヴィア
その先には神軍の侵略に脅かされない 新天地がある……とのことだ。
セルヴィア
だが、これから父上が 異界でやろうとしていることを考えれば、
セルヴィア
その話、あながち嘘ではないのかも しれぬな……。
セルヴィア
フッ……、弟が姉に見せる最後の顔なのだ。 そのような表情をするものではないぞ。
シリウス
姉上……いや、セルヴィア姉さん…… ありがとう……。
セルヴィア
……父上、このような次第になりました。
セルヴィア
弟のことは……ご寛恕くださいますよう、 お願い致します。
セルヴィア
この第一皇女セルヴィア、最初で最後の、 あなたの娘としての願いです。
バリウラ皇帝
……よかろう、子の1人消えたところで 我の計画に差支えはない。
バリウラ皇帝
だが、その分、 貴様らには働いてもらうぞ……。
セルヴィア
やはり、お前にも異界に付き合って もらわざるを得ないようだ。
フェリーネ
分かっております……。 もとより私はお姉さまに従う所存です。
フェリーネ
幼い頃、お姉さまに救って頂いたこの命、 存分にお使いください。
フェリーネ
お姉さまも本当は、 シリウスお兄さまと一緒に……。
セルヴィア
私は父上の近くに長く居すぎた。 もはや、これ以外の生き方はできんさ……。
セルヴィア
異界に渡り、神軍に対抗し得る力を 必ず手に入れるのだ……!!