シリウス
ふう……片付いたようだな。

シリウス
この辺りは敵が比較的少ないと思ったが、 お前がやっていてくれたのか。

ラジア
はい……。

ラジア
だけど、あまりに数が多くて、 殲滅するには至らなかったですけど……。

シリウス
今のところ、正門と東門では 神軍の攻撃を防げているが、

シリウス
破られた西門からの敵の侵入は、 予想以上に多いみたいだな……。

ラジア
ええ……。

ラジア
ところで…… シリウス兄様は、どうしてここに……?

シリウス
……王城に向かう途中だ。

ラジア
王城……?

シリウス
隠していても、いずれお前の耳にも入る だろうから伝えておくが……

シリウス
父上が王城から姿を消したという噂が 流れている。

ラジア
…………!!

シリウス
嘘であればいいが……。

シリウス
私は、これからその真偽を確かめに行く ところだ。

ラジア
ねえ、シリウス兄様……。

ラジア
お父様やセルヴィア姉様たちは、 一体何を計画なさっていたの……?

シリウス
…………!!

シリウス
な、何を言って……!?

ラジア
私、知っているの……。

ラジア
お父様やセルヴィア姉様たちが、 極秘裏に何か進めていたことを。

ラジア
そして、それにシリウス兄様が 巻き込まれようとしていたことを……。

ラジア
もっとも、その計画の内容までは 探ることはできなかったんだけど……。

シリウス
……………。

ラジア
ねえ、教えて! シリウス兄様なら知ってるんでしょ!?

ラジア
私もバリウラ皇族なら、 知る権利ぐらいはあるはずよ!

シリウス
…………。 そうだな、確かにそのとおりだ。

シリウス
父上は神々と戦うため、 そして、バリウラ帝国を守るため、

シリウス
新たな力を手に入れようとしている……。

ラジア
新たな力……!?

シリウス
ある異界には、神をも封じる力を持つ 神獣が存在するという。

シリウス
異界に渡って、その神獣を従える……

シリウス
もしくは神獣が宿す力を 手に入れようと考えている。

シリウス
そして再びこの地に戻り、 その力で神軍を駆逐なさるおつもりだ。

ラジア
神をも封じる力……。

ラジア
それは、そんなにすぐに手に入るものなの?

シリウス
…………。 おそらくは無理だろう。

シリウス
2年や3年…… いや、もっとかかるかもしれない。

ラジア
そんな……!!

ラジア
それじゃ、今ここにいる市民たちは 一体どうなるの!?

シリウス
…………。 姉上はおっしゃられた……。

シリウス
もし、今ここにいる市民が 死に絶えたとしても、

シリウス
我々バリウラ皇族が生きていれば、 帝国は再建できる。

シリウス
これが現状できる 帝国を守る唯一の方法なのだと……。

ラジア
…………。

ラジア
セルヴィア姉様の………。 いえ、お父様の言いそうなことね……。

シリウス
…………。

ラジア
シリウス兄様はどうする気? お父様と行動をともにするの……?

シリウス
分からない……。

シリウス
できれば市民を守り、そして神軍から帝国を 守る方法が見つかればいいのだが……。

ラジア
…………。

シリウス
ともかく、私は現状を把握するため、 王城に向かおうと思う。

シリウス
もし父上たちが まだ異界に旅立っていないのだったら、

シリウス
改めてほかに方法がないのか 説得するつもりだ……。

ラジア
そう……。

シリウス
お前はどうする……?

ラジア
私は……お父様がどのようなお考えであれ、 やることは変わらないわ……。

ラジア
私たちバリウラ皇族はこれまで市民たちを 抑圧して、この帝国を維持してきた。

ラジア
だからこそ、私は皇族の1人として、 市民たちを見捨てることはできない。

ラジア
たとえ、ともに死ぬことになっても……。

シリウス
そうか……。 お前の気持ちは分かった……。

シリウス
もはや何も言うまい。

シリウス
ならば、この先にいるベルデッドを 助けてやってくれ……。

シリウス
あいつも市民のため、1人で戦っている。

ラジア
……わかったわ。

ラジア
そういえば、先ほど帝都内に強力な神徒が 侵入したとの情報を耳にしたわ……。

ラジア
このまま進むのであれば、 どうかお気を付けて……。

シリウス
ああ、分かった。 ありがとう。