セラ
ハァ……ハァ……。

セラ
風が強いわね。 波も荒れているし、一雨降るかも…。

セラ
ブラン、大丈夫かしら…。

セラ
あの子には私しかいないから…。 私が支えてあげなきゃ…。

セラ
早く、ご飯の用意をしてあげないと…。

リム
ふむふむ、セラちゃんの恋人の名前、 ブランって言うんですね~。

エリーゼ
う~ん…。

リム
またまた、どうしたんですか~、 エリーゼさん?

エリーゼ
“ブラン”…って、 男性の名前ですかね?

リム
うーん、そうだと思いますけど…。

エリーゼ
“あの子”、“ブラン”、って考えると もしかしたら…

エリーゼ
相手は女性なのかな、って ちょっと思ったんだけど…

リム
ええええええええ、それはないですよ!

エリーゼ
そ、そうだよね! まさか、そんなことないよね!

エリーゼ
も、もしもそうだとしたら、 その場合って…

エリーゼ?
遅いわよ、セラちゃん。

エリーゼ?
ごめんなさい、貴女のことを考えていたら 仕事が長引いてしまって…。

エリーゼ?
フフッ、いけない子。 これは、少しムチを与えないとダメね。

エリーゼ?
ムチ……?

エリーゼ?
フフッ、こっちにいらっしゃい。 今日は心行くまで可愛がってあげる…。

エリーゼ?
ブランお姉さまぁ…!

リム
…………。

リム
なんだかんだで、エリーゼさんの妄想の ほうがディープな気が…。

エリーゼ
ハッ…! ついリムちゃんに影響されちゃって…。

リム
まぁ、相手がどんな人だとしても、 私は偏見を持ちませんよ。

リム
セラちゃんのこと、 大事な友達だと思っていますから。

リム
…それよりも、私は“ご飯の用意”って 言ってたのが、気になるんですよね。

リム
セラちゃんがいなきゃ、ご飯が食べられない ような言い方だったので。

エリーゼ
…………。

エリーゼ
もしかして、セラさん。 恋人に貢いでいるのかも…。

リム
ええええええええ!

エリーゼ
でも、そうだとしたら 今までの話とつじつまが合うんです。

エリーゼ
セラさん、恋人に尽くすことに 喜びを感じてるみたいだったので…。

エリーゼ
相当振り回されているから… 心も体もボロボロの状態なのかも…。

エリーゼ
もしや、私たちに心配をかけたくないから 今まで一人で隠して…。

エリーゼ
セラさん……なんて健気な……。

リム
も、もしかして……。

リム?
おい、セラ! 今月、また金貸してくんねーか!?

リム?
え…… でも、先月あんなに渡したじゃない…。

リム?
それに、召喚院からでるお給料では これ以上はもう……。

リム?
チッ、あのシケたところの給料じゃ これ以上は無理か。

リム?
じゃあ、しゃーねー。

リム?
金がないんなら、 代わりにお前の体で払ってもらうとするか。

リム?
え! な、何を…!?

リム?
知ってるんだぜー!

リム?
お前は大人しい顔して、 結構な身体してるってことはな!

リム?
ゲヘヘヘ……。 おとなしくしやがれ!

リム?
やめて……。

リム?
か、かんにんしてーーー!!

リム
…みたいなことに なってるってことですよね!?

エリーゼ
さ、さすがに「かんにんしてーーー!」とは 言わないと思うけどね……。

エリーゼ
リムちゃんって、たまに発想が オジサンっぽくなるわよね……。

エリーゼ
それにシケたところの給料って……。

エリーゼ
まぁ、あの感じだと、 入れ込んでいるような感じだったし、

エリーゼ
相当、自分の身を削って 恋人に尽くしているとは思うけど。

リム
…………。

リム
そうだとしたら、セラちゃんに言わないと! このままだと不幸になるだけだって!

リム
尾行調査は終わりです! もう、直接言ってやりましょう!

エリーゼ
リ、リムちゃん…! 私はそういう意味で言ったんじゃ…!

リム
もちろん、 先輩も協力してくれますよね!?

リム
そう言ってくれてよかったです。 何かあったら、援護お願いします。

リム
よし、そろそろ向かいましょうか! セラちゃんの心と体を救うために!