みんな、無事みたいね。

当たり前よ。

ここにいるのは、 みんな魔神討伐隊の隊長なんだから。

特に１人、筋肉だけが 取り柄のヤツもいるしね。

うるせえ！！ 俺の取り柄は、筋肉だけじゃねえ！！

俺の異界技術の研究は、お前の死霊術よりも ずっと役に立つもんなんだよ！！

皆さん、無事でよかった！

ですが、この状況、あまりいいものとは 言えないですね…。

私たちがイシュグリアを、 甘く見ていたということなのでしょうね。

………。 もっとも、そういったことも含めて

この世界の情報を持って帰るのが 私たちの役目なんでしょうけど。

ともかく、 我々はグリフさんの指示通りに、

帰還用ゲートがあるとされる 滅獄の岸壁に向かいましょう。

……………。 グリフさん…１人で大丈夫でしょうか？

いくらあの人でも、 あの魔神相手に１人で戦うなんて…。

……………。

………心配性だな、ミーファは。

あの人ならきっと大丈夫だよ。 何しろ、俺たちを鍛えてくれた人なんだぜ。

そもそも「勝算なき戦いはするな！」って 教えてくれたのはあの人じゃないか。

今回のことだって、 きっと勝算があってのことさ。

まったくだな。

むしろ俺は、あの人が負けるところを １度でいいから見てみてーぐらいだ。

あー…アンタは特に グリフさんに絞られていたからねー。

ウッ……。

私も心配していません。

何しろ、私たち全員に 戦い方を教えてくれた人ですからね。

というか、あの人に勝てるのって、 オーンさんぐらいだと思うわ……。

さあ、行こうぜ、ミーファ！

あの人はきっとすぐに追いついてくる。

その時「お前ら、なにをやっている！！」 って、叱られたくないからな。

そう……ですよね。

わかりました。 俺は俺のできることをやることにします。

うん。

フフ……。

あの魔神…シュスイとか言ったな…。

あそこまでの強さ……。 正直、俺の予想を遥かに超えていた。

あのような魔神が数多く棲まう場所、 それがこのイシュグリアというわけか…。

…………。

隊のことは… クランツに任せて大丈夫だろう。

あいつは他人の気持ちをよく察し、 どんな意見も素直に受け入れる…。

あいつ自身は気づいていないが、

俺などよりも、人を導く才能を 持っているからな。

フッ、こんなことは本人の前では 口が裂けても言えんか。

ヤツを調子に乗らせないためにも 生き延びてもう少し厳しく育てねばな。

さて、ここから向かえるのは、 ホグン酸棚と炎獄吊橋か……。

順当に行くならホグン酸棚だが……。

どちらに行っても、 あの魔神が待ち構えているのは確実だろう。

思惑通り俺を 標的に選んでくれたようだからな。

ならば、あえて炎獄吊橋に行って 死中に活を求めるのもいいかもしれん…。

フッ… 死中に活など、俺らしくもないな……。

だが、これまでにない強敵と遭遇したのだ。

慣れないことをやってみるのも、 一興かもしれんな。