シード
ッ………………!

アリス
や、やったわ……!

エルザ
ええ、危ないところだったけど……。 あなたが無事で、本当に良かった……!

アリス
あ、あっ……?

……ビシッ、ビシビシビシッ!

ロネッサ
あっ、見て見て! 魔具に、おっきい亀裂が!

アーサー
ん? あれは……?

アーサー
あの空間の穴は、 ボクが吸い込まれたのと同じもの……!

ロネッサ
じゃあ、私たちがこの世界に来ちゃったのは やっぱり魔具のせいだったんですー!

アーサー
ああ! きっとあそこに飛び込めば、 ボクたちは、元の世界に帰れるはずさ!

アリス
……じゃあ、ロネッサともここでお別れね。

ロネッサ
けど、それはちょっと残念かもですね。 せっかく仲良くなれたのに。

アリス
でも、ロネッサには目標があるのよね?

ロネッサ
うー、ですね……。 それに、今回のことで身に沁みました。

ロネッサ
私はまだまだ未熟です。こんなんじゃ、 お姉ちゃんは愛せない……。

ロネッサ
でも、元の世界に戻ったら、 成長期の底力を見せてやりますよ!

アリス
ええ、あなたならきっとできるわ。

エルザ
っ……!

ロネッサ
それじゃあアーサー、さっそく行くです!

アーサー
……いや、ちょっと待ってくれないか。

ロネッサ
んー? どうしてですー?

アーサー
いや……ボクから2人に、 1つ、提案したいことがあるんだ。

エルザ
提案……?

アリス
……?

アーサー
なぁ、2人とも…… 良ければボクたちと一緒に来ないか?

アリス
え……!?

エルザ
アーサー、あなた何を……?

アーサー
だって、そうすればキミたちは……

……ビシビシッ、ゴゴゴゴゴゴッ!

ロネッサ
わ、わわわわわわっ!?

アーサー
くっ、身体が吸い込まれる……!

アリス
うっ……ダメ、私まで……!

エルザ
アリス、待って! ……この手を掴んでっ!

アリス
っ……!

ロネッサ
ひゃああああああああーっ!

アーサー
うわあああああああああー!

エルザ
き、消えた……!?

エルザ
はっ……! アリスは……!?

アリス
……大丈夫、私はここよ。 どうにか吸い込まれずに済んだわ。

アリス
あなたの手を、掴めたから……。

アリス
でも、どうしてなのかしら……? 別の世界に行ってしまうこともできたのに。

エルザ
っ…………!

アリス
もしかすると私には、この世界で 確かめたいことがあるのかもしれない……。

アリス
お父様の愛情か、それとも別の何かを……。

エルザ
…………。

アリス
じゃあ、私はもう行くわ。

アリス
あなたが何者かは知らないけど、 手を差しのべてくれて、感謝しているわ。

エルザ
ま、待って……!

アリス
……?

エルザ
っ…………。

エルザ
……ううん、何でもないわ。

エルザ
アリス、また何処かで会いましょう。

アリス
……ええ、そうね。 さようなら。

エルザ
…………。

???
はぁ……ちょっとヒヤヒヤしたわ。お姉様が 自分の正体を打ち明けるんじゃないかって。

エルザ
……そんなこと、できるわけがない。 あなたに見られているのを知っているのに。

第六皇女
フフッ、お父様に知られたら大変だものね。 苦労が絶えないわね、お姉様は。

エルザ
どの口で、そんなことを……!

エルザ
でも、構わない。どんなことがあっても アリスは私が守ってみせるわ。

エルザ
あの子をこの世界に引き留めたのは、 私なのだから……。

エルザ
あの子がようやく取り戻した微笑みを、 誰にも奪わせはしない……!

第六皇女
あ~あ、置いてかれちゃったー。

第六皇女
うーん…… でも、皮肉だよねぇ……。

第六皇女
2人とも、別世界に行った方が、 自由になれたかもしれないのにさあ……。

第六皇女
……さーて、私も帰ろっかなー。

第六皇女
お父様と、それにクロム叔父様にも、 早く今回のことを報告しなきゃ。

第六皇女
悲劇に彩られた姉妹の物語は、 まだまだ続くってね♪