アーサー
え!? シードが調査隊を殺したって!?

エルザ
そう……やはりあなたは、シードのことを 知っていたのね。

エルザ
アーサー、その男は何者なの?

アーサー
シードは、ボクたちの世界の英雄さ。 それも、おとぎ話になるくらい古い時代の。

アーサー
なのに、どうしてこの世界に……?

エルザ
その話が本当だとすると、確かに妙ね。 ……何か、裏がありそうだわ。

アーサー
ねぇ、エルザ。 キミはシードを、どうするつもりなの?

エルザ
私のことはさっき話したはずよ。 もちろん、人目につかないよう殺すわ。

エルザ
私は、妹アリスに これ以上手を汚させはしない。

アーサー
暗殺、か……。

アーサー
自分の娘たちを暗殺者に育てるなんて、 キミのお父様はひどい方だね。

アーサー
もっとも、ボクの国の王様も 決して褒められたものじゃないけど……。

エルザ
国を治める者には、 非情な決断が必要なのよ。

エルザ
だけど、それが行き過ぎれば、 多くの人が苦しむことになる……。

アーサー
エルザ……キミはそれがわかっていながら、 どうして皇帝を止めようとしないんだ?

アーサー
妹のためとはいえ、キミだって 人殺しなんて望んでいないはずだろう?

エルザ
……アーサー、やめて。 あなたに、私の何がわかるというの?

アーサー
わかるさ! だって、ボクはキミと同じく……

アーサー
あ、いや……ごめん。

アーサー
異世界の人間にすぎないボクが、 こんなこと、言うべきじゃなかったね……。

アーサー
だけどエルザ、シードのことに関しては、 ボクだって無関係じゃない。

アーサー
なぜならボクは、元の世界で シードの生まれ変わりと旅をしているから。

エルザ
生まれ変わりって、ものの例えとかでなく 輪廻転生ってこと?

アーサー
キミには馴染みがないみたいだけど、 ボクの世界では一般的な概念なんだよ。

エルザ
シードは既に生まれ変わっている以上、 オリジナルが存在するはずがないって理屈?

アーサー
うん。でも、もしかすればシードと 何かしらゆかりがあるかもしれない。

アーサー
だから、キミがシードと戦う前に、 彼と話しあうチャンスをくれないか?

アーサー
それでキミの手間も、いくらか 軽減できるかもしれない。

エルザ
単に名前が同じだけで、英雄本人と 縁もゆかりもない存在だったなら?

アーサー
その時はその時で、 彼の出方を見て考えたいと思う。

エルザ
……そう、正直な答えで結構だわ。

アーサー
いよいよ事態は風雲急を告げてきたね。 到着を急がなければ。