クレア
魔神ラグルヴォードがいる場所まで あともう少しね……。

ディアナ
あのシュスイとかいう しつこい魔神は何だったの!

ディアナ
何度も追い回されて、ここまで来るのに どれだけ遠回りさせられたか……。

クェイド
ああ、あの魔神は確かに強かったな。

クルト
フン、もう音を上げたのか?

クェイド
ハハハッ、確かに少し疲れたかな。

クェイド
だけどあの魔神は、こちらの実力を 試して戦ってる感じがしたから

クェイド
そんなことも言ってられないけれどね。

クェイド
あれだけの強さを持った魔神がいるなんて、 さすが神々に捨てられた地って感じだな。

イヴリス
そうですよね!

イヴリス
私もこっちに来てから 驚くべきことばっかりです!

ディアナ
イヴリス……あなた、こっちに来てから、 随分と元気いいわよね?

イヴリス
え、だって、イシュグリアですよ?

イヴリス
ここでならお姉ちゃんに…… い、いえ、自由に動けるなーって思って!

クルト
ボクたちは ここに遊びに来たわけじゃない!

クルト
カルナ・マスタ様からの使命のために ここにいるんだ!

クルト
もっと緊張感を……。

イヴリス
わかってます! わかってます!

イヴリス
使命は使命! もちろんわかってますよ♪

イヴリス
あ、クルトくん、 今ちょっと動かないでください!

イヴリス
あなたの足元にいる 猫みたいな生物に触ってみたいんで……。

クルト
え?

クルト
うわっ!!

イヴリス
あー…… 逃げちゃいましたよ……。

クレア
まったく、あなたたちは……。

クェイド
ハハハッ!

クェイド
2人ともまだまだ元気みたいだな。

クェイド
クレアは大丈夫かい?

クェイド
こっちに来てから、 ずっと気を張っているみたいだけど。

クレア
……気付かれていたのね。

クレア
必要以上に過敏になっているのは、 自分でも認識している……。

クレア
だけど、カルナ・マスタ様から 直々にくだされた使命な上に

クレア
失敗が許されない任務だと思うと……。

クレア
あなたやイヴリスみたいに 気楽に構えられれば楽なんだろうけど……。

ディアナ
わかるわ…。

ディアナ
ましてや“イシュグリア”なんていう 未知の異界での任務だからね……。

ディアナ
私だって……。

クェイド
…………。 ありがとう、クレア。

クレア
え?

クェイド
俺がこうやって気楽に動けるのは、

クェイド
クレアたちがそうやってしっかり周りに気を 配ってくれているのをわかっていて

クェイド
安心してるからなんだと思う。

クェイド
だから、ありがとう。

クレア
…………。

ディアナ
いきなり、らしくないこと言って、 クレアが困ってるじゃない!

クレア
い、いえ私は……。

ディアナ
だったら、少しはクレアが 楽できるように

ディアナ
あなたもちょっとは しっかりしたらどうなの!?

クェイド
ハハハッ、俺はこれでも しっかりしてるつもりなんだけどな。

ディアナ
まったく……。

クェイド
そういえば、偵察に行ったファダルの 帰りが遅いな。

クェイド
どこかで道草でもしてるのかな?

ディアナ
またそうやってごまかして!!

ディアナ
クェイドじゃないんだから、 道草なんかしないわよ!

クレア
フフッ……。

クレア
……ありがとう。 だいぶ楽になった気がする。

ファダル
…………。

ファダル
この気配は……。

ファダル
魔神ラグルヴォードだけじゃない……。

ファダル
もう1体いる……。 この近くに同じぐらいの力を持った魔神が。

ファダル
影明の神殿の方角か……。

ファダル
カルナ・マスタ様からの使命は、 魔神ラグルヴォードの討伐だが……。

ファダル
無視することはできないだろうな。

ファダル
ラグルヴォードと戦っている時に、 挟撃でもされたら、目も当てられないしな。

ファダル
……兵士たちを連れてきたのは正解か。

ファダル
まずは戻って クェイドたちと作戦を練るとするか。

???
神衛使メイリスが1人。 神鎧を授けられし者よ……。

ファダル
何者だ!!

???
我は神に仕えし者。 お前たちに神よりの知らせを告げに来た。

ファダル
神からの知らせ……。

???
不遜なるぞ……。

???
控えよ!

ファダル
は、はっ!

???
お前たちに伝えることがある……。

???
大神皇カルナ・マスタ様を 狙う者の存在が確認された。

ファダル
カルナ・マスタ様を!?

???
その者たちはすでにカルナ・マスタ様を 目指し動き始めている。

???
お前たち神衛使メイリスの使命は、 カルナ・マスタ様を守ること。

???
針狭海岸に、グランガイアに帰還するための ゲートを特別に開けておく。

???
急ぎ帰還し、 カルナ・マスタ様をお守りするのだ。

ファダル
……わかりました。

ファダル
しかし、魔神ラグルヴォード討伐は いかがすれば?

ファダル
こちらも、グランガイア侵攻を 目論んでいるため、

ファダル
一刻も早く討伐する必要があると お聞きしましたが……。

???
私の役割はお前たちに情報を伝えること。

???
その先の判断を下すことまでは 許されていない。

ファダル
…………。

???
カルナ・マスタ様を狙う者について 確かに伝えたぞ。

ファダル
…………。

ファダル
カルナ・マスタ様に 危機が迫っていると知った以上、

ファダル
一刻も早く 駆けつけるべきなのだろうが……。

ファダル
かと言って、ここにいる魔神たちを 放っておくのも……。

ファダル
クソッ! 考えろ、考えるんだファダル。

ファダル
…………。

ファダル
とりえず、ここで得た情報を、 みんなに伝えるべきか……。

ファダル
何か判断を下すのは それからでも遅くない……。

クルト
カルナ・マスタ様を狙う者だって!?

イヴリス
……確かに針狭海岸の方角より、 特異で膨大な魔力を感じますね。

イヴリス
ゲートが開かれているのは 確かのようです。

クルト
なら急いで帰還しましょう! 姉さん!

クレア
慌てないで、クルト。

クレア
この地の魔神ラグルヴォードも、 このまま放っておけないわ。

ディアナ
確かにグランガイアを狙う魔神を 放置しておくこともできないわね……。

ディアナ
元々、私たちはラグルヴォード討伐のために この異界に来たわけだし……。

クルト
じゃあすぐに魔神を倒しに行こう!

クルト
その後すぐに カルナ・マスタ様のもとへ向かえば!

イヴリス
…………。

イヴリス
カルナ・マスタ様が直々に 討伐を命じた魔神を

イヴリス
そう簡単に倒せますかね……。

クルト
クッ……。

ファダル
……それに、俺の前に現れた神の使者様は

ファダル
「ゲートを特別に開けておく」と言ったが その期間については何も言っていない。

ファダル
長い期間、開いている保証は無いだろう。

ファダル
異界とグランガイアを行き来させる力だ。

ファダル
その維持には莫大な力が 消費されているだろうからな……。

ディアナ
じゃあ、どうすれば……。

クェイド
…………。

クェイド
ファダル、 お前にはもう考えがあるんだろう?

クェイド
話してくれ。

ファダル
…………。 お見通しか。

ファダル
ここに来るまでに 考えていたことなんだが……。

ファダル
隊を2つに分けようと思う。

ファダル
いや、正確には3つだな。

ファダル
1つはこのまま魔神ラグルヴォードの 討伐を続ける部隊。

ファダル
1つはグランガイアに帰還し、 カルナ・マスタ様のもとへ駆けつける部隊。

ディアナ
…………。 もう1つの組は?

ファダル
それは、これまで俺たちに従ってきてくれた 兵士たちを編成した部隊だ。

ファダル
先ほどの偵察で 俺は新たな魔神の気配を察知した。

ファダル
その魔神を抑える役割を してもらおうと思う。

ディアナ
それは危険なんじゃ……。

ファダル
ああ、危険を承知の上だ。

ファダル
だが、今、俺たちが打てる手は少ない。

ファダル
もちろん兵士たちには 無理をしないよう伝えておく。

ファダル
魔神ラグルヴォードを倒すまでの、 時間稼ぎをして欲しいだけだからな。

クレア
…………。

クレア
仕方が無い…わね。

クレア
彼らもカルナ・マスタ様に仕える者たち。 覚悟を決めてもらいましょう。

クレア
それよりも問題は……。

ファダル
ああ、我々をどのように2部隊に分け

ファダル
どちらが魔神討伐に向かい、 どちらがグランガイアに帰還するか…だ。

ディアナ
…………。

クレア
…………。

クレア
ファダル、あなたの中で部隊構成案は もうできているのでしょう?

クレア
それを教えて。

ファダル
いや、俺もまだ迷っている。

ファダル
だが、俺とクェイドが 別部隊に別れる必要はあると思っている。

ファダル
それと、これは希望だが 俺はグランガイアに戻るつもりだ。

ファダル
俺はカルナ・マスタ様を狙う者を 放っておくことはできない。

クルト
姉さん! ボクたちもグランガイアに戻ろう!

クルト
ボクたちは大神皇神衛使メイリス。 カルナ・マスタ様を守るべきだ!

クレア
ええ……でも……。

クェイド
…………。

クレア
いえ、そうね。

クレア
ファダル、私とクルトも、あなたと グランガイアに戻ることを希望するわ。

ファダル
そうなると、ディアナとイヴリスは クェイドとともにここに残り

ファダル
魔神ラグルヴォードを 討伐してもらうことになる。

ファダル
2人ともそれでいいか?

イヴリス
私は問題無いです! むしろこっちに残りたかったくらいなんで!

ディアナ
私は……どっちも心配だけど…… でも……。

クルト
意見が決まっていないなら 決定に従えばいいだけだ!

クルト
それより、クェイド!

クルト
お前はさっきから 何も発言してないじゃないか!

クルト
何を考えているんだ!

クェイド
俺は……。