アレグモス
グオオオオオーーーーーーー!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。

グラデンス
逃げおったか……。

セリア
グラデンス様、なぜ!?

セリア
あの魔神だけは!

セリア
アレグモスは私1人で戦って、 倒さなければならない敵なんです!

グラデンス
“1人で”じゃと?

グラデンス
笑わせるな!

グラデンス
相手の力量も計れぬ愚か者が 何をぬかしておる!

グラデンス
お主1人で勝てぬことなど 戦闘前からわかっておっただろうが!

セリア
クッ……。

セリア
し、しかし!

セリア
それでも私は!!

グラデンス
愚か者めが!

グラデンス
まだ、わからぬのか!!

グラデンス
因縁の魔神に1人で挑む。

グラデンス
確かに、お前の後悔の念は晴れるじゃろう。

グラデンス
じゃがそれだけじゃ。

グラデンス
自身を追い込み、 1人で死ぬことなど楽なこと。

グラデンス
セリアよ、あえて言おう。

グラデンス
もっと苦しめ。 罪を背負え。

グラデンス
死者は生者に何も語らんし、 生者が死者にしてやれることもない。

グラデンス
だが、その死を無駄にしないことはできる。

セリア
死を無駄にしない……。

グラデンス
5年前、お主の隊にいたあの若者。

グラデンス
あやつはお主のことを 本当に尊敬し、信頼しておった。

グラデンス
口さえ開けば、 周囲にお主の凄さを話しおったわ。

グラデンス
お主はあやつを、1人前の召喚師として 扱ったことを悔いておるようだが、

グラデンス
逆に言えば、 お主に1人前と誤解させるほど、

グラデンス
張り切って活躍していたのは お主に認めてほしかったからじゃろう。

グラデンス
今のお主の姿は、あやつが抱いた 尊敬の念にふさわしいものかのう?

セリア
……………。

グラデンス
贖えない過去があるからこそ、 それに囚われることなど許されん。

グラデンス
死んでいった者たちの想いに 相応しい生き方をしなければならん。

グラデンス
……ワシも、お主もな。

セリア
……………。

セリア
わかりました。

セリア
グラデンス様、 私に力を貸してください。

セリア
私はアレグモスを倒したい。

セリア
過去を悔いるためではなく、 過去に区切りを付けるために!

グラデンス
もちろんじゃ。

グラデンス
今のお主に力を貸さない理由など ワシは持っておらんよ。

グラデンス
のう、Shou-chan。

セリア
グラデンス様……。

セリア
Shou-chan!

セリア
アンタに力を借りるのは あくまでオマケよ!

セリア
私たちの足を引っ張ったら 承知しないからね!

グラデンス
フォッフォッフォッ。

グラデンス
だ、そうじゃよ。 Shou-chan。

グラデンス
これは、張り切らねばいかんの。