逃さないわよ！

まったくツメが甘いんだから。

この場に私がいなかったら 逃していたところよ。

え、 何で私がここにいるかですって？

そんなの、アンタとカルの応援に 来たに決まってるじゃない。

そのぐらいわかりなさいよね！

…で、このドラゴンが、 アンタとカルが追っていたヤツね？

ずいぶん弱っているようだけど、

こんなヤツに 手こずっているようじゃまだまだね。

アンタはそこで、 私の華麗な戦い方を見ていなさい。

創竜姫アーシャ！ あいつを切り裂き－－

キャ…

くっ…… なんてバカでかい叫び声なの。

まだ、耳鳴りがするわ。

…って、ドラゴンはどこ！？

え？

叫び声でこちらが怯んだ隙に、 逃げ出した！？

Shou-chan！ 何、ボケっと見ていたのよ！

もーーーーーー！

これじゃあ、 どうしようもないじゃない！！

センパーイ！

アクラス召喚院グランガイア開拓局 調査部後方支援課

リム・メリルハルムです。

先ほど、 カルさんに連絡を取ったところ、

そちらに行くのは、 もうちょっと遅れるとのことで、

謝っておいてくれ、 との伝言を承りましたー。

カルが遅れるなんて、珍しいわね。

何かあったの？

さあ、 そこまでは聞いてませんが……。

ただ、カルさんからの伝言には 続きがありまして、

ドラゴンの巣は 遠雷の渓谷にある可能性が高く、

最終的に そこに逃げ込むのではないか、

とのことでした。

さすがはカルね。

道中で有益な情報を得ているなんて、 どこかの誰かさんとは大違いだわ。

それじゃあ、Shou-chan、 遠雷の渓谷に向かうわよ！

グズグズしていて、回復でもされたら、 面倒なことになるからね。