パリス
ハァッ、ハァッ…。

ルジーナ
……………。

パリス
ハァハァハァハァ。

ルジーナ
ケッ、クソヤロウが……。

リム
な、なんとか倒せたみたいですね……。

リム
見ているこちらも ヒヤヒヤでした……。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

リム
あ、大樹に変化が!

リム
幹に大きな穴が 開いたようですよ!

パリス
中にあるのは……。

パリス
……日記と……手紙?

パリス
いえ手紙というよりは……。

パリス
……これは恋…文?

リム
え、恋文ですか!?

リム
見せてください! 見せてください!

謎の声
私が用意した試練に 打ち勝った者たちよ!

リム
わ! また声が響いてきましたよ!

謎の声
私は女帝より“宝”を託され 3つの道を作った者だ。

謎の声
汝らは今、手にしたのであろう。

謎の声
女帝…いや、我が主“カリエナ”が 即位前に亡き恋人と交わした恋文、

謎の声
そして彼女が 即位直前までの記していた手記を。

謎の声
即位する前日、 彼女は私のもとを訪れ、

謎の声
国を再建するまで、 自分の感情を一切捨てると語った。

謎の声
そして、自分の感情が詰まった これらを封印するよう私に依頼したのだ。

謎の声
なぜ破棄ではなく封印するよう頼んだのかは 私にもわからない。

謎の声
もしかしたら国家再建の役目を 終えて退位した後、

謎の声
彼女は再びそれらの品を手にし

謎の声
自分の人間らしい感情を取り戻そう と思っていたのかもしれない。

謎の声
この声が届いている時代に カリエナは既に存在していないだろう。

謎の声
そして我が主の名は、冷酷な女帝として 歴史家に記憶されていることであろう。

謎の声
だが、私は耐えられなかったのだ。

謎の声
彼女が後世にわたって、血も涙もない 冷徹な人間だと言われ続けることが。

謎の声
私が用意した試練を乗り越えた者たちよ。

謎の声
彼女が一人の女性だったことを 後世に伝えてほしい。

謎の声
私が知っている 優しく愛らしい彼女の本当の姿を……。

パリス
…………。

ルジーナ
ケッ……。

リム
なんだかロマンチックな話ですね。

リム
でも、この声の人は、なんで女帝さんの ために、ここまでしたんでしょうか?

リム
これまでの仕掛け、 かなり大掛かりでしたよね?

ルジーナ
ハァッ? そんなこともわかんねーのか?

ルジーナ
この魔術師が女帝に惚れていたから に決まってるじゃねーか!

リム・パリス
……!!

ルジーナ
ああ!? なんだテメーら!?

リム
……いえ、ルジーナさんが、

リム
色恋沙汰に関してそんな鋭い言葉を 口にするとは思わなかったので…。

リム
ビックリしちゃって……。

パリス
……同感だわ。

ルジーナ
ケッ!

ルジーナ
俺様にふさわしい女がいねえから、 普段そういう繊細な面を見せてねーだけだ!

ルジーナ
なにしろ召喚院もランドール皇国も

ルジーナ
俺の凄さがわからねー クソ女ばかりだからな!

ルジーナ
おい! Hans!

ルジーナ
こんなくだらねー女々しい宝なんざ テメーらにくれてやる!

ルジーナ
小物のお前たちには お似合いの宝だろうよ!!

リム
さすがルジーナさんですね。

リム
ここまで噂通りの人、 初めてですよ……。

パリス
アクラス召喚院の方も 苦労しているようね……。

パリス
さて、私もそろそろ ランドールに戻らないと。

パリス
その宝は Hansに譲るわ。

パリス
確かに素敵な宝だとは思うけど

パリス
私が求めていた宝とは やっぱり違うみたいだから。

リム
おふたりとも宝の正体がわかった途端 あっさり譲ってくれちゃいましたね。

リム
え、先輩もあんまり 興味ないんですか!? 

リム
むー……。 こんなにロマンチックな宝物なのに……。

リム
ともかく、 それを回収して帰還してください。

リム
リントくんなら、 歴史資料の扱いに長けてますから

リム
あの声の主の願いを、 叶えてあげられると思います。 

リム
リントくんの方も 貴重な資料が増えたって、

リム
きっと大喜びしますよ!

リム
あれ、先輩!

リム
その日記帳が置いてあった場所の下、

リム
ちょっと、見てもらえませんか?

リム
何かが光ったような……。

リム
…………先輩! それ、スフィアじゃないですか!

リム
伝説の女帝の秘密と一緒に眠っていた スフィアなんて、

リム
もしかすると凄い能力を 秘めてるんじゃ……。

リム
あ、でもそれは今回の依頼とは 関係無いものなので、

リム
先輩がもらっちゃってください!

リム
フフッ、これは先輩と私の秘密ですね。

リム
私も女帝さんみたいに 日記に書いておこうかな♪

リム
それじゃあ、先輩がランドールに戻られるの お待ちしてますね!