ここが虚空封界メノンか……。

いかにも大神皇様がいるような 神々しさがあっていいじゃねーか。

ルジくん、強がってるけど もしかして怖いの？

ふざけんな！

テメーこそ怖くて 震えてるんじゃねーか？

違うわよ！ 山の上で寒いからに決まってるでしょ！

そんな格好してるから 寒いんじゃねーのか？

アンタには関係無いでしょ！

大神皇との戦いの前だっていうのに 本当に緊張感が無いわね。

ハハッ、でも緊張し過ぎるよりは いいんじゃないか？

それはそうだけど……。

…………。

どうしたの、ティリス？

さすがにティリス様は 気付いているようだな。

それに比べてお前たちは。

オーンよ。 良いか？

フン、他に手はあるまい。

爺さんたちどうしたんだ？

まだ気が付かぬのか？ だとしたら本当に修行が足りぬな。

感じぬのか？ 遠くから迫り来る大量の気配を。

えっ…こ…これは！？

どうしてこれほどの魔神の気配が。

お主たちがこの地を支配する魔神たちを 倒してきたからじゃろう。

魔神たちの秩序は力ある者が正義。

強大な魔神を倒したお前たちを倒して

自分が新たな支配者になろうとでも 思っておるのじゃないか？

でも、どうしてこのタイミングで！

クソッ、メノンの封印が解かれたことに 気が付きやがったのか。

そうじゃ。

ここで私たちの邪魔をしたら カルナ・マスタがどうなるかわからないの？

カルナ・マスタと戦うことを 止めるつもりの魔神もいるんだろう。

もしくは、それすらも理解できない 低級ってことか。

どちらにしろ、ザコ魔神ばっかりなら ここで蹴散らすしかねーな。

ルジーナよ。 お主にしては甘い判断じゃな。

お前は何のためにメノンでの戦いを Shou-chanに任せてきたのじゃ？

カルナ・マスタとの戦いで Shou-chanに頼らず戦えるよう

少しでもお主たちの力を 温存しておくためじゃろう？

爺さん、気付いてたのか？

当たり前じゃ。

なぜここに来るまでお主たちに メノンでの話を聞いたと思っておる。

Shou-chan、ごめんなさい。 悪気があったわけじゃないの。

今までの戦いで私たちはいつも最後は あなたに頼り切りだった。

だから、今度は私たちが なんとかしようと思って……。

フン、くだらぬ策だな。 結局、最後は強い者が弱い者を助けるだけ。

力など温存するものではない。 使える時に使うだけだ。

ハハッ、オーンさんなら それでいいかもしれないが、

俺たちはまだ修行不足でね。

セリアが提案してくれた時、 俺は嬉しかったぜ。

な、カル！ 私は提案なんかしてないわよ！

Shou-chan！ そんな驚いた顔しないでよ！

私はただ悔しかったのよ。

いつも最後はShou-chanに 頼りっ放しの自分が……。

まあ、俺はそんなこと関係無く 面倒事を押し付けたかっただけだがな。

セリアの話を聞いた後に 細かい策を出したのは誰だったかしら。

うるせーな！

やるからには徹底してやる！ それが俺のやり方なんだよ！

フォッフォッフォッ、だとしたら それは最後まで徹底しないとの。

お主なら気が付いてるのだろう？ 今の最善策を。

…………。

チッ、わかったよ！

それを俺に言わせるんだ！ それなりの見返りは用意してもらうぜ！

もちろんじゃよ、ルジーナ。 ワシはお主の力を認めておるのじゃから。

ケッ、まあいい。

おい、お前らいいか！

これからここに現れるザコ魔神どもは 召喚老の２人に任せて

俺たちはカルナ・マスタを目指す！

ちょっと、どういうことよ！

うるせー！ 黙って最後まで聞け！

全員、カルナ・マスタの位置は 感じているな？

これだけデカい気配だ。 わからねーわけねーよな？

え、ええ……。

だったら今からお前たちは 全員別の道を進め！

その途中で神託の巫女の力を 探しながらな！

戦力を分散するというの！？

違う！ あくまで効率良く巫女の力を探すだけだ！

バラバラに動いてたら 爺さんたちがもたないだろうが！

フン、貴様に心配されるいわれはない。

いちいち絡んでくるな！ 時間がねーんだよ！

全員で神託の巫女の力を探しながら カルナ・マスタの元で合流。

その後に神託の巫女の力とともに カルナ・マスタに戦いを挑む！

Shou-chan！ 今度こそ抜け駆けするんじゃねーぞ！

わかったな！

それと、カル。 この作戦、お前には何も言わせねーぞ。

ああ、わかってる。

爺さんたちも俺なんかに 心配されたくはないだろうからな。

フォッフォッフォッ、 わかっとるじゃないか。

手柄は若い連中に譲ってやる。

しっかりと全員の力を集結させて カルナ・マスタを倒してこい！

言われるまでもねー！

行くぞ、お前ら！

年寄りどもにこれからは誰の時代かを 教えてやるんだ！

俺も行かせてもらう。 後は頼んだぞ。

グラデンス様、オーン様。 どうかご無事で……。

あなたたちに拾っていただいた恩、 私はまだ返していませんから。

私が何を言っても 意味はないかもしれません。

それでも言わせてください。 必ずまた会えると信じています。

グラ爺、オーンちゃん、

２人ともまだ若いんだから 無茶はしないでね！

Shou-chanを 信じて待ってて！

必ず２人を助けに戻るから！

ホラ、Shou-chanも 行こう！

後はカルくんに任せて！

Shou-chanよ。 皆のことを頼むぞ。

さて、カルよ。 お主も早く出発しろ。

ああ、そうだな……。

お主も本当の父親に会えたんじゃ。

ワシのような仮の親からは 早く親離れしないとな。

そんなんじゃない！

俺は確かに自分の生まれを気にしていた。

でも、それは爺さんから 離れるためじゃない。

そんなんじゃないんだ……。

カルよ……。

爺さんは何があったって 俺の大切な親だ。

だから…だから絶対に死なないでくれ！

当たり前じゃ。 ワシがそう簡単にやられると思うか？

ああ、そうだったな……。

お主こそ決して死ぬんじゃないぞ。

言うまでもないが、 カルナ・マスタは簡単な相手じゃないぞ。

ああ、わかっている。

俺はみんなと必ずカルナ・マスタを倒す！ だから爺さんも必ず生き残るんだぞ！

約束だからな！

ああ、約束じゃ。

ホレ、早く行け！

ワシの息子なら他の者になぞ 遅れを取るんじゃないぞ！

爺さん……。

いや…父さん…ありがとう……。

…………。

終わったか？

…………。

フン、涙で戦いを鈍らすなよ。

泣いてなぞおらんわ……。

フン……。

なんじゃ、お主、 もしかして羨ましいのか？

だからお主も家族を持てと あれほど……。

オーンよ、もしかしてお主、 あの時の彼女をまだ！？

グラデンス、お前は魔神と戦う前に 俺に殺られたいようだな……。

ま、待て！ 落ち着け！

…………。

……どうやら遊びもここまでのようだな。

フォッ！？ これは数えるのも面倒な数じゃな。

数など関係無い。 向かってくるものを倒し続けるだけだ。

そうじゃな。

それにここで俺たちが死んでみろ。

後に残ったウォーロンが 何をすると思う？

……そうじゃったな。

それを考えると 何としても生き延びんといかんな。

まあ、俺は元より死ぬつもりなど まったく無いがな。

フォッフォッフォッ、 お主はやはり変わらんな。

いいじゃろう！

さあ、魔神ども！ 来るがいい！

我が友イシュリオンの刃で その身を裂かれる覚悟があるのならば

白銀の冥神と恐れられたこのグラデンスが 貴様たちの相手になろう！

フン、大層な口上だな。

名乗りなど不要！

俺の前に現れたものは叩き斬る！ ただそれだけだ！

カルよ…そして他の者たちよ…

必ず生きてエルガイアに戻るのじゃぞ。

お主たちはこれからの世界に 必要となる人間なのじゃからな。