バリュオン
フン、人にしてはやるようだな。

バリュオン
この俺を相手にここまで戦えるとは。

セリア
ハァハァハァハァ……。 どうやら間に合ったようね……。

ルジーナ
Shou-chan! テメー、また勝手に動きやがったな!

パリス
仕方が無いでしょう。

パリス
あそこはShou-chanが 単独で動くのが正しい判断よ。

ルジーナ
うるせーな! んなこたーわかってるんだよ!

カル
……Shou-chan、 バリュオン。

バリュオン
…………。

カル
バリュオン、俺の話を聞いてくれ。

バリュオン
言っただろう。 お前の力を示せと。

バリュオン
お前はまだ何も示していない。 示したのはそこの召喚師だけだ。

カル
グッ……。

バリュオン
魔神の力もまともに扱えん お前の力などたかがしれてるがな。

カル
だったら…だったら見せてやるよ! 俺の力を!

カル
これが俺の力だ!

バリュオン
グオッ……。 こ、この力は……。

バリュオン
魔神の力を… 使いこなしたというのか?

カル
クッ……。

セリア
カル!

???
どうやら感情の昂ぶりで 瞬間的に力を扱えただけのようですね。

セリア
モーラ!

モーラ
煌竜覇神バリュオン、あなたの強大な力、 私が使わせてもらいます。

バリュオン
グオォォォォーー!

カル
バリュオン!

バリュオン
近付くな!

バリュオン
グッ…俺の力が…もっとも弱るこの時を… 狙っていた…ということか……。

バリュオン
小賢しい……。

バリュオン
我が…力を…手にして… どうするつもりだ……。

モーラ
あなたに説明するつもりはありません。

モーラ
それに私が手にしたのはあなただけの 力でもありません。

バリュオン
そうか…所詮貴様も… 呪われし血を…引く者ということか……。

バリュオン
貴様の両親と…同じ失敗をするがいい……。

モーラ
うるさいですね……。 いい加減に倒れてください。

バリュオン
グワァァァァァーーー!

カル
バリュオーーン!

カル
モーラ、貴様!

モーラ
あなたが怒る気持ちもわかりますが 今はあなたたちと戦うつもりはありません。

モーラ
私も色々とやらねばならないことが 多いので。

モーラ
お話があるなら、 エストリアでお待ちしています。

モーラ
かつて魔神たちの一大勢力があった 彼の地で……。

セリア
モーラ、待って!

セリア
あなたは何をしようとしているの!?

モーラ
…………。

ルジーナ
今は無理に追うな。

ルジーナ
わかってるだろうが、今の俺たちの状態じゃ モーラとはまともに戦えねー。

カル
バリュオン! しっかりしろバリュオン!

バリュオン
グッ…情けない顔をするな……。 力を奪われ…動けぬだけだ……。

リオメルグ
バリュオン様! これは!?

リオメルグ
モーラが現れたのですね……。

リオメルグ
カル様! なぜモーラを防がなかったのです!

バリュオン
言うな…リオメルグよ……。 これは俺の弱さが生んだ結果だ……。

リオメルグ
無理なさらないでください! すぐに安全な場所にお運びします!

リオメルグ
その後、私が必ずモーラから 力を取り戻してみせます!

カル
モーラを倒せばバリュオンの力は 元に戻るのか?

リオメルグ
……カル様。 私はあなたに失望しました。

リオメルグ
もうあなたには何も期待しません。 モーラは私が倒します。

リオメルグ
あなたはそこの人間たちと いつまでも戯れていればいい!

リオメルグ
所詮あなたは人間なのです!

リオメルグ
さあ、バリュオン様、行きましょう!

バリュオン
…………。

カル
…………。

リオメルグ
人間たちよ。 つけ上がるなよ。

リオメルグ
儀式で力を消耗していなければ

リオメルグ
バリュオン様がお前たちに遅れを取ること など決してないのだからな。

セリア
カル……。

セリア
え!?

カル
グゥゥ……。

カル
ウゥゥ……。

パリス
元の姿に戻った? でも、どうして?

ルジーナ
大方さっきの攻撃で 魔神の力を使い果たしたんだろうよ。

ルジーナ
自分の父親に向けた一撃でな。

セリア
ルジーナ!

カル
セリア、いいんだ……。 その通りだからな……。

ルジーナ
ケッ、で、お前はどうするんだ?

ルジーナ
人間に戻ったことだし、アイツとの 縁は切ってモーラは放っておくか?

カル
そういう訳にもいかないさ。

カル
ああ、このまま放ってはおけない……。

セリア
カル……。

カル
Shou-chan、みんな、すまないが 一緒にエストリアに向かってくれないか?

セリア
何を水臭いことを言ってるのよ。 当たり前じゃない!

パリス
ええ、それにモーラは元々決着を つけなければいけない相手だから。

ルジーナ
特別に俺も付き合ってやるよ。 俺の優しさに感謝するんだな。

カル
ああ、みんなありがとう……。

カル
やっぱり俺はまだまだだな。 もっと真剣に悩み続けないと。

カル
だから中途半端なことをして こんな結果になっちまうんだ。

カル
パリスさんの真面目さを もっと見習わないとな。

パリス
わ、私の?

カル
ああ、しっかり最後まで悩んで 結論を出し、前に進む。

カル
当たり前のようでなかなかできる もんじゃないぜ。

パリス
私、そう見られていたの?

セリア
だから言ったでしょう。 パリスは考え過ぎだって。

セリア
パリスはやることはしっかり やってるのよ!

ルジーナ
ケッ、だからこいつは面倒なんだよ。

ルジーナ
隙だらけのクセしやがって 締めるところは締めやがる。

パリス
みんな……ありがとう……。

パリス
…………。

パリス
私、決心がついたわ。

パリス
この戦いでティリス様を助けたら 皇国に戻る。

セリア
え!? どうしてそうなるの!

パリス
私、みんなが自分の道を進む中、 正直、迷っていたの。

パリス
確かに召喚院は素晴らしい組織で 居心地も良いけど

パリス
外からの皇国の改革は 私以外でもできる。

パリス
でも、中からの改革は私でないとできない。

パリス
上級貴族の生まれであることを 嫌った時もあったけれど、

パリス
その立場でしかできないことも あるものね。

パリス
カルの今の話とみんなの言葉で決心したわ。 私は皇国を中から変える。

パリス
それはエリオール様のような 武力によるものではない。

パリス
私なりの血を流さない方法を 探して実現してみせる。

パリス
それがどんなに困難な道だとしても……。

パリス
私は迷いあがきながら 前に進み続けてみせるわ。

パリス
それがきっと私が信じる道だから。

セリア
パリス、よかったじゃない。 やっと自分の気持ちがわかって。

セリア
あなたは頭が良いから、自分にも ウソをついてたのよ。

パリス
そうなのかもしれないわ……。

カル
まあ、なんにせよまずはエストリアに 向かうとしようぜ!

カル
カルナ・マスタをどうするかは その後で決めればいいさ。

カル
さあ、行こう。 リオメルグさんがモーラと出会う前に。

セリア
そうね。 私も彼女とはもう1回話したいわ。

セリア
去り際のモーラの表情…あれは……。

パリス
Shou-chan、あなたとの旅が 私を変えてくれた。

パリス
きっとまた私は迷うと思うけれど その時は少しだけ頼らせてね。

ルジーナ
フン、ここまではベルツの予想通りか。

ルジーナ
モーラが他の魔神どもの力を手にしていれば メノンへの道が開くはず。

ルジーナ
アークの野郎の動向も気になるが その時はShou-chanに任せればいい。

ルジーナ
召喚老どもが道を開くのが先か 俺たちが開くのが先か……。

ルジーナ
どちらにしても俺は最後に美味しいところを もらうだけだ。

ルジーナ
せいぜい踊ってもらうとするか。 神に呪われし召喚師様たちにな。