ここは……。

つい最近まで生活していた痕跡が あるけれど、

カルの言っていた火竜系の魔神が 暮らしていた場所かしら？

ってことは、さっきの竜頭も 出てくる可能性があるってこと？

わからないわ。

召喚院の調査だと、イシュグリアにも 小さな部族の集落はいくつかあるようだけど

これだけの規模で都市が残っているという 報告は届いていないわ。

ああ、そうだ。

ここはイシュグリアでも唯一残っている 都市って言えるだろうな。

カル！

Shou-chan、 やっぱりここまで来たな。

ここは火竜系の魔神たちが暮らす都市 “光竜都シン”。

だけど、今は住人たちには避難して もらっている。

これからここで起こる戦いから 逃れるためにな。

カル、どういうこと？

水竜都トレーヴでも言っただろう。

次に会った時こそ俺はみんなの敵だってさ。

カル……。

セリア、そんな顔をしないでくれよ。 俺はこれでも楽しみにしてたんだぜ。

Shou-chanと本気で 戦えるこの時をさ！

さあ、見せてやるよ。

俺が魔神バリュオンの血を引く証を！

グッグォ……。

ハァハァハァハァ……。

どうだい、この姿ならみんなも 思いっきり戦えるだろう？

カル、バカなこと言わないで。

カルがどんな姿になったって 私は本気では戦えないわ。

セリア……。

ええ、私もセリアと同じ意見よ。

パリス……。

それに想像より普通だったみたいで 少し拍子抜けしたわ。

Shou-chanの顔をみてみなさいよ。 「何が？」ってバカ顔を。

Shou-chan……。

でも…俺は……。

グッ…グアァァ……。

カル、どうしたの！？

グゥゥゥ……。

情けない姿ですな。 カル様。

リオメルグさん……。

そんな中途半端な覚悟で魔神の力を 使おうとするから、そうなるのです。

その姿を見たらバリュオン様が 悲しみますぞ。

あの人は…関係…無い……。

まあいいです。 まずはここを離れましょう。

どこに行くつもり！

お前たちから離れた場所に カル様を運ぶだけだ。

お前たちといると、目覚めかけている カル様の魔神の血が安定しないからな。

安定ですって？ でも、安定したらカルは……。

パリス…気にしないで…くれ。 これは…俺が選んだ道だ……。

選んだ…道……。

カル様、さあ行きましょう。

行かせると思ってるの！？

お前たちはカル様を これ以上苦しめるつもりか？

グッ……。

安心しろ。カル様が落ち着いたら 私がお前たちの相手をしてやる。

リオ…メルグさん……。

召喚師たちよ！ この光竜都の奥で貴様たちを待つ！

そこで貴様たちを倒し、カル様の迷いを 私が払ってやろう！

…………。

カル様、あなたに力の使い方を 見せて差し上げます。

魔神の力の使い方を。

グッ…みんな…ゴメン……。

行ってしまったわね……。 Shou-chan、セリアどうするの？

どうするもこうするもないわ。

あの竜頭の言うように この街の奥まで行くわよ！

それでアイツにも教えてあげるわ！ どっちがカルにとって邪魔者なのかを！

パリス、悪いけどあなたの悩みには しばらく付き合えないわよ。

今はあの竜頭をぶっ飛ばすのが 最優先だから！

フフッ、そうね。 私もしばらく悩みのことは忘れるわ。

あんな苦しそうなカルを見たら 放っておけないものね。

あ、Shou-chan、待って！

あなたも早く行きたいのはわかるけど 私たちだって同じ気持ちなんだから。

フン、いつもグズグズしてるのに やる気があっていいじゃない。

さあ、行くわよ！

今度こそカルの気持ちを 変えてやるんだから！