リオメルグ
いいだろう。認めよう。 お前たちの強さをな。

リオメルグ
そして詫びよう。 私がお前たちを侮っていたことを。

セリア
ハァハァハァ… で、謝った後はどうするの?

リオメルグ
私の本気で貴様たちの相手をしよう。

セリア
やっぱりそうなるわよね……。

セリア
Shou-chan、パリス、 もう一戦行くわよ。準備はいい?

パリス
ええ、問題無いわ。

カル
リオメルグさん……。 そこまででいいよ……。

リオメルグ
…………。

セリア
カル、大丈夫なの?

カル
ああ、情けないところを 見せちまったな。

カル
それより……。

カル
リオメルグさん、 俺のために戦ってくれてありがとう。

カル
でも、いいんだ。 これは俺の戦いなんだ。

カル
だからここは引いてくれ。

リオメルグ
……わかりました。

リオメルグ
カル様がそこまで仰るなら 私もここは退きましょう。

リオメルグ
ですが、もしあなたがこの者たちを バリュオン様の元まで連れて来るようなら

リオメルグ
その時は、私はカル様と言えど 容赦はしません。

カル
わかってるよ。

カル
俺もあの人やリオメルグさんが やろうとしていることを邪魔したくはない。

リオメルグ
その言葉、信じていますよ。

カル
フー、みんな悪いな。

カル
格好つけてShou-chanたちに 挑もうとしたらこの様だからな……。

セリア
それはもういいわ。

セリア
それより、どうするの? やっぱり私たちと戦うの?

カル
いや、止めておくよ。

カル
やっぱり中途半端な気持ちで 戦おうとしちゃダメだな。

パリス
…………。

セリア
戦うのを止めるってことは 考えを変えるの?

セリア
私はカルがそう簡単に考えを 変えるようには思えないんだけど。

カル
ハハッ、さすがセリアだな。

カル
俺のことをよく理解してくれていて 嬉しいよ。

セリア
そういうことあんまり 言わない方がいいわよ。

セリア
面倒な勘違いをする人もいるから。

セリア
で、どうするの?

セリア
考えは変えないで私たちとも戦わないって 完全にワガママよね?

カル
うーん、それなんだけど まずみんなにも知ってほしいんだ。

カル
バリュオンが今、霊峰ナーガで行おうと している儀式について。

パリス
そういえばリオメルグも儀式のこと 言っていたわね。

パリス
カル、教えて。 それはどんな儀式なの?

パリス
この地の魔神たちは 何をしようとしているの?

カル
……この儀式が成功すればカルナ・マスタは 元々いた神々の世界に戻されることになる。

セリア
え、どういうこと?

パリス
ゲートを開こうというの?

カル
そうだ。

セリア
でも、それって今はティリス以外に できないんじゃなかったの?

カル
ああ、偶発的なものを除けば、元々の能力 として自由に使えるのはティリスだけだ。

カル
だが、複雑な条件を満たせば 限定的なゲートならなんとかなるらしい。

パリス
確かにゲートが開いた記録は 歴史上いくつか残っているわね……。

カル
とはいえ、強大な力を持った魔神でやっと っていう感じだから簡単じゃないけどな。

セリア
でも、カルナ・マスタを神々の世界に 戻しちゃったらそっちが大変にならない?

カル
それは正直わからない。

セリア
それじゃあ!

カル
だけど考えてみてくれ。 元々は向こうにいた神様だ。

カル
それを邪魔だからってこっちに 飛ばされたんじゃ

カル
イシュグリアの住人も いい迷惑だと思わないか?

パリス
でも、もし神々の世界に戻して カルナ・マスタが復活してしまったら

パリス
世界はより危険になるんじゃないかしら?

カル
その時こそ自由のために本当に戦う時だ。

カル
いずれにせよ、 戦場がここである必要はないだろう?

カル
ティリスが力を貸してくれれば

カル
被害を出してもいい世界を 限定的な戦場にできるだろう?

パリス
それはそうかもしれないけれど……。

カル
それにそうなれば、この地の魔神たちも きっと協力してくれる。

カル
カルナ・マスタの危険さは この地の住人が一番理解しているからな。

セリア
……カル、本当にそれで うまくいくと思ってるの?

カル
…………。

セリア
私はイシュグリアに降りてきて いろんな魔神と戦ったからわかるわ。

セリア
魔神たちはこの地からカルナ・マスタが 消えたら、協力なんてしない。

セリア
以前に協力したのは、この地が 滅ぼされる危険があったから。

セリア
神々の世界やグランガイア、エルガイアが どうなろうときっと魔神たちは動かないわ。

カル
…………。

セリア
カル、本当の気持ちを話して。 こっちに来てからのあなたは変よ。

セリア
自分の道を進むって言いながら 動きははっきりしないし、

セリア
カル、あなた本当は迷ってるんじゃない?

カル
セリア……。

セリア
あなたの本当のお父さんである 魔神に会って、

セリア
大切な物が揺らいじゃってるんじゃないの?

セリア
カル、あなたが本当に守りたいものは何? カル、あなたが本当に大切なものは何?

セリア
それを教えて。 キレイな言葉で誤魔化さないで。

カル
セリア…俺は……。

セリア
あーーーすっきりした!

カル
セリア?

セリア
やっと言いたいことを カルにはっきり言えたわ!

セリア
こっちに来てカルと再会してから ずっとモヤモヤしてたのよね。

セリア
なんか周りのペースに流されてたっていうか 一方的に話を聞かされ続けたっていうか。

セリア
いつも話がゴチャゴチャして

セリア
結局私が言いたいことがわからなく なっちゃってたんだけど

セリア
パリスのおかげでまとめることができたわ。

パリス
え、私?

セリア
そう。

セリア
パリス、色々悩んでたでしょう?

パリス
え、ええ……。

セリア
だから私も真似して色々考えてみたの。

セリア
なんでカルと会う度にうまく話を できないのかな?

セリア
私は本当は何を言いたいのかな?って。

セリア
だから、私が今、言いたいことを言えたのは パリスのおかげよ。

セリア
ありがとうね♪

パリス
セリア……。

カル
ハハッ、やっぱりセリアには かなわないな。

カル
悪かったよ。

カル
俺も偉そうなことを言ってたけど ずっと悩んでたんだ。

カル
しかも俺自身のことだから

カル
みんなに迷惑をかけちゃいけないと思って 全部自分で何とかしようとしてた。

カル
でもそうじゃないな。

カル
悩んでたんなら 相談すればよかったんだよな。

カル
俺には相談できる相手がいるんだから。

セリア
本当にカルはバカよね。

セリア
そんな当たり前のことに 気が付かないんだから。

カル
ハハッ、そうだな。

カル
Shou-chan、悪かったな。

カル
親友のお前に相談もしないまま 勝手に迷って進んじまって。

カル
だが、安心してくれ。

カル
これからはしっかりお前にも 頼らせてもらうよ。

カル
俺の悩みはまだ解決してないんだからな。

パリス
えっ、そうなの!?

セリア
そりゃそうでしょう。

セリア
カルは本当は迷ってることを 私たちに教えてくれただけなんだから。

セリア
だからパリス。 あなたも早く楽になりなさい。

セリア
私たちはいつでもどんな状況でも あなたの味方なんだから。

パリス
セリア…ありがとう……。

カル
よーし、そうと決まれば 俺も一緒に行かせてもらうぜ!

カル
霊峰ナーガにな!

カル
俺の悩みを当人たちを前に 思いっきりぶつけてやる!

セリア
うん、そっちの方がカルらしいかな。

セリア
…………。

セリア
Shou-chan、良かったじゃない。 しばらくは親友同士、戦わなくてすんで。