つまり、その塔に行って 魔神を倒す必要があるということね？

目的が明確になったのは 確かにいいことだけど、

わからないことは多いわね……。

ハアー、これだけ面倒な状況の中、 また厄介事を増やしてくれたって訳ね。

アンタもその厄介事に巻き込まれやすい体質 どこかで治してもらった方がいいわよ。

こじらせたらそのうち、ルジーナみたく 変なやられ方するようになるわよ。

岩に逆さまに挟まるShou-chan……。 あまり見たくないわね……。

ま、まあ、それはさておき、

そのアム＝ユノスとかいう魔神、 何を考えているのかしら？

このままその塔に進んでいいものか……。

アム＝ユノスの考えなど 推測するだけ無駄です。

アレはそういう存在なのですから。

モーラ！

いつもと違う顔ぶれですね。 あのうるさいお猿さんはどうしたのかしら？

シュスイに倒されたのなら世の中が少しは 静かになって嬉しいのですが……。

残念ながらルジくんは元気そのものよ。

元気過ぎてどこかに行っちゃったけどね。

フフフッ、セリア、あなたは相変わらず 面白いですね。

あらためて今度お話しする時間を作って 声をかけますね。

気長に待ってるわ。

それより、さっきの話を聞かせて。

あなたがここに来たってことは それを話すつもりだったんでしょう？

フフフッ、せっかちですね。

寿命の短い人間では仕方が無いこと なのでしょうか？

では、なるべく手短に 話すとしましょう。

禍魔刻神アム＝ユノス。

彼女はイシュグリアに存在する魔神の中でも もっとも古い魔神だと言われています。

もっとも古い魔神？ どういうこと？

話は最後まできちんと聞くと 教わらなかったのですか？

急いでる割には邪魔をする。 頭の良いフリをして行儀が悪い。

本当に残念な人間ですね……。

クッ……。

まあいいでしょう。 では、続きを話させてもらいます。

彼女は“時間”という概念の外側に 存在しているようなのです。

彼女の目的、力の根源など不明なことは 多いですが、

事実としてわかっているのは２つ。

彼女がイシュグリアで歴史が生まれる前より あの姿のまま存在し続けていたということ。

そして、強大な力を持っているということ。

つまり、あなたたちから見ても 厄介な相手ということね。

ええ、そうです。

長く生き過ぎた故に、何を考えているのかが わからない存在。

私たち普通の魔神から見ても 彼女は異質な存在なのです。

ですから、彼女が何を考えているのか 推測するなど無駄なだけ。

まずは彼女の言う通りに彼女のいる塔を 目指すのをお勧めします。

それで、あなたは私たちとアム＝ユノスを 戦わせたいのね。

当たり前じゃないですか。

でなければ、わざわざここまで 来たりしません。

そんなことを聞くなんて あなたもお猿さんレベルということかしら？

クッ……。

まあ、セリアに少し会いたい気持ちは ありましたけどね。

それは、どうもありがとう。

で、やっぱりあなたは戦わないのよね？

ええ、私は私でやることがあるので、 そこはお任せしますわ。

それでは、私はこれで失礼します。

また、近いうちお会いしましょう。

…………。

やっぱり私、あの魔神は 苦手かも……。

そうね。

一番、何を考えているのかわからないのは モーラかもしれないわね。

でも、彼女と話していると どうも憎みきれないのよね。

彼女の奥底に何か悲しさと怒りを 感じるというか……。

悲しさと怒り？ 人間に対する？

ううん、ちょっと違うかな。

人間っていうよりむしろ、このイシュグリア 全体に対するっていうか……。

ゴメン、うまく説明できないわ……。

いえ、いいわ。

私も今度会った時はもう少し しっかりと観察してみるわ。

それじゃあ、先に進みましょう。

モーラの言うことが本当なら 考えるだけ無駄ということですものね。

そうね。

Shou-chan！ 何も考えないのはアンタも得意でしょう？

ホラ、さっさと進むわよ！

Shou-chan、 複雑そうな顔をしないで。

何も考えてないのはセリアも一緒では？ というあなたの気持ちも

わからないでもないから……。