フン、どうやらカルの話は ウソではなかったようだな。

いいだろう。カルとの約束だ。 お前に少し話をしてやろう。

少しだけ昔の話をな……。

…………。

あれは俺が第十魔討隊の隊長に 選ばれてしばらく経った後のことだった。

第一から第十までの魔討隊隊長が 召喚院に呼び出されたんだ。

魔討隊隊長とはいえ、他の先輩方に 比べればひよっこの俺は緊張したよ。

当時すでに伝説になりつつあった 最初の召喚師オーンや

その親友であり懐刀とも言われていた グラデンス、

そしてその２人と肩を並べる強さを誇り ともに旅をしたウォーロン。

さらにグリフさんはじめ魔討隊隊長の面々。

どの人も俺から見れば魔神より恐ろしい 化物ばかりだった……。

これから何が始まるのかと緊張する俺に 第九のクランツさんが優しい言葉をかけると

第七のロアさんがからかい、 第六のカフカさんがそれに毒づく、

それを見て笑う他の隊長たち、

騒がしくなる面々を怒鳴りつける 第四のグリフさん……。

…………。

みんな召喚師としてだけでなく 人間としても魅力的な人ばかりだった。

…………。

そんな俺たちに、当時の召喚院幹部であり 今は召喚老と呼ばれる３人、

オーン、グラデンス、ウォーロンが イシュグリア探索の命令を下したんだ。

俺は驚いたよ。

グランガイアのその先に魔神たちの世界が あるということだけでなく、

その後に告げられた召喚院設立の真の目的 「神々からの独立」にもな。

だが、同時に興奮もしていた。

「神々の独立」のためのカギが このイシュグリアにあり

その調査を自分が行えるということに。

他のみんなもそれぞれ様々な 表情を浮かべていたが、

概ねその作戦には賛同していた。

召喚老どもの真の目的にも 気付かずにな……。

懐かしい話じゃな。

貴様…グラデンスか……。

ワシらに真の目的など無かった。 ただ、誰もが愚かだっただけじゃ。

言い訳など聞く気はない。

イシュグリアの危険性を知りながら 俺たちを捨て駒として調査に出し、

挙句、援軍すら寄越さなかった お前たち召喚老の言い訳などな。

ミーファよ、それには……。

だから聞く気はないと 言っているだろう！

例え俺たちの出発直後、

ランドール皇国とエルガイア連邦の 小競り合いがあり

それにお前たちが巻き込まれたんだとしても そんなことは関係無い！

俺以外のみんなここで死んだんだ！

もう俺以外誰もいないんだよ！

…………。

グラデンスよ、覚えておけ。 俺は必ずお前たち召喚老を殺す。

どんな手段を使ってでもな。

…………。

ミーファよ、この前は言えんかったが 今は言わせてくれ。

ワシはお前が生きていてくれたことを 本当に嬉しく思っている。

生き延びてくれていて ありがとう。

…………。 だから俺はお前を殺したくなるんだよ……。

…………。

Shou-chanよ。

ワシらの過去の因縁に お主たちを巻き込んでしまいスマンの。

だが、これだけは信じてくれ。

ワシだけではなくオーンもウォーロンも

召喚院で戦う召喚師たちには誰１人として 死んでほしくないと思っておるのじゃよ。

お主たちにこんな危険な任務を依頼しながら 信じてもらえぬかもしれんがな。

…………。

さて、Shou-chanよ。 それでは行くとするか。

どこにじゃと？

フォッフォッフォッ、 お主は相変わらずじゃな。

もちろんこの地の魔神がいる 気象管理塔じゃよ。

他の者たちも それぞれ向かっているはずじゃ。

では、急ぐとするか。

少なくともオーンより先に着かんと 色々とうるさそうじゃからな

…………。

しかし、気になるのはミーファの言葉。 なぜあの者が出発後のことを……。