セリア
これが奉神霊山バリ……。

セリア
やっぱりこれを 登らないとダメなのよね?

アーク
ここ奉神霊山バリは、 バリウラ帝国建国以前より

アーク
神を奉じる霊山として 人が集っていた。

アーク
バリウラという地名も 「バリ」を「守る者」という意味だそうだ。

ルジーナ
アークさんよ。

ルジーナ
俺が聞きたいのは そんな話じゃねーんだよ。

ルジーナ
どうせ長話が続くんだ。

ルジーナ
いらない情報は省いてくれないか?

ルジーナ
まずは、さっきの続きだ。

ルジーナ
キラキラ光るヤツに邪魔されたが あんたは恋人をどうするつもりなんだ?

ルジーナ
まさか諦めたとか言うつもりじゃ ねーだろーな?

アーク
俺は彼女のために 数百年生き恥を晒してきたんだ。

アーク
今さら諦められるはずがない。

アーク
彼女のことを話す前に

アーク
まずはルシアスが持つ 特殊な力について説明しておく。

ルジーナ
やっぱり長くなるのか……。

セリア
少しは黙って聞けないの?

ルジーナ
うるせーな。

ルジーナ
俺は説教と長話は嫌いなんだよ!

カル
2人とも静かに聞けって……。

カル
アークさん、すまないな。 続けてくれ。

アーク
ルシアスはゲートを操る力を持っている。

アーク
それは、異界だけでなく 様々な世界を繋ぎ閉じる力だ。

アーク
その力でヤツは カルナ・マスタを封印し、

アーク
エルガイアへ人々を逃した。

アーク
そして、己を脅かす存在 四堕神を倒すために

アーク
再び人をこの地へと導いた。

セリア
で、その力であなたの恋人も 封印されちゃってるんでしょ?

アーク
そうだ。

アーク
そして、問題だったのは

アーク
この力がルシアスのみが持つ 異質な力だったということだ。

ティリス
えっ!?

アーク
ルシアスを倒せばすべてのゲートは閉じる。

アーク
彼女は二度と戻ってこれない。

アーク
俺はそう考えていた。

パリス
つまり、エルガイアとグランガイアを繋ぐ ゲートも閉じてしまうということね。

ティリス
あ、あの~。

アーク
それだけではない。

アーク
カルナ・マスタがルシアスを 副神としていたのは、

アーク
その力を使い様々な災厄を封じていた からでもある。

セリア
その災厄たちの封印も 解けちゃうってことね……。

ティリス
ちょ、ちょっといいですか~?

セリア
でも、それだとやっぱり

セリア
ルシアス様を倒すわけには いかないじゃない!

ティリス
ね~、みんな聞いて~~!

セリア
もう! どうしたのよティリス!

ティリス
私も少しだけど ゲートを操れるんだけど……。

セリア
バカ言ってんじゃないわよ!

セリア
ルシアス様しか使えない力を なんでアンタが使えるのよ!

ティリス
ウソじゃないよ~!

ティリス
傷ついたセリアを エルガイアに運んだりしたじゃない!

セリア
あれってルシアス様のゲートを 使ったんじゃないの?

ティリス
違うよ~。

ティリス
それじゃあ時間がかかっちゃうもん。

カル
なるほど。 そういうことか。

ルジーナ
ケッ、都合が良すぎるぜ。

セリア
何よ! どういうことよ。

カル
アークさんがルシアス様と 戦う決心をしたのは

カル
女神さんの存在があったからこそ ってことだよ。

セリア
え?

アーク
そうだ。

アーク
ティリス、君の存在こそ、 俺の…いや、人間すべての希望だ。

ティリス
え~~! 急にそんなこと言われても!

アーク
神がどのように生まれるのかは 俺は知らない。

アーク
だが、神徒と呼ばれる存在は 自然発生的に誕生し

アーク
その能力も各自異なって 生まれてくる。

アーク
そんな中、ルシアスと 同じ能力を持つ者が誕生した。

アーク
それがティリス、君だ。

ティリス
う~~。

アーク
その力を知ったルシアスは ティリスを手元に置き

アーク
自身に仕えさせることを選んだ。

アーク
より世界の秩序を安定させるためにな。

パリス
世界の秩序を安定させる?

アーク
俺の話のせいで誤解させたかもしれないが ルシアスは決して悪神ではない。

アーク
ヤツの行動はすべて 世界を安定させるために行われたものだ。

アーク
カルナ・マスタの封印も 四堕神の討伐も。

アーク
ただ、その手段と結果が、人間にとって 厳しいものになるというだけだ。

アーク
本当は、正しいのはルシアスなのかも しれない。

ルジーナ
ケッ、確かに世界からみたら 人間こそ一番邪魔な存在かもしれねーな。

アーク
ルシアスはティリスを自身の神徒とし、

アーク
ゲートの管理をより強固なものに しようとしていた。

ティリス
…………。

カル
つまり、あんたは、 ルシアス様を倒した後、

カル
女神さんにゲートを 管理してもらうつもりってことか。

アーク
ああ、その通りだ。

ルジーナ
そんでアンタは、ゲートの向こうにいる 彼女を救いにいくってわけか?

アーク
……ああ。

ルジーナ
チッ、色々と気にいらねーが 話は全部通った。

ルジーナ
お前の話、信じてやるよ。

カル
そうだな。

カル
これで俺たちがこの先どうするかも 少しはっきりしてきたな。

ルジーナ
より面倒な方にだがな。

カル
アークさん、アンタは予想できてるんだろ?

カル
この後、ルシアス様は、

カル
絶対にエルガイアとグランガイアを 繋ぐゲートを閉じるって。

アーク
そうだ。

アーク
今までのヤツの行動から考えれば

アーク
この地にこれ以上、人間が来るのは 混乱を招く原因でしかないからな。

カル
召喚師がこれ以上増えても 困るだろうしな。

アーク
その後、神を倒す力を手に入れた 危険な人間たちに対し

アーク
何かしらの行動を起こすだろう。

パリス
…………。

カル
やっぱり戦うしか無いってことか。

カル
女神さん!

カル
申し訳ないが、俺たちは恐らく ルシアス様と戦うことになる。

カル
一応、考え直してもらうよう お願いはしてみるが

カル
結果は変わらないだろうな……。

ティリス
私は……。

ティリス
私はやっぱりみんなを! 人を守りたい!

ティリス
確かにイヤな子もたくさんいるけど

ティリス
それ以上にステキな人も いっぱいいるんだもん!

ティリス
ね、Shou-chan♪

ティリス
だから、私もみんなと一緒に進む。

ティリス
最後までルシアス様を 説得し続けちゃうんだから!

カル
ハハハッ、女神さんらしいな。

カル
よし、それじゃあShou-chan。

カル
この山を越えれば いよいよグランガイア封穴だ。

カル
ルシアス様に会う前に 魔獣なんかにやられるなよ!

セリア
……やっぱりこの山は登るのよね。

セリア
私は魔獣より そっちの方がイヤだわ……