???
グ……グゴゴォ………!!

ルジーナ
ハァ、ハァ……… どうやら倒せたようだな………。

ティリス
うん、気配も完全に消えたよ。

ルジーナ
クッ……召喚の力の乱れもなくなったか…… やはりコイツが元凶だったようだな。

ティリス
この魔神……一体何だったんだろう……?

ティリス
私たちグランガイアの神々とも、 イシュグリアの魔神とも違う……

ティリス
何かまったく違うもののような……。

ベルツ
……………。

ベルツ
魔神を……。 ついに奴を倒したのか……。

ベルツ
俺の…… 俺たちの故郷を滅ぼしたアイツを……。

ルジーナ
ああ……。

ルジーナ
……ま、大したことはなかったがな。

ルジーナ
前に見たのはガキの時分だったから

ルジーナ
テメーは、奴を実際より強い存在と 思い込んでいたのかもしれねーな。

ルジーナ
もちろん今の俺様が、 強すぎるってのもあるだろうが。

ベルツ
お前……。

ルジーナ
……………。

ベルツ
いや、なんでもない……。

ベルツ
そうか……。 もう魔神は……いないんだな……。

ルジーナ
…………。

ルジーナ
おい、Shou-chan、ティリス。 あのジジイから預かったものがあるんだろ?

ルジーナ
それをこいつに渡してやれ。

ティリス
あっ、そうだ! グラ爺が渡してって言ってた手紙!

ベルツ
手紙……?

ルジーナ
今のこいつになら、 渡す意味があるだろうからな。

ベルツ
………?

ベルツ
…………。 これは………。

ティリス
ねぇ、Shou-chan、 結局あの手紙って何が書いてあるのかな?

ベルツ
ふっ……。 そういうことか………。

ベルツ
召喚老も随分なお人好しだな……。 こうなることを見越していたというわけか…

ティリス
………?

ベルツ
Shou-chan、女神ティリス、 ここに書かれていることに俺も賛同すると

ベルツ
グラデンス召喚老とオーン召喚老に 伝えてください。

ベルツ
そして、予定されている会議にも、 必ず参加すると。

ティリス
え……?

ティリス
う、うん。 そう伝えればいいんだね!

ベルツ
ええ、よろしくお願いします。

ベルツ
あと、メルについては、 こちらで連れて帰ります。

メル
…………。

ティリス
それって……。

ベルツ
安心してください。連邦の高官などに 引き渡すような真似は、決してしません。

ベルツ
高官たちを完全に騙し通せる虚偽の報告を 作り上げ、彼女は安全な場所に保護します。

ベルツ
俺にも、 それぐらいの器量はありますからね……。

ティリス
そう……よかったね、メル!

メル
でも……私は……。

ベルツ
言ったはずだ。 お前の未来は俺が作ってやると。

ベルツ
お前の身体は確かに特殊かもしれないが、 研究を重ねて、技術を集めれば……。

メル
違う……!

ティリス
え?

メル
私には……分からない……。

メル
ラナス様のいない世界を…… どうやって生きていけばいいのか……。

ティリス
メル………。

ベルツ
…………。

ベルツ
お前がどう生きればいいのか…… それは俺には教えられない。

ベルツ
なにせ俺自身もついさっきまで、自分の 生き方が分からなかったぐらいだからな……

メル
…………。

ベルツ
だから……お前自身が考えてほしい。

メル
考える……私が……?

ベルツ
ああ、そうだ。

ベルツ
俺はお前の手助けを してあげることはできるが、

ベルツ
この先、お前のこれからの時間を どう生きるか、決めることはできない。

ベルツ
それは、お前自身にしか決められないことだ

メル
私の……これからの時間……。

ベルツ
もしお前が考えた末に、 ラナスの理想を継ぎたいと思うのならば、

ベルツ
ギャレットのように 歪められた形でなければ、それもかまわない

ベルツ
もちろん、他の何か違う道でもいい……。

メル
ラナス様の理想……。 他の……違う道……。

メル
…………。

メル
勝手な言い分……。

ベルツ
え……?

メル
……私の未来を作ると言っておきながら、 後は自分で考えろと言う……。

ベルツ
そう……だな……。 その通りかもしれないな……。

ティリス
メル………。

メル
でも……分かった……。

メル
初めてで…… うまくできないかもしれないけど……。

メル
それでも、考えてみる…… 自分自身のことを……。

ベルツ
そうか……。

ルジーナ
フン………。

ルジーナ
しかし、これでテメーは 外交官に復帰するだけじゃなく

ルジーナ
新設される組織の長官様かよ。

ルジーナ
俺様ほどじゃねーが、 大層なご身分に一気に昇格だな。

ベルツ
ハハハ……。 そんなものには全く興味はなかったが、

ベルツ
俺や彼女……メルの未来にとっては、 必要なものだからな。

ベルツ
ありがたく頂戴するさ。

ベルツ
……………。

ベルツ
ルジーナ、その件について、 お前に頼みがあるんだが……。

ルジーナ
何だ? ご祝儀をくれとでも言うのか?

ベルツ
ご祝儀か…… まあ、そんなものかもしれないな。

ルジーナ
………?

ベルツ
俺が長官になるであろう組織は、

ベルツ
アベル機関同様に、異界とそこで収集された 物品の調査が、活動の主になるだろう。

ベルツ
だが、新設されたばかりの組織だ。

ベルツ
メルの身体の研究を早急に行うため、

ベルツ
できれば、お前の組織と異界技術研究の 提携をしてもらえると……助かる。

ルジーナ
技術提携か……。 だが、こっちに何の得があるんだ?

ベルツ
そうだな……アベル機関が残した 異界技術の研究資料…なんてのはどうだい?

ルジーナ
ほう……大きく出たじゃねーか。

ベルツ
ラナスたちがメルの身体の問題について 何ら対策を施さなかったことから考えて、

ベルツ
おそらく、そこには探し求めるものはない。 今の俺には、無用の長物さ。

メル
…………。

ルジーナ
フン、だがアベル機関の情報は、 おそらく連邦の機密中の機密。

ルジーナ
テメーが新組織の長官になると言っても、 その資料の管理には厳重な監視がつくはずだ

ルジーナ
それらを国外に持ち出すことなんて、 至難の業だろう。できるのかよ?

ベルツ
俺を誰だと思ってるんだい、ルジーナ。 必ずやってみせるさ。

ルジーナ
ケッ……自信たっぷりに言い切るとはな。 どうやら本気のようだな。

ベルツ
ああ、もう過去に立ち止まってる暇はない。 お前が教えてくれたことさ。

ルジーナ
いいだろう。 テメーの申し出、受けてやるぜ。

ティリス
フフッ、Shou-chan、 これで一件落着だね。

ティリス
これでグラ爺からの依頼も…… って、そういえば

ティリス
ウォーロンという人の意見は 完全に無視しちゃったけど、

ティリス
グラ爺、大丈夫なのかな……?

数週間後……。


ウォーロン
グラデンスよ……。 まさか、私からの命令を伝えるフリをして、

ウォーロン
Shou-chanに、 正反対の任務を与えていたとはな。

グラデンス
…………。

ウォーロン
しかもオーン、お前はその任務に際して

ウォーロン
厳重に管理していた聖剣エクスデウスを、 Shou-chanに与えたそうだな。

オーン
フン………。

ウォーロン
2人とも、なぜそんなことをしたのだ?

オーン
なぜ……だと?

オーン
貴様がエルガイアの未来を思い、長年の間 連邦とのつなぎ役を務めて来たのならば、

オーン
俺たちもエルガイアに暮らす人々のために 長年戦って来た。

オーン
貴様と同じように俺たちもエルガイアのため 動いたまでのことだ。文句などは言わせん!

ウォーロン
ムッ……。

グラデンス
まあ、そういうことじゃ。 騙すような形になったのは許せ。

グラデンス
だが、お主もこの結果に不満はないはずじゃ 違うか……?

ウォーロン
…………。 お前たちには、やはりかなわんな。

カル
グラデンスの爺さん、 みんな揃ったぜ。

グラデンス
フォッ、そうか。

グラデンス
皆、今日はよく集まってくれた。

グラデンス
ワシがお主らをここに呼んだ理由は 分かっておるな?

カル
あぁ、もちろんだ。

カル
エルガイアのこれからについて 話し合うためだろ。

カル
皇国、連邦、召喚院、それぞれの組織で 各々がいずれ主導権を握った時、

カル
エルガイアを守るため、お互いが協力し合う 体制を作る……ってことだったな。

カル
俺に異論はないぜ。

セリア
私も賛成よ。

ルジーナ
問題ねーよ。

ルジーナ
まあ、召喚院に関しては、いずれと言わず 今すぐ俺に全権を譲ってもいいんだぜ。

セリア
はいはい、アンタは勝手に言ってなさい。

パリス
私はいまだにランドール皇国を変えるという 目的を果たしていません。

パリス
なので、グラデンス様たちが望まれている 立場に、いつなれるか分かりません……。

パリス
ですが、もしその立場になった時は、 必ず協力させて頂きます。

ベルツ
俺も連邦を導くような立場となった時は、 協力は惜しみませんよ。

ベルツ
セントクリークのような場所を 2度と作らないためにも、

ベルツ
これからのエルガイアには 結束が不可欠ですからね。

セリア
……まさか、アンタがそんなに 協力的になるとは思わなかったけど……。

ベルツ
俺にもいろいろあったんですよ。

ベルツ
でも、セリアさんに 喜んでいただけるなら光栄です。

セリア
…………。

グラデンス
フォッフォッフォッ。 よいよい。

グラデンス
連邦、皇国、召喚院の枠組みを超え お互いが協力し合えるその時がくるまで

グラデンス
それぞれの組織での お主らの活躍を祈っておるぞ。

カル
もっとも、 パリスさんやベルツさんはともかく

カル
俺たちの場合、グラデンスの爺さんたちが まだまだ健在……というか元気すぎるから、

カル
俺たちが召喚院を導く立場になる…… ってのは、まだちょっと想像できないけどな

セリア
まったくね……。

グラデンス
何を言うとる。 ワシやオーンだってもう歳じゃ。

グラデンス
いつポックリいくか、分からんのだぞ!!

カル
…………。

セリア
…………。

オーン
ポックリいくのは、貴様だけだ……。

グラデンス
フォッ!

パリス
…………!

パリス
みんな、そろそろ……。

セリア
え……!もうそんな時間!?

グラデンス
…………。

グラデンス
Shou-chanとティリスちゃんが 出発する時間か……。

カル
ああ、しばらく2人でいろんな世界を 見て回りたいって言ってたからな。

グラデンス
本当ならあの者たちにも、この会議に 参加してほしかったんじゃがのう……。

パリス
…………。

カル
………アイツにはアイツの道がある。

カル
Shou-chanが、エルガイアだけに 収まるような器じゃないことは、

カル
爺さんだって分かっているだろ。

グラデンス
そうじゃな……。

カル
最後は、 みんなで笑って送り出してやろうぜ!

ティリス
Shou-chan。やっと……

ティリス
やっと…………

ティリス
やっと、Shou-chanと一緒に 色んな世界に行けるね!!

ティリス
今度こそ戦いは無しで、ゆっくり Shou-chanと旅をしたいな。

ティリス
もちろん、また海にも行こうね!

ティリス
前の時は連絡が入って ゆっくりできなかったしね……。

ティリス
ちゃんと新しい水着も買ったんだから、 乞うご期待だよ♪

ティリス
……あ、カルくんたちが来たよ!

カル
よっ、Shou-chan、ティリス。 見送りに来たぜ。

セリア
よかった、間に合ったわね。

ルジーナ
ケッ、なんでこの俺がこいつらの 見送りなんかに……。

パリス
あら、別に無理して来なくてもよかったのよ なんなら今すぐ帰ったらどうかしら。

ルジーナ
テメェ……。

ベルツ
ルジーナ、お前…… こっちでは、いつもこういう扱いなのか?

ルジーナ
うるせぇよ!!

セリア
それにしてもティリス、 よくこんな場所見つけたわね。

ティリス
うん。たまたまね。 しばらく帰って来ないかもしれないから、

ティリス
旅立つのは、街を一望できる この場所からって決めてたんだ。

カル
Shou-chan……本当に行くんだな。

カル
もちろん止めはしないぜ……。 お前にはお前の道があるだろうしな。

カル
……また、いつでも帰ってこいよ。 俺たちのエルガイアに。

セリア
旅の話くらいなら、 いくらでも聞いてあげるわよ。

セリア
……行ってらっしゃい。元気でね。

ティリス
セリア………。

セリア
ちょ、ちょっとティリス!

セリア
人がせっかく 笑顔で送り出そうとしてるのに……!

ティリス
うん……。 セリア……また……また会おうね……!

セリア
ティリス……。

セリア
当たり前じゃない!私たちはどこにいたって ずっと友達なんだから!

ティリス
うん……。

ティリス
ありがとう、セリア……!

ルジーナ
おい、Shou-chan!

ルジーナ
テメーが帰ってきた時に俺様がどれだけ 偉くなってるか、楽しみにしてろよ。

ルジーナ
まあ、その時はテメーもそれなりに 腕を上げてるんだろうから、

ルジーナ
特別に俺の副官にしてやってもいいぜ。

セリア
アンタって、ホント変わらないわね。 ある意味、感心するわ……。

パリス
Shou-chan。 私、少しは成長できたかしら?

パリス
今より成長した姿を見せたいって、 約束したものね。

パリス
あなたはもっと先に行っちゃったのかも しれないけど……。

パリス
帰ってきたら、すぐに連絡ちょうだい。 あなたの話、私も聞きたいから。

ベルツ
Shou-chan召喚師。あなたには、 色々とお礼を言わなければなりませんね。

ベルツ
私が今ここにいるのは、 あなたたちのおかげです……感謝してますよ

ティリス
そういえば……メルはどうなったの?

ベルツ
彼女なら、今は俺とルジーナしか知らない 研究室にいます。

ベルツ
彼女の身体には不明な点も多いですが…… ラクシュルトに残された施設を調べれば、

ベルツ
彼女の寿命を伸ばす手がかりを見つけるのは そう難しくないと思います。

ティリス
メル……よかったぁ……!

???
せんぱ~~~い! ティリスさ~~~~~ん!!

ティリス
リム!!

リム
ハァ、ハァ、なんとか間に合いました……。

リム
先輩たちが旅に出ると聞いて、 お見送りに来たんです!

リム
先輩、何か困ったことがあったら、 いつでも頼ってくださいね♪

リム
私はいつでも、先輩の味方ですから!

セラ
Shou-chanさん。

セラ
しばらく会えなくなるとのことですが、 私たちのこと、忘れないでくださいね。

ノエル
やぁ、Shou-chan。

ノエル
旅に出るなら、僕の研究材料に なりそうなものをたくさん見つけてきてよ。

ノエル
帰ってきたら、君にはたっぷり 研究に付き合ってもらうからね。

レダ
Shou-chan。 一応私も挨拶はしておこうと思って。

レダ
こういう言い方は変かもしれないけど、

レダ
あなたたちと一緒に封神儀を 元に戻して回った異界の旅、楽しかったわ。

レダ
面白そうな場所を見つけたら、 今度は私も連れて行ってね。

リム
わっ、私も連れて行ってください!

セラ
では、私も……。

???
フォッフォッフォッ。 相変わらずの人気ぶりじゃのう。

???
羨ましい限りじゃわい。

ティリス
グラ爺! ……それに、オーンちゃんも!

オーン
グラデンス。俺が行く必要などないと 言っただろう。

グラデンス
まったく……旅立つ者へ声の一つも 掛けてやれんのか、お主は。

グラデンス
あの後すぐにどこかへ消えおって。

パリス
(グラデンス様……途中から姿が見えないと 思ったら、オーン様を連れてきたのね。)

オーン
フン……。Shou-chanよ。 貴様に言うことなど何もない。

オーン
せいぜい鍛錬を怠らぬことだな。

グラデンス
行ってしまったか…… ま、これくらいで勘弁してやるかの。

グラデンス
Shou-chan、ティリスちゃん。

グラデンス
お主らが旅立ってしまうのは寂しいが…… 様々な世界を巡り、知見を広め、

グラデンス
また一段と成長して帰ってくることを、 何よりも楽しみにしておるぞ。

グラデンス
それまで、しばしの別れじゃ。

ティリス
うん!グラ爺、帰ってきたらまた会おうね!

ティリス
みんなも! 絶対、絶対、また会いに行くからね!!

カル
ああ。 それぞれが違う道を進んだとしても、

カル
冒険を続けていれば、 いつかは同じフロンティアで会えるさ。

ティリス
うん!

ティリス
じゃあ行こう、Shou-chan。