魔動鎧
……………。

セリア
やっぱり、いるわね……。

ティリス
私たちを追ってきたのかな……?

セリア
分からないわ……。

セリア
でも、どちらにしろ、 邪魔な存在なのは変わらないけどね……。

ティリス
で、どうする……?

セリア
うーん……いつもなら……

セリア
正面突破……!!

セリア
……って言うところだけど、

セリア
先程の戦いから考えると、 それも難しそうなのよね……。

ティリス
……こんな時ルジくんなら、 作戦とか考えてくれたんだろうけど……。

セリア
………色々と悪知恵が働く奴だからね。

セリア
ま、アイツのことはともかく、 戦うにしても数が足りないことは確かね。

セリア
グラデンス様が一緒にいて下さっていたら、 だいぶ違ったんでしょうけど……。

???
……………!

ティリス
……ん? セリア、何か言った?

セリア
え……? 別に何も言ってないわよ。

ティリス
う~ん……空耳……?

???
Shou-chan、ティリス! こっちに来なさい!!

ティリス
…………!!

ティリス
今の、 Shou-chanも聞こえたよね?

ティリス
あの声は……。

セリア
どうしたのよ、ティリス?

ティリス
セリア、ちょっと一緒に来て!

セリア
え……? な、何!?

レダ
…………。

ティリス
やっぱり、レダだ!

レダ
相変わらずのようね。 Shou-chan、ティリス。

ティリス
うん、私もShou-chanも、 相変わらずだよ!

セリア
そこは…… その返しでいいのかしら……?

セリア
えっと…… 私とは、はじめまして、でいいのよね。

レダ
ええ。

レダ
第十九魔神討伐隊ブラッディローズの 隊長セリアね?

セリア
さすが、グラデンス様の下で働いている だけあって、私のことも知ってるってわけね

セリア
私もあなたのことは知っているわ。

セリア
確か……レダ……よね? “朱なる疾風”とか、言ったかしら……?

レダ
その呼び名は……やめて。 恥ずかしいから……。

レダ
レダ……でお願い。

セリア
わ、分かったわ……。

ティリス
グラ爺から、レダもこの世界に来ているって 聞いていたんだけど、やっぱり会えたね!

セリア
あなたも、あの魔動人形に手こずってるの?

レダ
ええ……まあね。

レダ
………。 私だけじゃないんだけどね。

???
呼びかけてから、 ここまで5分32秒ですか……。

???
やはり召喚院の人間は 状況把握能力が劣っていますね。

メル
……………。

ティリス
あなたたちは、確か………!!

ティリス
えーと、アベル機関……でいいんだっけ?

レダ
ええ……。

セリア
アベル機関……!!

セリア
って、私たち召喚院と敵対している 組織の名前じゃない!!

セリア
こいつらがそうだっていうの!?

レダ
……………。

ギャレット
その通り……。 我々はアベル機関……。

ギャレット
あなた方、 アクラス召喚院と敵対する存在です。

ギャレット
ですが、安心してください。 今はあなた方と事を構える気はありません。

ティリス
どういうこと……?

ギャレット
我々もあの石塊の木偶人形には、 迷惑しているということですよ。

メル
……………。

レダ
私は…… いえ、私たちはあなたたちを待っていたの。

レダ
正確に言えば、あの魔動人形を 迅速に撃破できるだけの人員が揃うのをね。

レダ
あなたたちもあの魔動人形と戦ったのなら、 その強さも分かってるはずよね?

セリア
ええ、まあね……。

セリア
言いたくはないけど、 かなり苦戦しちゃったからね……。

レダ
なら、もし私1人が加勢するとしたら、 どうかしら?

ティリス
うーん……。 まだやっぱりちょっと厳しい……かな。

セリア
勝てないとまでは言わないけど、

セリア
相当骨が折れる戦いになるのは 変わらないわね……。

セリア
魔動人形のあの破壊力を考えると、 こっちの損害を抑えながら

セリア
少しずつ相手の力を削ぎ落とすような 消耗戦、長期戦……になっちゃうかも。

レダ
そうね……。

レダ
ここにいる召喚院側の人間だけで、

レダ
あの魔動人形を早期に撃破するのは、 残念ながら難しいわ……。

セリア
……………。

レダ
でもそれは、 アベル機関の……あの2人も同じこと。

ギャレット
…………。 不本意ながら、同意せざるを得ませんな。

セリア
なるほどね……大体読めてきたわ。

セリア
とりあえず一時休戦、共闘して、 まずはあの魔動人形を倒そうってことね?

レダ
ええ、そういうこと。

ギャレット
我々は先を行かれる主ラナス様の元へ 一刻も早く追いつかなければなりません。

ギャレット
対するあなた方も、封神儀探索でこれ以上 我々に先行されるのは、困るのでは……?

セリア
当然ね……。

ティリス
って、今、あの人たちの主が 先行しているって……。

レダ
………残念ながら、本当のことよ。

レダ
だから私たちも…… そして彼らも時間が惜しい……。

メル
…………。

ギャレット
クックックックッ……。

ギャレット
鈍いあなた方でも、 お分かりになったでしょう。

ギャレット
我々は確かに敵対する存在同士ですが、

ギャレット
この場では 共闘しなければいけないということを。

ティリス
……………。

ティリス
なんか、この人………。

セリア
うん、普通にムカつくわね……。

レダ
2人とも気持ちは分かるけど、 今は我慢して……。

セリア
ま、いいわ。 共闘の件は了解よ。

ティリス
うん。 今は早く先に進まないとね。

セリア
Shou-chanも文句はないわね?

セリア
問題ないみたいね。 ま、選択の余地なんて無いみたいだけどね。

セリア
そうと決まったら、共闘でもなんでもして、 さっさとあの魔動人形を倒しましょ!

ティリス
作戦とか考えてあるの?

レダ
ええ。 それぞれ2人ずつ3組に分かれて

レダ
あの魔動人形を 包囲するように近づきましょう。

ティリス
それで、一斉に襲いかかるんだね?

レダ
そのとおりよ。

ギャレット
我々も異存はありません。

ギャレット
あのような土塊には、その程度の 稚拙な作戦の方が効果的でしょう。

メル
私も……了解した……。

セリア
で、組分けはどうするの?

レダ
……私は、そこの片眼鏡の男と組むわ。

ギャレット
ほう……意外ですな。

レダ
あなた方2人を 一緒に行動させるつもりはないわ。

レダ
意味は……分かるわね?

ギャレット
…………いいでしょう。

ギャレット
その代わり、 私の連れ……メルが組む相手は

ギャレット
Shou-chan召喚師にして 頂きましょうか。

ギャレット
封神ルシアスと大神皇カルナ・マスタを 倒したという召喚師の実力……

ギャレット
あらためて探るには、いい機会です。

メル
……………。

レダ
分かったわ……。

セリア
ってことは、必然的に残りは、 私とティリスってことね。

ティリス
うーん、Shou-chanと一緒の方が 本当は良かったんだけど……。

レダ
……ここは我慢して。

ティリス
うん、分かってるよ。

セリア
それじゃあ、早速行動を開始しましょ! ティリス、行くわよ。

ティリス
あ、待ってよ!

ティリス
じゃあShou-chan、また後でね!

ギャレット
我々には及ばないにしろ、 それなりの奮戦を期待したいところですな。

レダ
……………。

メル
………………。 行動を……開始する………。