シリウス
グロリアシュタール!!

魔獣
グオアゴアオオオオーー!!

シリウス
グハッ……。

シリウス
クッ…… やはり今の状態では力が……。

シリウス
だが、ミューゼを逃がすことはできた……。 それで十分だ……。

シリウス
ここで倒れても…… 悔いは……ない……。

ミューゼ
シリウスお兄様……!!

シリウス
………!!

シリウス
ミューゼ、なぜまだここに!? 逃げていなかったのか!?

ミューゼ
私が治療したんだもの……

ミューゼ
お兄様の傷が癒えていないことくらい、 私にもわかるわ……。

ミューゼ
それに、さっきのお兄様の目…… どこか悲しげだった……。

ミューゼ
1人で逃げることなんてできないよ!

シリウス
クッ……! 私のことなど、どうだっていいんだ!!

シリウス
今からでも、早く逃げろ!!

ミューゼ
…………。

ミューゼ
………ねぇ、シリウスお兄様。 お願いがあるの。

シリウス
な、何を……?

ミューゼ
市民たちを守って……。

ミューゼ
私たち兄妹の心を1つにしてくれた 市民が1人でも生き残ってくれさえすれば、

ミューゼ
きっとバリウラは残るわ……。

ミューゼ
そう…… 私が好きだったバリウラは……。

ミューゼ
それが、シリウスお兄様に対する 最後のお願い……。

シリウス
ミューゼ……?

ミューゼ
シダさんが説明してくれた通り…… 上手くできるか……わからないけど……

ミューゼ
この呪文の効果が本当であれば……。

シリウス
お前……一体……?

ミューゼ
私の中の魔力と生命力を限界まで増幅させて 浄化の力を発動させるの……。

シリウス
バ、バカな!! そんなことをしたらお前は……!!

ミューゼ
……お兄様。

ミューゼ
私は身体が弱く、魔法もそれほど得意という わけじゃなかった……。

ミューゼ
バリウラ皇族の中で、なんで私みたいなのが 生まれてきたんだろう?

ミューゼ
そう思ったこともあったわ……。

ミューゼ
でも、やっと分かったの。

ミューゼ
きっと今この時、お兄様を救うために 私は生まれてきたんだって……。

シリウス
そ、そんな……。

ミューゼ
悲しまないで……。

ミューゼ
私、今とっても嬉しいのよ。

ミューゼ
これで私も市民を救うため、お兄様たちと 一緒に戦うことができるんだから……。

ミューゼ
さようなら……シリウスお兄様……。

シリウス
や…………

シリウス
やめろーーーーーー!!

魔獣
ガガグガガアアアァァ……。

シリウス
……そん…な………。

ミューゼ
シリウス……お兄……さ……。

シリウス
ミュー……ゼ……?

ミューゼ
よか……っ…………。

シリウス
ミューゼ!! しっかりしろ、ミューゼ!!

シリウス
そんな………!!

シリウス
…………。

シリウス
うわあああああああああ!!!