シリウス
心なしか兵士たちの動きが、 鈍くなったような……。
メリナ
帝都内に流れている噂の方が、 兄様にとって重要だと思うんだけど……。
メリナ
そう……噂が流れているの。 “皇帝が王城から姿を消した”ってね。
メリナ
王城の兵士たちが探しているみたいだけど、 見つかっていないそうよ……。
シリウス
父上が……。 そんな……まさかすでに……。
シリウス
クソッ……早すぎる! 説得する時間も残されていないのか!?
シリウス
とにかく一度王城に戻らねばなるまい! メリナ、ともに来てくれ!!
メリナ
シリウス兄様には 色々良くしてもらったこともあるから、
メリナ
私はこれから…… クロム叔父様のもとへ向かうわ。
メリナ
そして、そこで何があろうとも、 もうここには帰ってこないつもり。
メリナ
……この国はクロム叔父様以外、 私に何もしてくれなかった。
メリナ
だから、私はこの国のために戦わない。 後は思うように生きるわ。
メリナ
それに……セルヴィア姉様のために “アレ”を見つけたことで、
メリナ
私を育ててくれたバリウラへの義理は、 一応は果たしたつもりだしね。
シリウス
君が父上から……いや、この国からどういう 扱いをされていたのか、私は知っていた……
シリウス
知っていて止めることができなかった……。
メリナ
この場にいない エルザ姉様やアリスもそうだけど、
メリナ
私たち兄妹は、立場こそ違うけど みんな似たようなものだったと思うしね。
メリナ
ミューゼ姉様が王城付近で 市民を助け回っているみたい……。
メリナ
ミューゼ姉様の普段の性格からすると、 考えにくいことなんだけどね……。
シリウス
ミューゼ……。 あれほど言っておいたのに……。
シリウス
一刻も早く王城に向かい、 この目で真実を確認するしかあるまい……。