ディアナ
ここが、魔神ラグルヴォードが いるとされる場所ね……。

クェイド
ああ……。

クェイド
…………。

イヴリス
……ファダルさんたちのことが、 気になってるんですか?

クェイド
……少しね。

ディアナ
……クェイド、 私もあなたと同じ気持ちよ。

ディアナ
でも、今ここで私たちができることは、 何もないわ。

ディアナ
ラグルヴォードを倒す以外はね。

クェイド
そうだな……。

クェイド
ディアナ、ありがとう。

クェイド
きっとファダルたちも、俺たちが ラグルヴォードを倒すことを信じて、

クェイド
グランガイアに向かってるはずだ。

クェイド
俺たちが立ち止まってるわけには いかないな!

グォォォオオォオーーー!!

ディアナ
これは……。

イヴリス
ウゥッ……気持ち悪い……。

クェイド
どうやら、 向こうからやって来てくれるみたいだな。

クェイド
2人とも大丈夫か?

ディアナ
ええ、少し驚いたけれど この程度で怯んでられないわ!

イヴリス
はい……。 気持ち悪いですけどガマンします……。

クェイド
ハハハッ、そうか。 2人ともさすがだな。

クェイド
だけど今ので気が付いただろう? こいつの強さがケタ違いだってことに。

ディアナ
もちろんよ。 でも、逃げるつもりはないんでしょう?

ディアナ
ここで私たちが逃げたら グランガイアに危機がおよぶ。

ディアナ
あなたはそれを許すとは思えないわ。

クェイド
ああ、 俺は必ずラグルヴォードを倒す。

クェイド
…………。

クェイド
だから2人はここから逃げてくれ。

ディアナ
なっ!?

クェイド
別働隊の動きも見られない。

クェイド
全滅ってことは無いだろうけど すぐに来ることもない。

クェイド
もちろん、ファダルたちも……。

クェイド
だから、せめて2人だけでも……。

ディアナ
バカじゃないの!

ディアナ
あなたって本当に自分勝手!

ディアナ
人の気持ちも考えないで 自分がやりたいことばっかり!

ディアナ
私たちがあなた1人をおいて生き残って 喜ぶとでも思っているの!?

クェイド
いや、俺はそれでも……。

ディアナ
それでもも何もないわよ! あなた、私たちをバカにしてる!

ディアナ
私はここであなたを置いて行ったら 永遠に辛い思いをし続ける。

ディアナ
でも、死ぬこともできない。 あなたに生かされた命だから。

ディアナ
あなたは私たちに死ぬより辛い 人生を送らせようとしているのよ!

クェイド
…………。

イヴリス
そうですよ。クェイドさん。 私も覚悟はできてます。

イヴリス
私たちに授けられた神具は 弱い人たちを守るためにあるんですから!

イヴリス
まあ、私の覚悟はディアナさんほどじゃ ないかもしれませんけどね。

クェイド
…………。

クェイド
ゴメン、2人とも。

クェイド
ああ、そうだな。

クェイド
やっぱり俺はバカだ。 こんな簡単なこともわからないんだから。

ディアナ
わかればいいのよ。 それじゃあ、行きましょう。

クェイド
いや、その前にもう1つ言わせてくれ。

ディアナ
なに? また変なこと言うつもりじゃ……。

クェイド
いや、今、ディアナに怒られて もう1つわかったことがあるんだ。

ディアナ
わかったこと?

クェイド
ああ……。

クェイド
俺にはディアナが必要だ。

ディアナ
え、ええ!?

ディアナ
あ、ああ…そ、そうよね! 私もクェイドのことは必要よ!

ディアナ
やっぱり仲間は大切だものね!

クェイド
もちろん、ディアナは 仲間としても大切だ。

クェイド
でも、それだけじゃないんだ。

クェイド
俺はメイリスに入るまで 逃げ続けて生きてきた。

クェイド
生まれた時から背負わされた重責から……。

クェイド
そしてそこから逃げた罪悪感を隠すように 色々な場所で人助けもしてきた。

クェイド
でも、きっとそれも逃げてただけなんだ。

クェイド
俺はそれに気が付きながら、そのことにも 気付かないフリをして逃げ続けた。

ディアナ
クェイド……。

クェイド
だけど、メイリスに入ってから 俺は逃げることができなくなっていった。

クェイド
少しでも逃げようとすると 君に怒られたからね。

ディアナ
なっ!?

クェイド
ハハハッ、でも今思えば、そんな中、 俺は君を意識し始めたのかもしれない。

クェイド
君はいつも俺を叱ってくれた。

クェイド
俺が逃げようとすると止めてくれた。

クェイド
俺を正しい道へと導いてくれたんだ。

ディアナ
違う!

ディアナ
私は……私と違って自信に満ちたあなたに 苛立っていただけ!

ディアナ
私は自分に自信が無いクセに、自信がある あなたに嫉妬していただけ!

ディアナ
私は自分のことしか考えられない ワガママな人間なの!

クェイド
ディアナ、それは俺も一緒だよ。

クェイド
俺が君を必要とするのも 俺の勝手な都合だ。

クェイド
君の気持ちを考えてのことじゃないのかも しれない。

クェイド
でも……

クェイド
それでも俺は本当に君が必要だって 気付いてしまったんだ。

クェイド
だから俺は…… ディアナ、君のことが……。

ディアナ
待って!

ディアナ
ありがとう……クェイド。

ディアナ
でも、その先はグランガイアに 戻ってから聞かせて。

ディアナ
私もその時は自分の気持ちに 素直に向き合えると思う。

ディアナ
もっと自分に自信が持てると思う。

ディアナ
だから……。

クェイド
…………。

クェイド
ああ、わかったよ。

クェイド
でも、これで絶対にグランガイアに 帰らなくちゃいけない理由ができたな。

ディアナ
ええ、そうね。

ディアナ
あ、でもこれだけは先に言わせて。

ディアナ
クェイド、それでも私はこれまでも今も あなたが強くて優しい人だと思ってるわ。

クェイド
ディアナ……。

イヴリス
う、ううん!

イヴリス
お2人ともそろそろいいですか?

イヴリス
私だけじゃなくてラグルヴォードも 待ちくたびれてますよ!

クェイド
ハハハッ、そうだな。

クェイド
よし、2人とも行こう! 絶対に生きてグランガイアに戻るぞ!