カルデス
グァァァァァァーーーー!!

カルデス
我が…ヒト…ゴトきに……。

カルデス
認めヌ…認メぬぞーーー!

エデア
ウッ……。

ロクス
姫様!!

カルデス
我ハ…負けヌ… 虫ケ…らなどには…

ディン
クソッ! さらに暴走し始めたぞ!

ディン
手が付けられねー!

エデア
このままでは……。

エデア
…………。 ラフドラニアの力を再び開放します!

エデア
みんな、私に時間をください!

ローランド
わかりました。

ローランド
我々が時間を稼ぎましょう。

ディン
おう! カルデスの攻撃は全部防いでやるぜ。

ロクス
お任せください!

カルデス
ソノ鎧…ハ……。

カルデス
サセ…ヌ……。

ディン
なにブツブツ言ってやがる!

ディン
お前なんかにエデアは 傷つけさせやしねー!

ロクス
姫様の邪魔はさせない!

ロクス
お前はボクが止める!

カルデス
人…間…ガ…神を……倒セる…など…ト…。

ロクス
倒してみせる!!

ディン
バカ野郎! 前に出るな!!

カルデス
思イ…上がルナ!!

エデア
キャアアアアアーーーー!!

ロクス
ひ、姫様ッッーー!!

エデア
グッ…。

ロクス
ボクはまた守るべき人に 守られたというのか……。

ロクス
ボクは……ボクはーーー!!

エデア
落ち着いて…ロクス……。

エデア
あなたが…悔やむことじゃない……。

エデア
私は…守られるより… 守る方が好きなのかもしれませんね……。

ロクス
姫様……。

ロクス
でも…ボクは……。

エデア
私は…あなたが助けに戻って来てくれて…… 本当に嬉しかったのですよ……。

エデア
小さい頃…あんなに私を避けていた… あなたが…私を助けに来てくれたから……。

ロクス
ち、違います!

ロクス
あれは避けていたのではなく……。

エデア
フフッ、冗談です……。 わかっています……。

エデア
でも……だからこそ…… 少しでも恩返しがしたかったの……。

エデア
パルミナの王女として……。 勇気ある…戦士の…あなたに……。

エデア
グッ……。

ロクス
姫様! もうしゃべらないでください!

ロクス
ディン! 早く姫様を!!

ディン
エデア!

ディン
待ってろよ。 今すぐ手当てをしてやる!

エデア
私なら…大丈夫です……。

エデア
だから、カルデスの攻撃を 止め続けてください……。

エデア
………………。

エデア
まだ、私はやれます……。

エデア
ラフドラニアの力を 再び開放してみせます……。

ローランド
ですが、姫様。 あなたの今のその身体では……。

エデア
わかってます……。

エデア
……いえ、命尽きようとしている この身体だからこそ、

エデア
今こそ…… カルデスを封印できると考えてます。

ディン
……まさか、姫さん。 あんた……。

ディン
冗談じゃねえぞっっ!

ディン
俺たちがどんな気持ちで ここまでやって来たと思ってるんだ!

ディン
あんたのことだ。

ディン
もう一度カルデスを 封印しようとしているんだろ?

ディン
今度は眠りにつくんじゃなくて、 正真正銘、自らの命を封印に費やして。

エデア
…………。

ロクス
そんなことはお止めください!

ロクス
ボクたちは、姫様にそんなことを させるためにここに来たんじゃない!!

エデア
…………。

エデア
カルデスがこの異界を脱出すれば、

エデア
パルミナにいる人間全員が 犠牲になってしまうでしょう……。

エデア
このままにしておく訳には いかないのです……。

エデア
たとえ、それで私の命が 犠牲になったとしても……。

ロクス
…………。 冗談じゃない……。

ロクス
本気で言ってるんですか!?

ロクス
ふざけないでください!!

エデア
……え!?

ロクス
なんでそんなに簡単に 命を投げ出そうとするんです!

ロクス
あなたはボクらがなんで ここに来たのかちっともわかっていない!

ロクス
ボクは……

ロクス
いえ、ボクたちは 確かにパルミナのために戦ってきた!

ロクス
でも、それだけじゃない!

ロクス
みんな、 姫様だから付いて来たんです!

ロクス
ここであなたを見捨てるなんて、 できるわけありません!!

ロクス
なんで「最後まで一緒に戦ってほしい」 と言ってくれないんですか!!

エデア
ロクス……。

ディン
チッ……。 言いたいこと、先に言われちまったな。

ディン
エデア、あんた諦めが良すぎるぜ。 そんなに俺たちが頼りないかい?

ローランド
エデア殿、あなたの決断の早さは、 長所でもあるが短所でもありますな。

ローランド
時には他者を頼り、 諦めが悪くなってみるのも大切かと。

エデア
ディン……。 ローランド殿……。

ロクス
ディン! ローランド先生! 姫様とともに最後まで一緒に!

ディン
当たり前だ!

ローランド
うむ!!

カルデス
グッ…ガッ…愚か…な……。

カルデス
麗しき人の絆…とでも言うのか?

カルデス
愚かな虫けらたちよ……。 礼を言おう……。

カルデス
貴様たちがくだらぬ話をしている間に 我は力を抑えることができた……。

カルデス
暴走した力をも我が物にしてな!

ロクス
グッ……。

カルデス
どちらにしろ運命は決まっている。

カルデス
貴様らも、その女も、 “死”という運命がな!

ディン
グハァッ!

ローランド
グフッ!

エデア
みんな!

ロクス
大丈夫です……。

ロクス
ボクたちは負けない……。 負けるもんか!!

ディン
ああ、倒れてる場合じゃない……。

ディン
ここで倒れたら、何のために戦ってきたのか わかんなくなっちまうからな。

ローランド
まったくだ。 今、この時こそ正念場だぞ!

ディン
エデア! 俺たちのことは心配いらない!

ディン
お前はラフドラニア開放の 準備を進めろ!

エデア
…………。

エデア
わかりました……。

エデア
…………。

カルデス
…………。

カルデス
貴様らとの遊戯にも いい加減飽きてきた……。

カルデス
この一撃で滅せよ!!

ディン
グハァッ……。

ロクス
…………。

ローランド
グッ……。

カルデス
ここまでのようだな……。

カルデス
だが案ずるな。

カルデス
そこの女もすぐに送ってやろう……。

エデア
…………。

守リタイ……。


カルデス
なに!?

カルデス
我の攻撃を打ち消した…だと?

エデア
これは……。

カルデス
ならばもう一度!

守リタイ……。私モ…コノ者タチヲ……。


カルデス
グハァッ!!

エデア
この声は……ラフドラニア?

カルデス
バ、バカな……。

カルデス
我の攻撃を押し返した…だと!?

エデア
今まで以上に力が溢れている……。

エデア
そして、それと同時に 力が消えていく感覚……。

エデア
ラフドラニアの暴走?

エデア
いえ、違う……。

エデア
これは…ラフドラニアの意志!?

ローランド
傷が癒えていく……。

ローランド
ラフドラニアが、自らの意志で 我らと姫様を救うというのか?

ロクス
そういえば、眠りについた姫様が 生きているってことを

ロクス
ボクらに知らせたのも、 ラフドラニアだった……。

ロクス
それにあの声……。

ディン
なるほどな……。

ディン
あの鎧も姫様を守りたかった……。

ディン
いや、俺たち以上に、 これまでずっと守ってきた、という訳か。

ディン
ロクス! ロー爺! ラフドラニアがくれた最後のチャンスだ!!

ディン
無駄にできねえぞ!!

ローランド
うむ、わかっておる!

ローランド
炎の剣聖と呼ばれた我が一撃 喰らうがいいカルデス!!

ローランド
すべては灰燼と帰す!
炎奉陣天!!

カルデス
グッ!

ディン
お前にはもうこれ以上 俺の仲間を傷つけさせねー。

ディン
絶対零度をくらいな!!

ディン
イスベルグレイン!!

カルデス
我が身体が凍る…だと!?

ロクス
何度だって放ってみせる!

ロクス
この神を貫く一撃を!!

ロクス
幻聖穹!!

カルデス
グハァアアァッッ!

カルデス
お、おのれ…虫けらどもめ!!

エデア
ラフドラニア……。 最後の一撃を放つ力を私にちょうだい……。

エデア
…………。

エデア
この一撃……。

エデア
この一撃で、 長かったこの戦いを終わらせます!

エデア
魔統神カルデス…… これで終わりです……。

エデア
アタラクシア!!

カルデス
グハハアアアアアアアッッーーー!!

カルデス
バ、バカな……。

カルデス
我は神……。

カルデス
神界の偉大なる一柱……。 魔統神カルデス……。

カルデス
その我が……。

カルデス
人間などに滅ぼされるなど……。

カルデス
信じられん……。

カルデス
このようなことが……。

ディン
倒した……のか?

ローランド
気配は完全に消えた……。

ローランド
おそらくは…の。

ロクス
やった! やりましたよ姫様!!

エデア
…………。

エデア
これで……。

エデア
これで、 ようやくパルミナは救われるのですね……。

エデア
よかった……。

ガシャン!!

エデア
ラフドラニアから 力が……抜けていく……。

ローランド
…………。

ローランド
どうやら姫様を守るという役目を果たし、 力を使い果たしたようですな……。

ローランド
おそらくは、再度力を溜めるため、 永い眠りについたのでしょう……。

エデア
ごめんなさい。 ラフドラニア……。

エデア
私のために……。

ロクス
…………。

ロクス
違いますよ、姫様。

エデア
……え?

ロクス
姫様だって聞いたはずです。

ロクス
ラフドラニアの声を。

ディン
そうだな……。

ディン
その鎧は最初から最後まで ずっと姫さんを守っていたんだ。

ディン
もしコイツに意志だけでなく、 表情まであったなら、

ディン
最後の力を振り絞るその瞬間まで、 姫さんのために戦えたことを喜んで、

ディン
笑っていたに決まってるぜ。

ロクス
ええ。

ロクス
ですから、 その言葉はふさわしくありませんよ。

エデア
…………。

エデア
そうですね……。

エデア
これまで私を守ってくれて、 ありがとう、ラフドラニア。

ロクス
…………。

ロクス
さあ、そろそろ行きましょう。

ロクス
兵士たちが姫様の帰りを待っています!

ディン
そうだな。

ディン
こんな殺風景なところに長居しても、 仕方がないからな。

ローランド
エデア殿、これからは戦士としてではなく、 一国の王女として働いてもらいます。

ローランド
指揮官が倒されたとはいえ、 神軍はいまだ健在。

ローランド
荒廃した国を立て直すため、 やることは山ほどありますぞ。

エデア
ええ、わかっています。

エデア
気を抜いている暇なんかありませんね。

エデア
きっと すべてはこれからなんですから!

ロクス
安心してください。

ロクス
及ばずながら このボクもお手伝いしますから!

ディン
やれやれ……。

ディン
弓しか使えないお前さんが、 どうお手伝いするのかね~?

ロクス
なんだと!

ロクス
お前みたいな不良神官よりは、 ずっと役に立ってみせるさ!

ローランド
まったくお前らは……。

ローランド
この期に及んでいい加減にせんか!!

エデア
フフフ……。

エデア
帰りましょう。 私たちの国パルミナへ……。

リント
ふむ。 キミがこんな結末を用意するとは珍しいね。

ノエル
べつにおかしな事を やった覚えはないけどね……。

ノエル
当時の状況データから鑑みるに、 充分にありえた展開だよ。

ノエル
パルミナには四戦士以外に 頼れる戦力が無かった。

ノエル
それが敗因ってことさ。

ノエル
…………。

ノエル
リント、 キミは悲劇は好きかい?

リント
ふむ…別に好きでも嫌いでもないよ。

リント
どんなことでも、起こったことを、 ただ冷静に見つめるだけさ。

ノエル
そうかい……。 まあ、キミらしい答えだね……。

ノエル
…………。

ノエル
ボクは嫌いなんだよ。

ノエル
ましてや、人間が神や魔神に 負ける話なんて冗談じゃない!

リント
なるほどねえ……。

ノエル
…………。

ノエル
つまらないことを 言ってしまったね……。

ノエル
すまない。

リント
いや構わないさ……。

リント
やっぱり人間って、面白いなあ……。